Entered: [2000.04.16] Updated: [2000.09.01] E-会報 No. 48(2000年 7月)


研究室紹介

北海道大学遺伝子病制御研究所病態研究部門免疫応答分野

小野江 和則



 2000年4月1日より、旧北大免疫科学研究所と旧北大医学部附属癌研究施設が統合され、北大遺伝子病制御研究所が設置されました。それに伴い、私どもの教室も表題のごとく、長い名前に変わりましたが、昔の名前では免研病理です。

 免疫応答分野は、教授:小野江 和則、助教授:岩淵 和也、助手:柳川 芳毅、研究支援推進員:岩淵 千雅子、事務補助員:河野 かおりの他、PD2名、大学院生4名、ビジティングフェロー/スチューデント16名より構成されており、この15年程は、20名前後がフルタイムで研究を行う体制となっております。ただ、常時10名以上いた教室の大学院生が、最近減少気味なのは、いささか気になるところです。臨床研修制度の変更等、医学部卒業生が直接基礎研究部門に入る道が、心理的に狭められつつあるといったことも、影響していると思われます。しかし、重点化した医学研究科の協力講座(免疫生物学)として、一定数の大学院生を基礎医学研究のために確保し、さらに後継者を育てる方策を真剣に考えなければならないことを理解していながら、所長職も5年目で教室のケアに自分の時間を充分割けなくなった身をもどかしく感じております。

 当教室における研究の中心は、T細胞の分化と抗原認識機構ですが、最近この研究から派生してきたNK-T細胞についても、精力的に仕事が進められています。さらにマクロファージ、樹状細胞の機能、シグナル伝達系などについても、幾つかプロジェクトが進行中です。

 そもそもT細胞の研究を始めることになったきっかけは、先代の森川 和雄名誉教授時代から、細胞性免疫が教室の中心テーマだったことにもよりますが、やはりNY留学時代に、当時Sloan-Kettering癌研所長であったGood先生の元で、マウスの骨髄移植の仕事を始め、また、ちょうどこの時期にZinkernagelとDohertyの仕事に遭遇したことが大きかったようです。T細胞のself-recognitionが、主要組織適合抗原(MHC)を軸にしていること、この認識系がT細胞が分化する環境因子により決定されることが、骨髄キメラを用いた実験で明らかになりました。まさにCellular Immunology隆盛期の興奮が、思い出されます。

 現在は、さらにprimitiveな細胞認識機構にも興味があり、マクロファージやNK細胞、NK-T細胞を経て、T細胞、B細胞の厳密な認識系が備えられてきたプロセスそのもののに、アプローチ出来たらなどと考えております。
HAMB会報幹事の佐藤 昇志教授より、遺伝子病制御研究所の概要について紹介するようにご指示があったので、残りの紙面で新研究所について若干説明させていただきます。

 冒頭に述べたように、旧北大免研と旧北大医学部癌研が統合して出来た遺伝子病制御研究所は、3大部門、2附属研究施設、事務部より構成されています。3大部門のうち病因部門は、癌ウイルス(高田 賢蔵教授)、癌関連遺伝子(守内 哲也教授)、情報調節(菊池 九二三教授)と分子免疫(上出 利光教授)の4分野、病態部門は、癌病態(細川 眞澄男教授)、感染病態(志田 寿利教授)、病態修飾(畠山 昌則教授)、免疫応答(小野江 和則教授)の4分野、そして疾患制御部門は、癌遺伝子制御(葛巻 暹教授)、免疫制御(西村 孝司教授)、分子間情報(田中 一馬教授)、遺伝子治療開発(外国人客員)のそれぞれ4分野より構成されています。また附属施設としては、疾患モデル動物実験施設、ウイルスベクター開発センターの二つがあり、それぞれ教官として、助教授1,助手1がついています。

 研究所のスタッフ数は67名で、これにPD、大学院生等を加えると、合計180名前後が、狭い所内にひしめいていることになります。所内と言いましたが、実際は医学部の北棟、中研究棟、東研究等にたこ足状態に分散しており、まだまとまった組織の体をなしていません。医学研究科自身も激しい狭隘化の中、新研究所がまとまって外に出ることにより、一挙にこの問題が解決出来ると、現在新研究所の新築を要求しております。しかし、北大全学の重点化等の影響で、建築の要求が各部局より多数出されており、学内の順位がどうつけられるかで、運命が決まるようです。

 さて肝心の新研究所の研究内容ですが、癌、ある種の免疫疾患、その他、代謝疾患、循環器疾患など、多くの疾患が遺伝子、あるいは遺伝子の発現異常によることが判明しており、これらはいずれも難治疾患です。新研究所では、バイオの時代と云われる21世紀に向かって、これら遺伝子病の原因、病態、制御の基盤を確立し、最終的にこれら難病の克服を目的として、研究を進めていきたいと考えております。


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