頭部3D‐CTAにおける形状再現性の基礎的検討

Basic studies of shape reappearance on Cerebral Vascular 3D‐CTA

小寺秀一 大森恒 安井一久

医療法人 札幌麻生脳神経外科病院 (1996年2月8日 受理)


 

Summary

Three‐dimensional CT angiography(3D‐CTA) of the cerebral vascular region is highly evaluated among radiologists and doctors. Due to the introduction of helical CT scanners, 3D‐CTA is now widely used for accurate examination of cerebral aneurysms.
The shape reappearance of vessels depends greatly on the contrast enhancement technique, the contrast enhacement's effect for every patients, and scan techniques.
To determine how these factors affect the shape reappearance of vessels, experiments were carried out using a hand-made phantom which was quite similar to a real human head. The results showed that a better shape reappearance of the cerebral vascular region could be obtained through the following scan and contrast enhancement techniques: a thinner slice with a slower table movement, a smaller FOV and smaller pitch for image reconstruction, a higher resolution algorithm and a higher signal/noise ratio, higher voltage, higher electric current, and a contrast enhancement which enables a higher threshold to be set.

Key words: Helical Scan, 3D‐CTA, Vascular Phantom, Scan technique, Shape reappearance

緒 言

頭部 3D‐CTAにおいて, 血管の形状再現性は, 造影手技の違いや患者個々の造影効果の差異, また, 様々なScan条件の違いによりに大きく左右される.
従来試みられてきた, ヘリカルScanによる 3D‐imageの形状再現性に対する検討は, アクリルを空気中に置いた物など, 高コントラストのファントムで行った物が多いが, 実際の頭部 3D‐CTAでは頭蓋骨に囲まれた部位を目的としているため, 特に頭蓋底部などは, より高線量を必要とし, また, 造影血管と脳実質とのCT値の差は造影手技にも因るが, SSD法による閾値抽出にとって充分とは言いがたく, 高コントラストファントムによる検討結果が必ずしもあてはまらない. 即ち, 造影効果や設定条件によってはAxial‐imageの分解能やSD値を悪化させ, 3D‐imageの形状再現性が損なわれることが考えられる.
今回我々は, より, 実際の人体頭部に近い条件のファントムを作成し, 様々な条件下での血管形状再現性について検討した.

目 的

実際の人体頭部をSCANしたときと同等の状況を, 自作ファントムで出来るだけ再現し, SCAN条件(スライス厚, テーブル移動, kV, mAs) ・再構成間隔 ・再構成関数 ・目的血管のCT値 ・頭蓋骨の厚さの違いによる頭部 3D‐CTAの血管形状再現性を総合的に評価し, 臨床上の問題点を考察する.
1. 使用装置
CT Scanner: GE YMS社製 ProSeed Accell Ver. 4. 00
3D Imaging: On Console Surface Rendering Software
2. ファントム
Fig. 1 に示すような人体頭部を想定したファントムを作成し, 最小内径6mmの蛇腹状の模擬血管を封入し, 模擬血管の中に様々な濃度の造影剤水溶液を満たしたものを用いた. この模擬血管の特徴は Fig. 2 に示すごとく, 微細で複雑な形状を呈していることで, また, チューブの肉厚が0. 25mmと薄い為, Axial画像上で周辺組織との間にエッジ効果を生じる事無く, 実際の人体血管と同等に評価出来る事である.

方 法

模擬血管がScan面に垂直になるようにファントムを配置し, 以下の項目を基準条件として, 検討項目をそれぞれ変化させてScanし, 模擬血管の形状再現性につて視覚的に比較, 検討した.
(基準条件)140kV, 130mA, scan time 1. 5sec
      slice thickness 1 mm,
      Table feed 1mm/rot
      Recon picth 0. 1mm,
      再構成関数 Standard,

また, 模擬血管内の造影剤濃度は, 今回用いた中で形状再現性に最も有利であると思われる, CT値430HUの物を基準条件とした. 補間再構成は180度対向ビーム補間法とし, Display FOVは模擬血管の 3D 画像がFOV一杯に表示される様に2cmに拡大表示して, コンソール上のSurface Rendering Softにて 3D 構築した. また, 閾値は 3D 画像上で模擬血管の実径が正しく描出されるように設定した.

