1.放射線療法の目的
ケロイドの治療目的は醜形(図1-A)と疼痛・掻痒からの解放であり、肉体的苦痛のみならず精神的苦痛に留意する。
図1.ケロイド ![]()
A:子宮筋腫の術創から発生した真性ケロイド。醜形のみならず、感染・掻痒感・疼痛を伴う。 B:術創に1cmのマージンを含めた照射野を設定した。両端には少しふくらみを持たせて線量低下を防止する。
他の保存的治療に抵抗する難治性・再発性ケロイドが切除後放射線照射の適応となる。放射線単独治療はコンセンサスが得られていない1)。
CTVは縫合部を含めた手術創であり、それが技術的に照射可能部位であるかどうかを術前に形成外科医と打ち合わせておく。術創に5〜10mmのマージンを含めた領域(図1-B)を照射野とし、鉛板をくり抜いてブロックを作成する。4MeV電子線では2mm以上の鉛板が必要である。皮膚表面から真皮まで有効線量範囲に含める必要がある。線量分布の不均等性を考慮すると、CTVの深度は5〜10mm程度である。施設で使用できる最も低エネルギーの電子線を使用する。それでも5mm厚程度のボーラスが必要である。照射野が不整型となることが多いので、個々の症例で線量測定を行う。なお、軟X線は深部線量が無視できないので使用を避ける。照射線量は100%線量で15Gy/3回が標準である2) 3)。再発しやすい部位では20Gy/4回を試みても良い4)。治療開始時期は諸説あるが2) 5)、早期に開始しても創傷治癒に影響を及ぼさないので治療期間短縮の意味からも手術翌日から開始する。1日1回3〜4日連続でよい。
放射線治療を他治療と比較した唯一のランダム化比較試験では、耳介ケロイドの術後12ヵ月の再発が術後照射例12.5%、術後ステロイド皮下注射例33%であった6)。耳介や頸部は元来再発が少ない部位で再燃率は10〜20%、胸骨部、肩甲部などの皮膚張力の強い部位での再燃率は高く30〜40%である4)。
照射野内の色素沈着は必発であるが、個人差が大きい。これは判定基準がないので、色素沈着の遷延は正確に患者に伝えておく必要がある。まれには一時的な色素脱出を認める。晩発反応として皮膚萎縮と毛細血管拡張を生ずることがある。先行するステロイド局所療法でも皮膚萎縮が生じうる。標準的治療では二次発癌の報告はないが7)、その可能性については正確に患者に伝える必要がある。
6.参考文献