カリキュラムの内容(看護系専門科目)


基礎看護学系教科目

基礎看護学においては、看護実践の基礎となる理論および技術を教授する。 看護の対象である人間は、身体的、心理的、社会的な側面をもつ統合体である。 人間は基本的欲求をもち、独自の存在である。人間は、社会の中に存在し、他者 との力動的な相互作用を通して、成長、発達している。健康は、最良の健康状態 から、健康障害、健康破綻にいたる連続体であり、看護は健康維持、増進、回復 (あるいは平和な死)を目指して援助を提供するものである。看護援助は対象の 健康生活に対する系統的アプローチとしての看護過程にもとづいて展開される。
  看護職は保健医療チームメンバーの一員として、各メンバーによって提供され るサービスの調整を行う。
  1. 看護の概念、役割、機能を理解する
  2. 看護の対象である人間の理解を深め、自己の人間観を形成する
  3. 他者との相互作用を通して、自己および他者理解を理解し、人間関係を成立する態度を習得する
  4. さまざまな健康状況にある対象への看護実践の基礎となる知識、技術、態度、習得する   
    系統的な看護実践を行うための看護過程を展開する
  5. 主たる看護理論を理解し、自己の看護観を形成する
  6. 看護の専門職としての基本的な知識、技術、態度を理解する
  7. 社会における看護の役割、機能および制度を理解し、これからの看護の課題を分析する

母子看護学系教科目

小児は成長発達の過程にあり、内的及び外的環境との相互作用の影響を受けなが ら、人間として成熟していく無限の可能性をもつ存在である。母親は、自分の子供 を安全に守り育てて行く責任をもち、同時に母親自身の母性を育てていかなければ ならない。このように、母子関係は相互の成長過程に密接なつながりをもつもので ある。
 社会は、母子が心身ともに健全な人間として成長・発達し自立できるように、適 切な環境を提供する責任を負う。その社会の責任の一端を担う看護者として、母子 とその家族を対象とする母子看護は、個々の母子が可能な限り高い水準の健康を保 つことができるように、援助するものである。
  1. 健康な人間の生命の誕生から思春期および女性の妊娠・分娩・産褥から更年期ま での心身の成長・発達とライフステ−ジにおける発達課題を理解する。
  2. 人間の成長・発達、母性性の発達における親子関係・家族関係の重要性を認識す る。
  3. 胎生期、新生児期、乳幼児期、学童期、思春期、女性の成熟期、更年期における 保健指導と看護ケアを実践できる。
  4. 母子の健康に関連する環境要因および社会的現状と将来を展望する。
  5. 学内学習で修得した知識と技術を適用し、母子とその家族を対象として看護過程 を展開し、個別ケアを実践する基礎的能力を身につける。

成人看護学系教科目

成人期の人々は自らの生活を築き、責任を自覚しつつ社会に参加し、その発展 を創出し、次の世代にその役割を継承していく成長発達期にある。今日の成人は 健康生活に高い関心を持ち、さまざまの疾病や障害を持ちながらも、充実したそ の人らしい生活を求めている。
 この成人性(adulthoot)の発達初期にある学習者は、高度経済成長をとげ、成 熟しつつある社会環境のなかで、個々の生活文化・価値をきずき追求する成人期 の人々と出合い、彼らの健康期待に応じるための基礎能力を備えなければならな い。
 成人看護の活動は健康と健康障害のメカニズムを深く理解したうえで、人々の 多様なニ−ズに則した健康生活を取り戻すための、科学的な知識と技術にもとず く実践力および、健康指導者として自己成長していくことが求められる。
 また、成人期医療技術・制度の発展、多様な健康価値の追求など、変革する社 会状況をふまえて未来を展望し、成人看護学を追求する姿勢が必要である。
 本教科では幅広い成人看護の実際のなかでも、個人とその家族に視点を据えて、 成人期の健康課題と看護の役割を認識し、代表的な健康障害とその各段階におけ る看護の実際をとうして、成人看護学の原理と臨床能力の基礎を養う。
  1. 成人期の対象を総合的・全人的に理解する。
  2. 成人期の健康にかかわる諸問題の解決に必要な知識と技術を学ぶ。
  3. 他領域の専門家、非専門家と協力し、必要に応じて調整的な機能を果た     す。
  4. 保健医療の場に生ずる道徳倫理的問題に対処し、患者の権利を尊重する     態度を身につける。
  5. 保健医療の現実を批判的に吟味し、建設的な対案を考える。
  6. 変化する社会の中で、看護が担うべき役割を展望し、発展させ、将来、     成人看護の職能に貢献できる基礎を学ぶ。