1. スライス厚, テーブル移動と形状再現性の関係
スライス厚1mmに対してテーブル移動を1mm/rotation, 1. 5mm/rotation, 2mm/rotation, スライス厚3mmに対してテーブル移動を2mm/rotation, 3mm/rotationと変化させScanした. また, スライス厚3mmの時, Focusサイズがlarge, smallのそれぞれの場合について比較した. 再構成間隔はテーブル移動3mm/rotation時の最小である0. 3mmピッチとした.
2. 再構成間隔と形状再現性の関係
再構成間隔を0. 1mm, 0. 2mm, 0. 3mm, 0. 5mmと変化させて再構成し 3D 構築した. また, Display FOVを変えて, 再構成間隔が 3D 構築時のボクセルサイズ以下になる場合の描出能の変化を比較した.
3. 再構成関数と形状再現性の関係
再構成関数をSoft tissue, Standard, Detail, Boneと変えて, 再構成し, 3D 構築した. また, 同じ模擬血管を2本隣接して配置したもの(最も近接した点で0. 5mmの間隙を有する)をScanし, 各再構成関数の空間分解能の違いに因る影響を比較した.
4. kV, mAsと形状再現性の関係
当院のCT ScannerはScan timeによってビュー数が変化しないため, 単純にmAとScan timeの組み合わせによって一回転あたりのmAs値を設定し, 120kVに対して195mAs, 240mAs, 320mAs, 140kVに対して130mAs, 195mAs, 240mAs, のそれぞれの条件でScanした.
5. 目的血管のCT値と形状再現性の関係
模擬血管内の造影剤濃度をCT値で430HU, 390HU, 350HU, 300HU, 260HU, 210HU, 170HUと設定した物を全て同一条件でScanし, 3D 構築して形状再現性を比較した.
6. 頭蓋骨が形状再現性に及ぼす影響
頭蓋骨を想定した造影剤水溶液層が存在しない場合, CT値1, 000HUの場合, CT値1, 600HUの場合についてScanし, 3D 構築した. 但し, この検討項目のみ, 過去に我々が行った, 頸部 3D‐CTAを対象とした検討においてID1), 形状再現性が保たれる下限値であると思われたCT値300HUの模擬血管を対象とした.

結 果

1. スライス厚, テーブル移動と形状再現性の関係
Fig. 3 に示すようにスライス厚は薄く, テーブル移動は遅いほど形状再現性は良くなった. また, 1mmスライス-2mm/rotationの方が3mmスライス-2mm/rotationよりも形状再現性は良く, さらに, 3mmスライス-2mm/rotationの時, large Focusでは蛇腹を認識できなかったが, small Focusではわずかに認識できた.

2. 再構成間隔と形状再現性の関係
周知のごとく再構成間隔が細かいほど形状再現性は良くなった. また, Display FOVを6cmとし, 3D 構築時のボクセルサイズが約0. 24mm(60÷256)とした時, 再構成間隔0. 1mmと0. 2mmの間に明らかな形状再現性の差は認められなかった(Fig. 4).

3. 再構成関数と形状再現性の関係
模擬血管が単独で存在する場合は, Soft tissueが最も良く, 高分解能の関数になるに従って, ノイズ成分が増え形状は悪化した(Fig. 5).

模擬血管を2本隣接して配置したものは, Soft tissueでは実径が正しく表現される閾値では2本の血管がつながって描出され, 空間分解能の違いを反映した結果となった(Fig. 6).

4. kV, mAsと形状再現性の関係
kV, mAsを変化させた画像を Fig. 7 に示す. 120kV, 140kV共にmAs値が高いほど形状再現性は良くなった. また, 140kVは全般に120kVよりも形状再現性は良く, 120kV-240mAsよりも140kV-195mAsの方が蛇腹の形状が正確に描出された.

5. 目的血管のCT値と形状再現性の関係
Fig. 8 に示すごとく, 模擬血管のCT値が高くなるほど蛇腹の形状が忠実に再現されており, 430HUでは輪郭が規則正しく描出され, かなり精度の高い 3D 画像と言える. 300HU以下になると形状再現性は悪化し始め, 210HU, 170HUでは, 実物の形状とはかけ離れた画像になった.

6. 頭蓋骨が形状再現性に及ぼす影響
頭蓋骨を想定した造影剤水溶液層が存在しない場合に比べ, 他の2つは明らかに形状が悪化し, さらに, 造影剤水溶液層のCT値が1, 000HUの物より1, 600HUの物の方が形状再現性は悪かった(Fig. 9).


