札幌医科大学は「道南地域統合遠隔医療サービス圏の形成・構築事業」に参加します。

 この事業は総務省が実施している「地域ICT利活用モデル構築事業」の一環として函館市が受託したもので、本学を中心に市立函館病院や公立はこだて未来大学、函館市内の産科・小児科の医院、道南の公立病院が参加して遠隔医療の新たなシステム作りを進めるものです。1月24日には事業の推進母体として「道南地域遠隔医療サービス・コンソーシアム」(会長:井上芳郎函館市病院局長)が発足しました。

事業概要
 ICT技術(情報通信技術)を活用して、産官学の緊密な連携のもとに道南地域における統合遠隔医療サービス圏を構築し、遠隔地にあっても均一な地域住民サービスとしての医療が提供される統合医療サービス連携体制の確立を目指すもので、下記の事業を実施します。
  ※ICT・・・・ 【情報通信技術】 (Information and Communication Technology )

 @地域住民(患者)の視点に立った医師・医療機関の相互連携システムの構築・強化
  =インターネットを活用した患者診療情報を共有できるシステムの構築=

  札幌医科大学附属病院や函館市立病院などの入院・外来受診の際の診療録、検査成績、画像等の
  診療情報を地元函館の企業が開発したシステムを活用して、地元のかかりつけ医(ホームドクター)
  や地域の中核病院などが閲覧できることにより、患者はどこにいても継続的な医療サービスが享受可能となる。

 A通信環境の基盤整備
  =医療に関する地域間デジタル・デバイド(コンピュータ・通信環境過疎)の解消=
  光回線を活用し、札幌医科大学が実施しているインターネット環境における意志、医療従事者による
  定例的カンファレンスへの参加

 B周産期医療支援システムの構築
  
=妊産婦の見守りシステムの構築=
  自宅から母胎及び胎児の状態、陣痛間隔等の各種情報を遠隔で把握できることにより、医師と妊産
  婦は密なコミュニケーションをとることができ、妊産婦の心身両面の負担の軽減できるとともに、適確
  な医師のアドバイスを得ることが可能となり、安全な周産期医療体制が確立される。

 C生体情報モニタリングシステム(健康状態の見守りシステム)の構築
  患者の全身状態(健康状態)を定常的に把握できるシステムと端末機の導入を行う。また一般住民に
  対しても、心拍、血圧、体重等の生体情報をネットワークを介して管理・閲覧することにより、メタボリッ
  クシンドロームや糖尿病、狭心症などの生活習慣病に備えることが可能となる。
 
 D在宅患者・独居高齢者等の在宅見守りシステムの構築
  独居高齢者等の安否情報を家族やかかりつけ医、消防などが共有する高齢者等の見守りシステム
  により、高齢化社会に伴う独居化傾向に対応可能となる。

  これらの実施により、地域住民(患者)にとって様々な診療・支援機能を有する一つの大規模病院(仮
  想総合病院:Virtual General Hospital)が地域に出現することになり、安心感、信頼感のある医療機
  関が広域に亘って形成されることになります。

  札幌医科大学は昨年9月に連携協定を締結した公立はこだて大学とともに、ICTの医療応用についての研究開発を
  全面的にサポートし、人材育成を兼ねた人的ネットワークの形成に作りの面からこのプロジェクトに参画します。