JSRT Hokkaido

巻　頭　言

部会長　　菊池　務

謹んで新春を寿き, 新年のお慶びを申し上げます

　会員諸兄に於かれましては，平素より(社)日本放射線技術学会北海道部会の発展に格別のご理解ご支援を賜りまして心より感謝申し上げます。

　日本放射線技術学会北海道部会に於きましては，昨年4月に開催されました第53回総会に於いて皆様の御推挙をいただき，柴田前部会長の後を引き継ぎ，私がその重責を担う事になりました。同時に，副部会長に山本・坂田両氏と，千葉・坪谷両監事の経験豊富な新役員のご承認もいただき，留任いただいた全常務理事及び新任理事，ブロック理事等，「英知と人材に恵まれて」平成9年度事業も順調に推移しておるところであります。

　昨秋の第53回秋季大会も会場の関係で11月29日，30日という時期，しかも大荒れの天気であったにも関わらず，演題総数41題（東北部会との交流演題2題，北海道大学医療短大学生の発表が4題）と，参加登録数305名の盛況でありました。本年度から新企画にて実行された「臨床技術・症例報告」セッションにも早速5題の報告があり，好評を博しております。

　本年10月の日本放射線技術学会第26回秋季学術大会（姶：札幌市・北海道厚生年金会館）関連の事前視察もあり来道された川上秦昭学会長も，各発表者の高度な研究内容や真撃な姿勢での質疑討論を聴取して北海道部会のレベルの高さに驚愕し，関心しきりのご様子で満足されておりました。日常業務で忙しい中，また年末も近く何かと予定の多い中で，2日間にわたり本大会に参集され，学術及び診療への吏なるstep upを目指し努力される会員の皆様に心より敬意を表します。

　さて，人類に限りない幸せをもたらした「Ⅹ線の発見」以来，一世紀が過ぎ本年は1998年，21世紀への足音がすぐそこまで強く感じられるようなりました。

　その一方で，昨年1997年は後半に経済を中心とした激震に見舞われ，日本経済の先行きは本年上半期もその不透明性を全く回避出来ぬままでの展望となっています。本道に於いても北海道拓殖銀行の経営破綻や師走商戦の真最中での突然の丸井今井デパートの社長更迭劇などバブル経済に浮かれて「真の経営理念」を亡失した企業と経営者の淘汰は真に始まったばかりの観さえ否めません。

　反面，昨年末第83回北米放射線学会（RSNA）での発表に訪米して直接肌で感じたことは，アメリカ経済及び雇用問題の膚調な進展と，大国が持つ政治・経済・学問全般にわたる底力でした。従って本邦に於ける行政改革・規制緩和にブレーキを掛けるかの今般の動きは，当然の如く日本の将来に暗雲を呼ぶことは自明なことです。

　そこで年頭に当たり，日本放射線技術学会北海道部会の「運営理念と組織」に関して私の考えの一端を再度率直に申し述べ，ご理解とご協力を仰ぎたいと考えます。

　いわゆる「会」の運営は「人材（英知）及び予算の投入一プロセス（過程）→会員にフイードバックできる結果の産出」という3つが効率的に機能するシステムであり，これらを活動として実体化するのが「組織」です。

　更に組織運営について集約すると，第一の必要要因は，統一性・一貫性であり，なかでも運営理念と事業の統合性がすべての基本となります。即ち短期と中長期の事業計画の統合性や，事業計画と予算との整合性を図っていくことが重要であり，それに見合ったプロセスと結果が相応に伴っているかどうかのチェック機能が更に重要です。

　第二は連携・協調で，セクショナリズムを打破して部門間の連携を図ることが重視されます。

　第三は情報開示です。大学等の教育研究機関や医療機関，他学術団体との交流を積極的に押し進めると同時に，会報内容を充実して活動状況を多くの会員に知っていただき，共感を得る事が大切です。

　第四は菓軟性で，最初に挙げた統一性・一貫性と相反する面があるようにも思われますが，組織としてはこの両方を持っていなければなりません。事業計画の見直し・修正，またはいわゆる不良採算部門からの撤退など状況の変化に迅速な対応が図れるだけのフレキシビリティと，常に時代を捉えた発想の転換力を持つことが求められます。

　本学会の目的及び事業は，定款に定められる如く『放射線技術学に関する研究発表，知識の交換並びに関連学協会との連絡提携を図り，学術の進歩発展に寄与する事を適して社会に貢献する事』です。

　皆様ご承知の通り，日本放射線技術学会は，「我が国・科学者の，内外に対する代表機関」でありますF日本学術会議に登録された学術団体』として，学術研究内容の充実に向けて一層の研祭が要求されると共に，社会に対する責任と義務を果たすことが，強く求められています。

　会員業績の保吾，保全と社会的な価値と実績の認定及び向上への努力は言うまでもなく，発展が期待される研究の奨励，若手研究者の育成も重要な努めであり，北海道部会会員が研究論文や学術発表を全国や海外に飛躍できるための広い視野を持った改革が，今後21世紀を背景とする次世代への要請となっています。

　その意味からも，本年度から北海道部会への投稿論文の中で優秀な論文は，どしどし日本放射線技術雑誌への投稿を推奨しまた実行して行く所存です。論文内容への支援は様々な問題も多く直接的には出来ませんが，査読結果などの側面からのサポート体制は十分配慮する用意がありますので，是非全国へそして世界へと飛躍しようではありませんか。

　今日，放射線技術は「変革の時代」，それも極めてドラスティックな「飛躍の時代」と言われています。こうした情勢下にあり，今後巣立ってくる医学部4年生（学士）や，彼らの学位取得への代表論文を認定される学会への成長と改革無くしては，本学会の存在意義すら問われることになるでしょう。

　さて，この北海道部会会報の新年特別号を発行する事になった理由は，北海道部会の改革問題への提言（日本放射線技術学会・統一部会規約，部会運営内規，北海道部会細則などの規則）とその理由を明確に知っていただき，ご理解と共に更なる前向きで建設的なご意見，ご提言をいただきたいと考えたからです。

　これらの背景には，オウム事件（宗教法人）に端を発した，文部省による公益法人の見直しと強い指尋があり，更には行政改革へも繋がっております。詳細に関しては担当理事により後述されております。是非，十分にご検討の上，どの様なご意見ご質問でも宜しいですので部会までお知らせv）ただきたくお願い申し上げます。本改革案は，本年4月の第54回北海道部会総会にて，審議・採択を得たいと考えております。

　また，本年は第26回日本放射線技術学会秋季学術大会が10月29日から31日まで，札幌市・北海道厚生年金会館で開催されます。

　現在，予算措置の概要も決定し，坂田元道実行委員長の下にプログラム内容の具体化について鋭意努力致しており，順調に進行中であることをご報告いたします。

　しかし，浅学かつ非才の私には「大会長」は身に余る大役であります。歴代部会長，勝浦，萩原，柴田先生始め多くの先輩から全面的なご支援ご協力と心からの激励を賜り，微力ながら精一杯努力する決意で実行に当たってはおりますが，会員皆様の更なるご理解とご指導を賜らなければ成功は期待できません。何卒，格段のご理解を賜り，衷心からご支援ご協力をお願い申しあげます。

　最後になりましたが，今年一年が平穏無事であり，北海道部会会員皆様始め，ご家族と関係各位のご健勝と益々のご発展をお祈りいたしまして新年のご挨拶といたします。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　謹　上

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（社）日本放射線技術学会　北海道部会

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部会長 菊池 務

謹んで新春を寿き, 新年のお慶びを申し上げます

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部会長　　菊池　務