考 察

 ヘリカルScannerが急速に普及し, その有用性も広く認められるものとなったが, 3D 画像, 特に 3D‐CT Angiography(3D‐CTA)の画質については未だ幾つかの問題点を残している. それは, 一言で言うなら画像の信頼性であり, 常に安定した画像が得られない, また, 作り手の技量に画像が左右される等である. 我々の施設では1993年10月より1995年9月までに約450件の頭頚部 3D‐CTAを行ってきたが, 現在, 様々な状況に応じた具体的なルーチン プロトコルが確立しているにもかかわらず, 3D‐CTAの画質はいまだ不安定な要素を有していると言わざるを得ない感がある. 画質の善し悪しは患者個々の造影効果の違いや, 体格の差によるAxial画像のS/Nの違いに左右され, それらは, 直接 3D 画像の信頼性に大きく影響する. 当院における 3D‐CTAの位置付けは精密形態診断であり, 特に脳動脈瘤等の病変に関してはMRA, DSAより上位の検査と言え, 血管形状が精細かつ正確に描出される事が重要となる.

今回の検討に際して, 実際に人体頭部をScanしたときと同様の評価が可能となるように, 外周に骨と同様のCT値, 内筒に脳実質と同様のCT値の造影剤水溶液を満たしたファントムを自作した. 模擬血管には, 微細で評価しやすい形状であり, かつ, 実際の造影血管に則したCT値を有する様に, 肉厚0. 25mmの蛇腹状のポリプロピレンチューブに造影剤水溶液を満たしたものを用いた(Fig. 1). この模擬血管は最小内径が6mmであるので, 頭部血管では内頸動脈領域に相当するが, 蛇腹の凹凸の一つ一つが0. 8mm×2mmであり(Fig. 2), この微細な形状の再現性を確認する事により, 頭蓋内の他の主要血管も含めた全般的な評価としてあてはまると判断した. また, チューブの肉厚がごく薄いために, Axial画像上では脳実質に見立てた造影剤水溶液層との間に境界無く造影血管のみが描出され, 濃度分解能を忠実に反映する. これらのファントムを用いることにより, 今までは手術所見との比較によって確認していた 3D‐CTAの血管形状再現性を, より的確に評価する事が可能となった.

今回の検討の目的は当初, 主に造影効果やAxial画像のS/Nの違いに因る形状再現性の良否であったが, あらゆる要因を総合して評価するため, スライス厚, テーブル移動, 再構成間隔, 再構成関数等の項目もあわせて検討した.

スライス厚, テーブル移動の検討は, すなわち体軸方向の分解能がそのまま形状再現性に大きく影響する事を示し, 半ば常識となっているように, 薄く, 遅いほど, また, Focusサイズは小さいほど形状再現性は良い2). しかし, 臨床ではどうしてもScan範囲が必要で, 体軸方向分解能を犠牲にする様な設定を容認せざるを得ない場合がある. ファントム実験では, 同じ2mmテーブル移動でも1mmスライスの方が3mmスライスよりも形状再現性は良く, 同じ範囲をScanする場合, 厚いスライスでOverlapするよりも薄いスライスでExtendした方が体軸方向分解能は維持される事を示している. これは, 過去に報告されているアクリルファントムによる実験と同様の結果だった2). しかし, 早いテーブル移動はスライスプロフィールを悪化させる為3), 注意が必要である. 著者らはスライス厚の2倍のテーブル移動まではExtendが有効だと考えている. 再構成間隔もまた, すでに知られている通り細かいほど形状再現性は良いが, どこまで細かく再構成するかと言う問題は当然発生する. 目的対象物の1/10で再構成すれば良好な 3D が得られるとの報告が有るが4), 我々は今回の検討で, 再構成間隔と 3D レンダリング時のボクセルサイズ(当院の装置では元画像のFOVによって決まる)との関係を確認し, 理想的には, ボクセルサイズと同等まで再構成間隔を細かくするのが良いとの結果を得た. 言い換えれば, ボクセルサイズが大きければ, 細かく再構成しても画質の向上は得られないと言うことであり, 微細な形状を描出するためにはSmall FOVによるTarget処理が不可欠である事を示している5), 6).

再構成関数の検討では, 当初の予想に反して, 空間分解能に最も劣るはずのSoft-tissueが最も形状再現性が良く, これは, 3D の形状再現性はノイズ成分に大きく影響されている事を示し, よって, 最もノイズの少ない再構成関数が良い結果を得た.

