本学「道民医療推進学講座」の取り組みが毎日新聞で紹介されました

「道民医療推進学講座」の取り組みが毎日新聞で紹介されました

ほっかいどう 札幌医大・道民医療推進学講座 /北海道

 ◇症例検討や市民講座、地域医療の担い手育成

 深刻化する地方の医師不足に対処するため、札幌医大(札幌市中央区)が実践的な研究活動を通じて地域医療機関の機能強化を図る「道民医療推進学講座」を開設し、人材育成に取り組んでいる。地域拠点病院とインターネットを使って症例検討をするウェブカンファレンスに取り組むほか、予防医療の普及を図る市民公開講座を開くなど、地域医療を支える態勢づくりを進めている。【千々部一好】

 ■□遠隔地と結ぶ

 「患者は70代後半の女性。左ひざの可動域が狭く、人工関節を埋める手術を行う予定です」。11月下旬に札幌医大と広域紋別病院を結んで開かれたウェブカンファレンス。インターネット電話の「スカイプ」で双方のパソコンが結ばれ、紋別病院から送られたレントゲン画像や診断結果などを見ながら、札幌医大の専門医がアドバイスをする。この日は4例の症例を検討し、治療方針を話し合った。

 紋別病院は今年4月、道立から紋別市など周辺5市町村に移管された。それに合わせて着任した整形外科の亀田和利医長(42)は「内科や外科は複数の医師がいるが、整形は1人。難しい症例など判断に困る時もある。遠隔地の紋別でも大学病院の専門医のアドバイスが受けられることは心強い」と話す。

 ■□専門医が支援

 札幌医大は昨年9月、道の寄付講座として同講座を開設した。スタッフは内科、整形外科、乳腺外科の専門医4人。道が4年間の運営費2億4000万円を拠出し、医師が不足する遠軽・紋別地区の地域医療をサポートする狙いだ。

 月2回のウェブカンファレンスのほか、札幌医大が紋別病院の医療スタッフを対象に研修会を月1回開く。また、紋別市ではメタボリックシンドロームやエイズ、乳がんの予防のための市民公開講座を開催。今後の地域医療を担う同大の学生を対象にしたアンケート調査も行い、若手医師らが赴任しやすい環境整備へ向け、課題などを抽出している。

 ■□全道モデルに

 道医療計画によると、人口10万人当たりの医師数(06年)が全国平均の217・5人を上回っているのは、札幌や旭川市などのごく一部。04年度から始まった卒後臨床研修制度が、地方の医師不足に拍車をかけた。

 札幌医大は、患者の疾患などを問わず、地域で幅広い診断や治療ができる総合医の養成に力を入れている。また、地域医療を担う人材を入学時から選ぼうと、08年度から旭川医大とともに卒業後に道内で勤務することを条件にした特別推薦を入試制度に設けている。

 道民医療推進学講座を担当する和田卓郎・特任教授は「講座の知名度はまだまだ低いが、住民や医療関係者の声を幅広く集め、遠軽・紋別地区をモデルケースに、全道に広げていきたい」と話している。


 毎日新聞 2011年12月9日 地方版

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  • 道民医療推進学講座