公衆衛生学講座

わが教室はがんやその他の病気の疫学的な研究を継続的に行っている。これらの研究の目的は主として病気のリスク要因を検索することと関連している。また、それらの病気の死亡率を下げることを目的とした予後因子にも関心を持っている。われわれは、前立腺がん、多発性骨髄腫、原発性胆汁性肝硬変などの危険因子に関する研究、インフルエンザワクチンの評価の研究に参画している。

Dept.of Public Health

Our department has been conducting epidemiological researches on cancer and other diseases. Object of these researches is mostly associated with identification of risk factors for these diseases. We are also concerned with prognostic factors for them in order to reduce their mortality rates. We have been involved in researches on risk factors for prostate cancer, multiple myeloma, primary biliary cirrhosis, and so on, as well as evaluation of influenza vaccine.
教授 Professor
大西浩文 Hirofumi Ohnishi, M.D., Ph.D.
所属 : 医学部医学科基礎医学部門講座 公衆衛生学講座
Department of Basic Medical Science Dept.of Public Health
研究テーマ : 広域医療情報ネットワーク構築, ITを用いた生活習慣病の予防, 地域一般住民における循環器疾患危険因子の解明
研究活動と展望 : これまで、生活習慣病の発症基盤と考えられるインスリン抵抗性と動脈硬化性疾患の関連について、北海道端野・壮瞥両町をフィールドとした疫学調査を行ってきた。地域一般住民におけるインスリン抵抗性の頻度、インスリン抵抗性と冠危険因子の集積との関連について、インスリン抵抗性下の脂質代謝異常におけるレムナントコレステロールの役割、糖代謝異常と大動脈脈波伝播速度の関連について研究してきた。現在も端野・壮瞥町の健診データを元に、地域一般住民における生活習慣病・メタボリックシンドロームと循環器疾患発症との関連についての研究を行っている。


准教授 Assistant Professor
樋室伸顕 Nobuaki Himuro, P.T., Ph.D.
所属:医学部医学科基礎医学部門講座 公衆衛生学講座
Department of Basic Medical Science Dept. of Public Health
研究テーマ:家族を中心とした療育、脳性麻痺児の移動能力に関する縦断的研究、評価尺度の信頼性・妥当性
研究活動と展望:(1)障害がある子供へのリハビリテーションにおける家族への情報提供のあり方を研究している。(2)脳性麻痺児の移動能力低下を予防するため、その推移と原因を縦断的に研究している。(3)リハビリテーション、特に小児領域における機能分類システムや評価尺度の信頼性・妥当性と臨床有用性を研究している。

 

講師 Lecturer
大浦 麻絵 Asae Oura,Ph.D.
所属:医学部医学科基礎医学部門講座 公衆衛生学講座
Department of Basic Medical Science Dept. of Public Health
研究テーマ:職域における疫学,生徒・児童を対象とした健康リテラシー教育プログラムの開発,健康情報伝達の波及効果検証
研究活動と展望:(1)保育者の離職を抑制する要因を明らかにする目的で疫学調査を行っている。(2)札幌市内の幼稚園、保育園、小・中学校を中心として健康リテラシー教育活動を行っている。(3)現在、子ども達が発信する健康情報の伝達波及効果について研究している。


講師 Lecturer
小山雅之 Masayuki Koyama, M.D., Ph.D.
所属:医学部医学科基礎医学部門講座 公衆衛生学講座
Department of Basic Medical Science Dept. of Public Health
研究テーマ:循環器疫学、希少疾患(特に肺高血圧症、周産期心筋症の臨床疫学、災害医療
研究活動と展望:(1) 大西教授とともに端野・壮瞥町研究をフィールドとした疫学研究を行っている。近年はサルコペニアのほか、FABPsやXORといった脂肪や尿酸と動脈硬化の関連を探索している。(2) 兼任する循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座では、希少疾患の臨床に勤しみつつ、さらに希少疾患の疫学、つまり北海道内の循環器疫学研究を展開していく予定である。(3) 災害医療、特に非常時の在宅酸素療法患者や透析患者への平時からの体制整備の科学的提言を行いつつ、行政とともに課題に取り組んでいる。(4) 2020年5月からは COVID-19 の感染対策に従事し、施設レベルの感染対策に勤しむ一方、健康観察アプリ「こびまる」を開発し、広く市民の健康に寄与している。


助教 Instructor
中田圭 Kei Nakata, M.D., Ph.D.
所属:医学部医学科基礎医学部門講座 公衆衛生学講座
Department of Basic Medical Science Dept. of Public Health
研究テーマ:循環器疫学、循環器画像診断(心臓MRI、CT、SPECT)、糖尿病と循環器疾患
研究活動と展望:(1) 大西教授とともに端野・壮瞥町研究をフィールドとした疫学研究を行っている。これまでのデータから縦断的なデータの変動に着目し、疾患の発症や予後を層別化しうる新規の指標を開発することが目標である。(2) 兼任する循環器・腎臓・代謝内分泌内科学講座では、国内留学(三重大学放射線科)や海外留学(Harvard大学Beth Israel Deaconess Medical Center)での経験を活かして循環器画像診断中でも心臓MRIの臨床上の有用性を日常臨床のみならず、総合的な心疾患評価modalityとして発展させ、北海道内の循環器疾患の診療・研究レベルの向上に努めていく予定である。(3)前糖尿病の段階から糖尿病の進展に至るまで、現代の日本人におけるライフスタイルの変化がそれらに及ぼす影響を新たな視点で検証していく。