しかし, 模擬血管ファントムを2本隣接して配置し, Axial画像の空間分解能にさらに着目したところ, やはりSoft tissueでは, 正しい径を描出する閾値で画像を作成すると, 2本の血管を分解する事は出来ず, 一塊となって描出された(Fig. 6). これは, 臨床上の入り組んだ血管走行を考えた場合, また, 動脈瘤の頚部や周辺血管との関係の描出を考えた場合には, やはり問題があると思われ, ある程度空間分解能に優れノイズも少ない再構成関数であるStandardを用いるのが良いと思われた. ノイズの少ない, 即ち高S/Nが形状再現性に良い結果をもたらすと言うことは, kV, mAsの検討でも同様の結果を示し, 高電圧を用い, 透過線量を増やしてS/Nを上げる事が必要であると言える. 装置による制限から, 高電圧を用いた場合使用可能な管電流は低くなるが, 120kv-240mAsよりも140kv-195mAsの方が形状再現性が良い事から, 電流を下げても電圧を上げて用いた方がS/Nには良い結果をもたらすと予測できる7), 8). 一般に140kvは120kvに比べ濃度分解能が劣ると言われるが, サーフェイスレンダリングを目的とするような次元のコントラストでは問題とはならないようである.

サーフェイスレンダリングはCT値を2値化する事により作成されるため, 3D 作成時の閾値が高いほどノイズ成分は除外され形状再現性が向上すると考えられる. 閾値を高く設定するためには, 目的対象物のCT値が高くなければならなず, 今回の検討では Fig. 8 に示すように, 模擬血管のCT値が350HU以上であれば, 蛇腹のそれぞれの凹凸を形成する面が規則正しく表現され, 輪郭が不均一になる事無く, 実際の形状に則した 3D 画像を作る事が出来た. 300HUになると, 蛇腹の凹凸部分の角が若干丸くなり, 形状再現性が悪化する傾向が現れ初め, 260HU以下では明らかに不規則で不均一な形状となった. これらの事から, 頭部 3D‐CTAでは目的血管のCT値が350HU以上(適正閾値は200前後)であれば, 信頼性の高い形状再現性が得られると考えられた. また, 閾値が200前後のレベルになると多少閾値を増減しても, 閾値の範囲内に含まれるノイズ成分の量は大きく変わることが無いため, 血管形状も大きく変わる事はなく, 適正閾値の許容範囲は広くなる1). 故に, 血管のCT値を高くする事により, 形状再現性の信頼度を上げると共に閾値操作の難しさをも軽減する事が出来ると考えられ, いかに血管のCT値を高く維持するかが, 3D‐CTAを行う上での重要なテクニックと言える. 著者らは過去に, 頚部 3D‐CTAを目的とした良好な画像を得るための造影手技を検討し1) 幾つかの回答を得たが, 頭部の場合は Fig. 9 のごとく頭蓋骨によって脳血管のS/Nが劣化し形状を悪化させる事から, 頚部血管を対象とした時よりもさらにCT値を高く維持する事が出来る様な造影方法が必要であり, また, さらにS/Nを向上させる様なScan条件が必要であると考える.

今回の検討はすべてコンソール上のサーフェイスレンダリングによって行ったものであり, ワークステーションに因るボリュームレンダリングによって処理する事により形状再現性の改善の可能性はあるが, 基本的にAxial画像のCT値を元にしている事から, 著者らはボリュームレンダリングによっても同様の傾向は有ると考えている. 将来, 機会が有れば検討したい.

今回の検討を総合すると, 形状再現性の良い高精度の頭部 3D‐CTAを得るための条件は, (1)薄いスライスで遅いテーブル移動, (2)小さいFOVで細かい再構成間隔, (3)空間分解能と低ノイズを両立した再構成関数, (4)高電圧で, 高線量, (5)高い閾値処理が可能な造影手技であると言うことが出来る. すなわち, 3軸全てに高分解能で, 出来るだけS/Nの高い元画像を得ることが重要であり, S/Nを補うためには高い閾値処理が不可欠である. 現実的には, 日頃, 常に理想的な条件設定を実現するのは難しいが, 後処理で変更出来る物以外, すなわち, 管電圧, 管電流, スライス厚, テーブル移動, 造影剤静注条件は優先的に設定されるべきである. 実際に我々の施設では, 140kV, 130mA, 1mm sliceは妥協することなく選択し, テーブル移動は頭部の場合は最大1. 5mmまで, Scan timeも出来るだけ1. 5secを用いている. また, 造影剤静注条件も, 現状ではScan中の血管のCT値を出来るだけ高く維持するために, 急速多量注入1), 6) を行っているが, 造影剤の使用量を減らす為にも, 更なるScanの高速化が望まれる. しかし, 一方では高速化による線量不足という問題もあり, 今回の検討においても, 1秒SCANでは満足のできる形状再現性は得られなかった. しかし, この問題は最近普及しつつある個体検出器の採用により, 大きく改善されると予想され, さらなる装置の改革, 革新によって, 近い将来には 3D‐CTAの信頼性も普遍的に達成されるであろうと考えている.


