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2007年度 業績・論文

 当科では、現在の標準治療では治癒が見込めない泌尿器がんに対する、新しい治療の開発に取り組んでいます。以下に現在実施中の臨床試験を紹介します。

1)
    • 転移性サバイビン陽性尿路上皮癌におけるペプチドワクチン療法としてのHLA-A24拘束性サバイビン遺伝子産物由来ペプチド+IFA(不完全フロイントアジュバント)療法と、IFN-α併用投与に関する検討(第I相試験)
2) サバイビン陽性再発膀胱癌におけるペプチドワクチン療法としてのHLA-A24拘束性サバイビン遺伝子産物由来ペプチド+IFA(不完全フロイントアジュバント)療法に関する検討(第II相試験)

 いずれも尿路上皮がんに対する「がん免疫療法」です。1)は転移があり、抗がん剤による全身化学療法が効かなくなった膀胱がん、腎盂がん、尿管がんの患者さんが対象です。2)はBCGまたは抗がん剤の膀胱内注入療法を行っても再発してしまった筋層非浸潤性膀胱がんの患者さんが対象です。
 サバイビンは膀胱がんなど種々のがんで発現する遺伝子です(文献1)。成人正常組織ではほとんど発現がみられないため、私たちはがん細胞だけに発現するサバイビンを標的とした免疫療法を開発しています。免疫療法にはいくつかの種類がありますが、安全性・簡便性に優れているとされるペプチドワクチン療法を採用しました。当科ではすでに一つの臨床第I相試験を終了しており、安全性に関しては問題がないこと、一部の患者さんでサバイビン発現細胞を傷害するリンパ球が多数誘導され、実際臨床効果が認められたことを確認し、英文医学雑誌に発表しました(文献2)。現在行っている臨床試験は、さらに抗腫瘍効果を高めるためにインターフェロン-αという免疫賦活剤を併用する方法と、再発予防を目的としたがんワクチン療法の二つになります。
 臨床試験に参加していただくには、病気・病態の他に二つの条件が必要になります。一つは白血球型がHLA-A24陽性であること、もう一つはがん組織がサバイビンを発現していることです。実際日本人の約60%がHLA-A24陽性であり、尿路上皮がんにおけるサバイビン陽性率は約90%です。

 当科では膀胱がんを代表とする尿路上皮がんの他に、腎がんや前立腺がんに対する新しい免疫療法を開発する計画があり、基礎実験や臨床検体を用いた実験で良好なデータが得られています(文献3,4)。これらのがんに対しても、臨床第I相試験の開始に向けた準備が進められています。

 
文献
1. Kitamura H, Torigoe T, Honma I, et al. Expression and antigenicity of survivin, an inhibitor of apoptosis family member, in bladder cancer: implications for specific immunotherapy. Urology 2006;67:955-9.
2. Honma I, Kitamura H, Torigoe T, et al. Phase I clinical study of anti-apoptosis protein survivin-derived peptide vaccination for patients with advanced or recurrent urothelial cancer. Cancer Immunol Immunother 2009;58:1801-7.
3. Sato E, Torigoe T, Hirohashi Y, Kitamura H, et al. Identification of an immunogenic CTL epitope of HIFPH3 for immunotherapy of renal cell carcinoma. Clin Cancer Res 2008;14:6916-23.
4. Honma I, Torigoe T, Hirohashi Y, Kitamura H, et al. Aberrant expression and potency as a cancer immunotherapy target of alpha-methylacyl-coenzyme A racemase in prostate cancer. J Transl Med 2009;7:103.

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治験

 人における試験を一般に「臨床試験」といいますが、「くすりの候補」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床試験は、特に「治験」と呼ばれています(厚生労働省ホームページより)。


現在当科では腎がん、前立腺がんに対する治験を行っています。詳細は当科外来までお問い合わせください。

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