老人看護学系教科目

近年、高齢化社会の進展しているなかで、老人看護は社会的ニ−ズが高く、老人が望 む生活の場で人生の終盤期を健やかに、心豊かに、快適に生活できる老後を過ごすには、 いつでも必要な時、必要な人々により必要なケアがうけられるよう。それには、保健・医 療との関連は基より、福祉領域と連携しながら、老人や家族が必要としている看護を提供 していくことのできる看護の基礎的能力を養うことをめざしている。
人生の終盤期にある老人が、いままで社会のなかで重要な役割を担ってきたことを重視し、 尊重した態度で看護することを重要性し、老人の特性をあらゆる側面からとらえ、老人の もっているセルフケア能力や潜在能力を高め、自己の健康を自ら維持、増進し、更に健康 回復、疾病の予防にむけて自己管理できるよう援助していくこと。
老人が健康な時にも、健康逸脱した時にも対象や家族のもつ諸問題を多面的に把握し、 看護判断し、必要な看護を適切に行い、その看護に責任を負う。また老人やその家族が必 要としている、快適な生活環境を整えるには、看護職や他の職種との連携を図り、継続的 視点から看護するものである。
  1. あらゆる環境とかかわって生活している老年期にある人の発達課題と加齢現象を 学習する。
  2. 老年期にある人の健康に関連する環境および社会的現状をとらえ将来を展望する 。
  3. 既習の関連科目の知識を基に、老年期における健康上の問題を総合的理解をはか り健康障害された老人及び家族の看護を行うための基礎的知識、技術を習得する。
  4. 老年期にある人の看護を問題解決過程を適用し、状況や個に応じた看護を実践す る基礎能身につける。
  5. 保健医療、福祉チ−ムのなかの看護の一員としての役割を認識する。

精神看護学系教科目

人間の心的事象は、それが単独に存在するのではなく、個体の身体的・社会的 要因とも密接に関連を持ちながら機能する包括的な現象である。また、それはあ る一時点にとどまるものではなく、ライフサイクルに伴って動的に変化するもの でもある。
精神看護学系科目は、このような包括的かつ動的な視点から、対象の心的事象 を把握し、またその変容過程に応じた援助ができる基礎的資質を養おうとするも のである。

  1. 人間の心的事象を、包括的かつ動的な視点から把握するための基礎知識を習 得する。
  2. 精神状態が健康から破綻に至る一般的な過程を理解できる。
  3. 精神の健康状態の各段階に応じた看護的援助技術を学ぶ。
  4. 精神科医療に関連する職種の機能、およびその中での看護者の役割を理解す る。
  5. 自らの心的側面に対する洞察を深め、健康レベルを維持できる。
  6. 精神障害を有する患者の状態像を適格に把握し、それに応じた援助ができる。
  7. 習得した知識や体験を基に、精神の健康に関する自らの価値概念を構築でき る。

地域看護学系教科目


  地域看護学は、看護がヒューマンサービスとして社会的に有用な機能として発展させて きた看護の概念に基づき専門分化しつつある看護学の一領域である。その領域は、人々の 生活する場に焦点をあてノーマライゼーションやクオリティオブライフを重視し、家族・ 集団・地域社会に生活する人々の健康と生活を支える看護領域である。いわゆる Primary Health Care レベルの保健・医療・福祉サービスシステムにおいて健康増進およ び予防的看護活動あるいは調整という援助方法を用いて機能する。従って、地域看護では 地域で生活している個人・家族・集団・地域社会を対象にいつも総合性、継続性、全体性 を意図した看護活動を展開する基礎的能力を必要とする。
 今日、地域看護は生命の発達過程や健康に関する社会のニーズに対応しその期待に応え て役割を形成しつつある活動である。公衆衛生から在宅ケアにいたる地域における看護の 役割拡大に応え専門的活動を新たに構築し発展させる課題と責務を負う。
  1. 地域看護が近代看護の成り立ちと轍を共にし、社会の進展にともなってその概念   も発達してきたことを理解する。
  2. 個人を核に家族・機能的集団を内包する地域社会を看護の対象として展開する地  域看護の専門性を理解する。
  3. 地域社会の生活単位として家族システムを理解し、ヘルスニーズをもつ家族援助  の理論と技術を適用して基礎的な家族看護を行なう。
  4. 地域社会に機能する集団を対象とする看護活動の理論と技術を学び、基礎的な集  団援助技術を適用する。
  5. 看護の対象として地域社会を地区診断し、健康増進および予防的(1次・2次・  3次)看護活動を計画、展開する基礎理論と技術を理解する。
  6. 地域看護活動にチームメンバーとして参加し、協同する態度ができる。
  7. 保健医療および福祉を統合した地域ケアのあり方を展望し、地域看護の役割およ  び責任を認識する。

                      看護護学科のホームページにもどる