初代会長挨拶 札幌医科大学・名誉教授 藤永
1980年12月、北海道分子生物学研究会が、北大理、医、薬、農、獣医、各学部、札医大、旭川医大、帯広畜大、北海道教育大などからの100名を越える各分野の研究者によって発足しました。設立趣旨にも述べてありますように、最近の分子生物学の扱う研究対象は多様化し、研究内容もますます複雑化する傾向にあり、遺伝子組み換え実験を例にとるまでもなく、新しい分子生物学的思考や実験技術が次々と開発されてきております。北海道地域においても研究者相互の交流と討論を深め学際的連携を目指したいということで、核酸やタンパク質の分子生物学的研究をおこなっている人々のみならず、生化学一般、微生物学、生理学、細胞学、遺伝学、免疫学、病理学などいろいろの分野で研究をされている方々が多数会員として参加されました。
はやくも発足後1年半が過ぎましたが、この間研究会の基礎固めと同時にまず国内外からの方々の研究講演会を6回をもち、また本年6月には遺伝子組み換え実験に関する公開講演会の開催が本会の企画によって予定されております。また今後、これら講演会に加えて分子生物学的技術セミナーを含めたワークショップなど実験に密着した知識・情報の交換の機会を持つ希望もでてきております。適任とは言い難い私が会長に選出されて、いささかとまどいを憶え、私の力不足のため決して満足のいくこの1年半ではありませんでしたが会員の皆様方のお力によってともかく研究会の第1歩を踏み出すことができました。
科学の新しい進歩は学際的な分野においてより急速なことを考えますと、北海道においてこのように多方面の方々が本研究会に参集されたことはほんとに喜ばしいことですし、また有意義なことと思います。本研究会を母体として実りある協同研究や新しい研究の萌芽が続々と生まれてくる様に、そして北海道が日本における分子生物学を含めての生命科学のひとつのセンターとして育つ様に、会員の皆様ともども努力する覚悟でおります。
1982年4月14日記(1982年5月発行 HAMB会報第1巻 巻頭言より)