Division of International Exchanges/Affairs No.4 Autumn 1999 今回の話題は、次のとおりです。 |
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■開学50周年記念『国際シンポジウム』のプログラムが決定 来年、札幌医科大学は開学50周年を迎えます。 その記念事業の一つ、『北方圏医学と保健医療に関する国際シンポジウム』のプログラムがおおむね決定しました。 このシンポジウムは、本学との交流協定に基づき、研究交流を進めてきた北方圏諸国の大学を中心に、研究者をお招きし、これまでの交流の成果や、気候・生活環境が似ている地域の技術や知識を結集するとともに、来るべき21世紀に向けて、道民の方々を始め、北方圏に居住する人々に健康と高度医療を提供するためのステップとして、ディスカッションを進めようとするものです。 各分野における世界的な研究者が一同に会し、研究発表やディスカッションを行うことから、本学が架け橋的な役割を果たし、研究者同士にも、新たな視点での交流発展が期待されます。 また、セッション1では、カナダアルバータ大学、カルガリー大学と本学の三地点において、テレコミュニケーションシステムを活用したテレヘルスの実験を行う予定です。 今後とも全学をあげて、準備を進めていきたいと考えていますのでご協力をお願いします。そして、来年6月には、本学の研究者、学生の皆さん、北海道内外の多くの医療・保健医療学従事者の皆様のご参加をお待ちしています。
■〜アルバータ大学語学研修を終えて〜 アルバータ大学との新しい交流協定に基づき、第1期生としてアルバータ大学における語学研修に挑戦した医学部13名、保健医療学部9名、保健に両学部大学院生1名の合計23名が、たくさんの体験と感動をお土産に帰ってきました。国際人として生きる「きっかけ」を一人ひとり、様々な形で感じ取ったようです。 平成11年7月17日から8月8日までの23日間、私たちはカナダのアルバータ州エドモントン市にあるアルバータ大学へ語学研修に行って参りました。その時期はエドモントンでももっともよい時期らしくほとんど雨も降らず晴天の日が続き、かといって暑すぎることもなく、さわやかで大変気持ちよい日々を過ごすことができました。エドモントンの人々はとても礼儀正しく親切で、困ったことがあっても質問すると、こちらが納得するまで説明してくれ、また治安も良く危険なこともありませんでした。 毎日の時間割は午前中は朝8時から12時まで英会話の授業があり、午後は何もない日もあるのですが、ほとんどの日は昼食をとってからゴルフとか病院見学といった課外活動をしてカナダの生活を満喫するというものでした。私達は総勢23名の大所帯でしたので、2クラスに分けて別々の授業を行いました。 授業ではカナダの雑誌を使ったり、ERのビデオを使ったりと工夫に富んでいて、また先生のカナディアン・ジョーク(?)もさえていて、本当に飽きることなく楽しく英語を学ぶことができました。先生はとても熱心で "I'll kill you." と言って宿題をたくさん出してくれたのですが、その宿題もその辺のカナダ人にインタビューをしたり、健康相談のテレフォンサービスを聞いて要約したものを提出するなど実用的で楽しいものが多かったです。また、休日の旅行の手配とかも快く手伝ってくれたりと本当に親身になってくれてすばらしい先生でした。 楽しかった思い出のひとつに2泊3日で全員で、出かけたカナディアン・ロッキー旅行があります。ロッキーの美しく雄大な風景を見てカナダという国のスケールに圧倒され、また世界は広いんだなーと痛感しました。このレポートを呼んでいると本当に勉強しに行ったの?と思う人もいるかもしれませんが、カナダでは机に向かわなくても英会話の勉強になることがわかりました。 今回の研修については英語の研修はもちろん、学部、学年を超えた仲間、またカナダ人の友人を作ることができ、本当に参加して良かったと思います。また、海外の学生生活を見て今後の学生生活に対する非常に良い刺激になりました。このようなすばらしい機会を与えていただき神保教授をはじめとする学校関係者の皆様、後援会の方々に深く感謝を申し上げます。そして今回の僕たちの経験が来年の研修のために少しでも役だってくれれば幸いと思います。
■カルガリー大学臨床研修を終えて カルガリー大学との新しい交流協定に基づき、医学部の学生4名は、9月20日から10月25日までカルガリー大学で血液学の臨床研修にのぞみました。貴重な体験を通じて、医学部生としてのあり方を再確認できたようです。これからは学生も、国際交流の主役になります。 この度、5週間にわたる、カルガリー大学医学部での臨床研修を終え、無事帰ってきました。今回の研修では「現地の医学部生にまじって授業を受ける」という、医者・研究者になってから行く「留学」とはまた違った体験をすることができたものと信じています。海外でこのような貴重な体験をする機会を学生のうちから得ることができ大変幸せに思います。 現地では、1年目(札幌医大でいうと3年生にあたります)の学生と一緒に全く同じ授業を受けました。授業はもちろん全て英語、主に血液学を学びました。授業スタイルは日本と同じですが、どちらかというと実践的な内容でした。学生と教師との意見のやり取りが活発で、授業が中断することもしばしば。また徹底した少人数教育が行われていると同時に、学生側も、それぞれの教師の評価を行ない第3者が判断していることも新鮮でした。 特に印象に残ったことは、医学部1年目というまだ医学的な知識も余り無いうちから、実際の患者さんと問診の練習をするなど、患者さんとのコミュニケーションに重点をおいた授業が行われていることでした。私は、ちょうど札幌医大の新カリキュラムの一期生といこともあり、5年目の4月から臨床実習を行っています。