北海道分子生物学研究会(HAMB)

 講 演 会 の お 知 ら せ


第 327 回 例会
演題 

Rho と Rho エフェクターの細胞での役割とシグナル伝達
演者

成宮 周 教授

京都大学大学院医学研究科

日時  2000年 7月 11日(火)17:00〜18:30
場所  北海道大学・遺伝子病制御研究所講堂(医学部北棟6階)


Rhoは、ストレス・ファイバー、収縮環など、細胞の状況に応じて時間空間特異的なアクチン細胞骨格を形成する。しかし、この時空間特異的な制御メカニズムは不明である。Rhoは下流のエフェクターに働いてその作用を発揮する。この一つがキナーゼROCKである。ROCKはミオシン脱リン酸化酵素を阻害してミオシン収縮を亢進するほか、LIMキナーゼの活性化を介してコフィリンを不活化しアクチン脱重合を抑制する。また、もう一つの主要なRhoエフェクターmDiaは、プロフィリンを結合しアクチン重合に働く。このように、Rhoエフェクターはアクチンの重合、脱重合、ミオシン収縮など、アクチン細胞骨格の基本的な働きを直接制御している。では、これらの作用はいかに時間空間特異的に制御されているのだろうか。我々は、発現実験から、mDiaが細胞内でのROCKの無秩序な働きを制御して並行化したストレス・ファイバーを形成すること、mDiaはアクチン束に加え微小管をも並行化し細胞の伸長を起こすこと、並行化微小管は細胞両端にあるmDiaに富む足場様構造に終止していることを見出した。更に、微小管はゴルジからの小胞輸送を介したシグナルによりアクチンの束化を誘導していることを示唆する結果を得ている。我々は以前細胞の伸展縁、phagocytic cupなどでのmDiaとRhoの共存を見出しており、これらの結果は、RhoがmDiaを介して微小管とアクチン細胞骨格を協調させ、時間空間特異的な細胞骨格制御を行っていることを示唆するものである。

  主催  北海道大学・遺伝子病制御研究所
  共催  北海道分子生物学研究会
北海道癌談話会
 連絡先  北海道大学・遺伝子病制御研究所・癌遺伝子制御分野
葛巻  暹
Tel: 706-5020
Fax: 706-7869
E-mail: kuzumaki@med.hokudai.ac.jp

[北海道分子生物学研究会ホームページ http://web.sapmed.ac.jp/biochem2/HAMB/HAMB.html]