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ノロウイルスの新知見


片山 和彦

片山 和彦(国立感染症研究所 ウイルス第2部)


 ノロウイルス(NoV)は、1972年にKapikian博士らによってその姿が電子顕微鏡で捉えられて以来、今年で36年が経過した。依然として、ヒトに感染するノロウイルスを効率よく培養細胞で増やすことができないため、研究の進展速度は芳しくない。しかし、NoV中空粒子に結合する組織血液型抗原の発見、マウスの培養細胞RAWで増殖させることができるマウスノロウイルス(MuNoV)の発見、リバースジェネティックス系の構築、蛋白質の構造解析などの技術進歩などにより、2000年以降NoV研究の進捗速度が速まりつつある。加えて、昨今のNoV GII/4の世界的な流行は、社会のNoVへの感心を高め、研究の進展を後押ししている。

 このような背景があり、1995年から1999年にかけて、科学論文データベースのPubMed上で150件/年を推移していたNoVに代表されるカリシウイルスの論文報告数は、2000年以降から増加し始め、2005年には200件越え、本年度は8月終了時点ですでに231件に達するなど、増加傾向が加速している。

 本演題では、2008年に報告された論文から、私が独断で決定したベスト10のアウトラインをカウントダウンで紹介する。以下に紹介予定の論文の和訳タイトルを示した(順位は当日のお楽しみに・・・)。



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