旧カリの先輩に比べると患者さんと接する機会が多少増えたようですが、カルガリー大学の学生>は1年目から似たような体験をしているのを考えると、札幌医大もまだまだ足りないような気がしました。もちろん、日本の制度・カリキュラムの違いなど単純に比較はできませんが、医学教育の早い時期から実際の患者さんと接することで「将来、医者になるんだ」というモチベーションもより一層湧いてくるのでは?という印象を受けました。 ◇看護部、放射線部でJICAからの9名が研修中 平成11年度JICAの特設集団コースとして、「医療放射線コース」4名、「臨床看護実務コース」5名、合計9名の研修員が9月27日から12月10日まで、本学の放射線部、看護部でそれぞれ研修を行っています。 今年は、バングラデシュ、ヨルダン、ニカラグア、パレスチナ、チュニジア、ドミニカ、モンゴル、サウディ・アラビア、セネガルの9カ国からで、これまでに本学に来たことのない国もあります。 10月19日には、地下食堂で研修員を囲んで、現在本学で研究、研修を行っている外国人の方々総勢40人が集まり、交流会を開催しました。同じ国から来ている研究者同士でも普段は、研究・研修に追われ、顔を合わせる機会が少ないことから、その日は各国の医療状況や生活文化などについて、楽しく語り合っていました。 みなさんも是非、この機会に海外の医療事情などの情報交換を行ってみてはいかがでしょうか? ◇国際医学交流センターでの日本語教室 国際医学交流センターでは、毎週金曜日のお昼に札医大に在学している外国人研究者を対象にした日本語教室がボランティアの方によって開かれています。去る10月29日、1年2ヶ月に渡り訪問研究員として機器診断部に在籍していた孫心平さんのお別れ会がありました。札幌医科大学病院ボランティア「フローレンス」の会長、谷さん(総元締め!?)ほか、ボランティアコーディネーターの小澤さん、ボランティアの高橋さん、笹山さん、藤枝さん、中国の曹さん、高さんらで、孫さん自慢の手作り餃子や、持ち寄ったデリなどに舌鼓を打ちながら、楽しい一時を過ごしました。 これまでこの日本語教室に参加してきたのは、ポーランドや中国、イランなどからの研究生で、先生役のボランティアの皆さんも日常会話の中で、より具体的なエピソードなどから、暮らしの中での「国際交流」ができ、非常に有意義な時間を過ごしているそうです。 見学もできますので興味のある方は、谷さん(医大ボランティアの会フローレンス:内線3137)まで、ご連絡ください。 ●○国際交流レポート○● 内科学第二講座 浦 信行助教授 各科の付属研究設備は少なく、全科共通の研究センターが充実していました。PCR室を始め分子生物学、遺伝子学的検討に必要な設備は一通り揃っており、研究室自体も広々としていましたが、中で研究している者の数は少なく、各種の分析器も予約などしなくてもすぐに使える様です。これは、中国衛生部からの年間研究費がとても少なく、時間と人手と機械があっても研究を思うように進められないという背景も有る様です。 私の訪問した内分泌科は研究の主体は糖尿病、高脂血症、肥満で、糖尿病のミトコンドリア遺伝子異常や、アポリポ蛋白Jの動脈硬化への関与、アポリポ蛋白Jのインスリン抵抗性、高インスリン血症への関与などの研究が中心で、その他、甲状腺機能亢進症におけるTリンパ球の各種受容体遺伝子の解析などを研究していました。従って高血圧は研究対象では有りませんが、当教室の高血圧におけるインスリン抵抗性、高インスリン血症の講演をしましたが、非常に大きな興味を示してくれました。また、腎性降圧・利尿系の講演もしましたが、彼らは糖尿病性腎症が興味の対象で、その面のデータに対する関心は高く、以上の2つの講演を基礎に熱心な意見交換、討論を戴きました。私が本来、高血圧の研究が中心であると理解されてから、高血圧治療としての中国医学の情報も提供してくれました。 付属病院の中でも付属第一病院は日本に対する関心が極めて高く、図書館には札幌医学雑誌を始め、非常に多くの日本の書籍があり、大学教育の中でも日本語科が選択でき、毎年50人の学生が日本語を習得するとのことでした。少なくとも中国医科大学では英語はほとんど通じませんでしたが、日本語の方は少し通用します。いざとなれば筆談もできるので、英語を使用しない初めての海外出張となりました。 瀋陽における2週間の滞在はそれなりの学問的成果はありましたが、大規模な治療介入試験ができる、中国での臨床医学の実際を直接見て来れたことも大きな収穫の一つでした。そして、現地でお世話いただいた全てのスタッフの先生たちはとても親切で心がこもっており、日本では少し希薄になって来つつある真心を感じました。 ◇◆自己紹介レポート◆◇
☆お知らせ☆ ■国際交流のホームページのご案内 札幌医科大学のホームページの開設に伴い、国際交流のホームページも随時整備していきます。 シンポジウム情報、このニューズレターのほか、教員在外研究の申請書様式などを載せていきたいと思いますので、ご活用ください。 ◆◇自己紹介とニュース◆◇ 海外技術研修員 須釜スエリ小百合 さん(検査部) 私は、須釜スエリ小百合と申します。専門は病理検査です。 日本に来たのは進んだ検査を勉強するために来ました。 日本に来る前には、2年間、検査部につとめていました。 私は「日本人は冷たい人だ」と聞いていましたが、日本に来てから4ヶ月になって、考えは変わりました。日本の人は、親切で好感が持てます。 先月、私は旅行しましたが、札幌はとてもすばらしいところです。雪を見るのが初めてなので楽しみにしています。 日本に来て、とても良い勉強になっています。
【編集後記】 編集発行/札幌医科大学国際交流部
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