教授挨拶

教授 堤 裕幸

教 授  堤 裕幸

札幌医大の堤 裕幸でございます。札幌医科大学医学部小児科学講座を紹介させていただきます。

札幌医科大学は1950年に開学されましたが、小児科学講座は開学と同時に開設された最も古い講座の一つであり、2010年に60周年を迎えました。初代の南浦邦夫教授に始まり、続いて中尾 亨教授、千葉峻三教授が主宰され、2001年9月より私が四代目として担当しております。

札幌医科大学小児科同門会は“新樹会”と称しますが、初代の南浦教授が“新しい木々のように絶えず清々しく若々しくあれ”と命名されました。会員数は300名に達し、北海道に限らず、全国で活躍されております。主だったところでは、前岐阜大学小児科教授の折居忠夫先生、前高知大学微生物学教授の今井章介先生、前国立病院機構静岡てんかん神経医療センター院長の藤原建樹先生が居られますし、昭和大学小児科教授の富田英先生、国際医療福祉大学教授の沼崎啓先生は現役でご活躍中です。

札幌医大小児科も多くの国公立医育大学と同様に1科で膨大な小児疾患の全てを網羅しなければなりません。スタッフの数も限られていることから、当講座では市内の関連病院と協調体制を敷いております。札幌医大小児科は感染・免疫、血液・腫瘍、神経・筋、内分泌、循環器、児童精神、新生児の7つのグループから構成されております。そして、腎臓、代謝については外来治療は大学でも行っておりますが、関連病院である北海道医療センターがセンター病院として機能しております。各班とも診療と研究の分野において助け合いながら、より良い小児医療の提供のために日々研鑽しております。中から一つ紹介させていただきますと児童精神の診療です。これは当講座が早くから取り組んでいる分野ですが、平成19年春からは当院の神経精神科と共同で、道内では初の“児童思春期こころと発達外来”を立ち上げ、更に充実を図りました。詳しくは各グループ別のサイトを参照下さい。

札幌医大小児科は伝統的に感染症の診療・研究が盛んで、初代南浦教授は細菌感染症、中尾教授・千葉教授はウイルス感染症が専門であり、私もウイルス感染症を専門としております。教室の業績の中で一つだけ紹介させていただきます。サッポロウイルス(2002年よりサポウイルスと呼称)は、ノロウイルス程頻度は高くありませんが、世界中に存在し、下痢症をおこすウイルスです。このウイルスは当講座が中尾教授時代に世界で初めて発見し、千葉教授時代にその性格が明らかにされ、サッポロの名が冠されました。現在も幾つかのウイルスに付いて活発な研究がなされています。只、この教室のメインテーマに縛られず自由に専門性を選べるのは無論のことです。

札幌医大小児科では一般小児科医としての研修、小児科専門医資格の取得のための研修体制も関連病院との連携で充実しています。大小合わせて25余りの関連病院がありますが、自治体病院が多いのが特徴で、全体の8割以上に及びます。特に特徴ある大きな関連施設について紹介します。先ず、北海道立子ども総合医療・療育センター(愛称:コドモックル)です。ここは仙台の宮城こども病院より以北では唯一の小児専門病院で、外科系も含めほぼ全診療科があります。平成19年9月に道立小児総合保健センターが札幌療育センターと合併し、215床を有する施設として手稲金山にオープンしました。小児循環器病センターが設置され、小児の心臓手術とカテーテルインターベンションなど高度先進医療が提供されています。特に、心房中隔欠損と動脈管開存のカテーテル治療は道内では唯一ライセンスを取得しています。また、NICU9床を有する特定機能周産期母子医療センターも設置されました。次は苫小牧市立病院です。東胆振・日高地区のセンター病院としてNICU9床を有し、この地区のほとんどの未熟児が集められ、集約的な医療が行われております。その他多くの関連病院が札幌市内外にありますが、詳しくは関連病院のサイトをご覧下さい。

大学病院、そして関連病院の研修を終え、小児科専門医を取得した後には幾つかの道が開かれています。専門性を身に着けるため何処かの臨床グループに属すことが一般的ですが、博士号取得のために研究生活に入ることもあります。この場合には当講座で研究を開始する他に、当大学の病理学、衛生学、分子機能解析部門など基礎の教室で研究を行うこともあります。ある程度の研究成果を得、また専門性を身に着けた後には、更に磨きをかけるため、国内外の著名な施設へ留学することも可能です。この、国内外への留学の継続は教室の生命線と位置付け奨励しており、常時7~8名が出向いております。彼らが最先端の施設で学んだものを持ち帰ってくれることが、教室の絶えざる活性化に繋がると考えております。

我々はこの広大な北海道の大地、そして北の都、札幌で、我々が将来を委ねる日本の子供たちが心身共に健康に生まれ、育ち、そして成人していくことを見守ります。また、ここから世界に向けて研究成果を発信します。教室のスローガンは “診療は全道へ、研究は世界へ” です。我々と志を一つにする有為な若者の登場を切に期待いたします。

(2012年5月記)