Th1, Th2細胞依存的なアレルギー発症メカニズム
北海道大学遺伝子病制御研究所・免疫制御分野 西村孝司
生体に異物が侵入した場合、DC等の抗原提示細胞による抗原プロセシングが行わる。次に、DC/Thの相互作用を介してナイーブTh細胞はTh1あるいはTh2に機能分化する。この過程において Th1あるいはTh2の一方向に免疫バランスが偏向した場合、免疫病が発症すると考えられている。我々は、OVA特異的なTCRトランスジェニックマウス由来のTh1,
Th2細胞を野生型のマウスに移入し、人為的にTh1/Th2バランスを偏向させることにより各種の免疫病モデルが確立できることを示してきた。今回は、同一のナイーブThから誘導したTh1,
Th2細胞が異なった機構で気道アレルギーを惹起できることが明らかにしたので、その分子メカニズムを中心に述べたい。特に、Th2依存的に誘発される好酸球の浸潤を伴った気道アレルギーの発症においては、Stat6が単にTh2の分化誘導因子であるIL-4,
IL-13のシグナル伝達物質としてでなく、気道炎症のエフェクターフェイズに重要な気道上皮細胞によるエオタキシン産生に重要なシグナル伝達物質として機能していることを明確にしたので報告したい。また、Th1細胞によっても気道抵抗性の強い上昇が惹起され、好中球の浸潤を伴った気道炎症が誘発されるが、本系の好中球浸潤にはIL-8様のC-X-Cケモカインが重要であることも明確にしたので紹介したい。