自己骨髄間葉系幹細胞の腎局所投与による糖尿病性腎症の治療

札幌医科大学医学部医学科 解剖学第2講座 教授 藤宮峯子
株式会社ミネルヴァメディカ 河南雅成

背景

  1. 糖尿病性腎症は有効な治療法がなく高率で腎不全へ移行する。わが国の透析患者数は約33万人でその44%を糖尿病性腎症が占める。人工透析には毎年約1.57兆円の医療費を要する。
  2. 本講座では、骨髄間葉系幹細胞の腎局所投与で腎不全の進行が抑制出来、透析療法を遅延または回避できる事を見いだした。
  3. 本講座の研究で、骨髄間葉系幹細胞の全身(静脈)投与では、腎不全期では治療効果がなく、腎局所投与により最大の治療効果が得られることがわかった。

自己骨髄間葉系幹細胞の治療効果を高めるための工夫

  1. 賦活剤の発明
  2. 3次元構造を有した培養基材での培養
    • 3次元構造を有した培養基材と賦活剤を併用することで、糖尿病、慢性炎症、自己免疫疾患、加齢などで治療効果の減弱した骨髄間葉系幹細胞を活性化し、さらに治療効果の高い細胞を培養する方法を発明した。

腎局所投与による新規治療法の開発

3次元構造を有したシート状の培養基材の上に自己骨髄間葉系幹細胞を培養し、腎臓に局所投与する新規治療法を開発した。

治療効果

治療前と治療後の比較画像1
MSCシート治療で、糸球体異常と尿細管異常が改善する
治療前と治療後の比較画像2
糖尿病性腎症に特徴的な糸球体結節性病変が改善する

本技術で治療可能な疾患

  • 我々が開発した技術は、糖尿病性腎症や慢性腎臓病だけでなく、慢性炎症(線維化)を起こした各種臓器の治療に広く応用できると考えられる。
  • さらに、3次元培養基材+賦活剤で活性化された細胞は、自己免疫疾患モデルやアルツハイマー型認知症モデル動物においても高い治療効果を発揮することを証明した。

産学連携の経歴

経歴一覧表
2014年-2016年 株式会社アインホールディングスによる寄付講座 「糖尿病細胞療法講座」設立
2017年 大学発ベンチャー「株式会社 ミネルヴァメディカ」設立