結 論

  1. 頭部 3D‐CTAにおける, 精密形態診断を目的とした形状再現性について, 自作ファントムを用いて, 様々なScan条件やその他の因子を変化させて, 3D 構築し検討した.
  2. 体軸方向分解能は形状再現性に直接影響し, 薄いスライス, 遅いテーブル移動, 小さいFocusサイズが良い結果を示した.
  3. 再構成間隔は細かいほど良いが, ボクセルサイズとの兼ね合いから, Target処理は不可欠である.
  4. 脳血管を描出するには, 空間分解能と低ノイズを両立した再構成関数が, 良いと思われた.
  5. 140 kVの方が120kVよりも, mAsを下げてもなお形状再現性が良かった.
  6. 血管のCT値は高いほど形状再現性は良く, 具体的には350HU以上であれば信頼性は高い.
  7. 頭蓋骨の存在は, 血管形状を悪化させる要因となる為, 他の部位にくらべ, さらに設定条件, 造影効果に注意が必要である.

文 献

  1. 大森 恒, 小寺秀一, 安井一久 他:頭頚部 3DCT‐Angioにおける造影剤静注方法の検討. 日放技学誌 51(10):1461, (1995)
  2. 安野泰史, 片田和廣, 辻岡勝美 他:ヘリカルスキャンCTの基礎的研究(体軸方向の空間分解能の評価). 日本医放会誌 52:1540‐1544, 1992
  3. 井田義宏, 沢田武司, 辻岡勝美 他:高速CT装置によるヘリカルスキャンの基礎的検討(第3報―スライスプロフィールの変化について). 日放技学誌 47(8):1218, 1990
  4. 嶋田真理, 宮下宗治, 伊藤勝雅 他:微細構造物のヘリカルスキャンによる三次元表面表示の検討. 北放技術誌 53:19‐25, (1993)
  5. 平野 透, 才川恒彦, 片桐好美 他:スパイラルCTスキャンを使用した頭部疾患 3D. MIP 画像の有用性. 北放技術誌 54:89‐94, (1994)
  6. 平野 透, 田辺純嘉, 秋葉英成 他:海綿静脈洞近傍の 3D‐CT Angiographyにおける造影能の検討. 映像情報 8 東京:974‐976, (1994)
  7. 片田和廣, 竹下 元, 小倉祐子 他:ヘリカルスキャンによる3次元血管イメージング. ヘリカルスキャンの基礎と臨床 東京:170‐182, (1993)
  8. 井田義宏, 山本明人, 日比野安国 他:高速CT装置によるヘリカルスキャンの基礎的検討(第6報)撮影条件の検討. 日放技学誌 48(8):1171, (1992)


要 旨

ヘリカルScannerの普及に伴い, 頭部 3D‐CT angiographyの有用性は広く認められ, 多くの臨床に用いられている. しかし, 血管の形状再現性は, 造影手技の違いや患者個々の造影効果の差異, また, 様々なScan条件の違いによりに大きく左右される. 今回我々は, 自作ファントムを用いて, 実際の人体頭部をSCANしたときと同等の状況を出来るだけ再現し, 形状再現性に影響を及ぼす様々な要因について検討した. それらを総合すると, 形状再現性の良い高精度の頭部 3D‐CTAを得るためには, 薄いスライスで遅いテーブル移動, 小さいFOVで細かい再構成間隔, 空間分解能と低ノイズを両立した再構成関数, 高電圧で高線量, 高い閾値処理が可能な造影手技, 等の条件を満たす事が必要であると言うことが出来る.


抜冊請求先
065 札幌市東区北40条東1丁目
札幌麻生脳神経外科病院
小寺秀一 他

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