教授よりご挨拶

  病理学とは、病気によって生じる機能と構造の異常を研究するものです。それを踏まえて、第二病理の目指すところを述べたいと思います。

  研究テーマは、「ヒト疾患とタイト結合;隙間の細胞生物学」。

  タイト結合は、細胞と細胞の隙間をシールする細胞間接着装置です。中枢神経系、網膜、精巣などは、血管内皮細胞のタイト結合により血液から隔絶され、組織内部の恒常性(ホメオスタシス)が維持されています。また、肝細胞の間に存在する毛細胆管は、タイト結合によってシールされているため、そこに排泄された胆汁は、血液中に漏れることがありません。これまで静的な構造と考えられてきたタイト結合は、実は非常にダイナミックに制御されていることが、最近明らかになってきました。個体では、タイト結合の失調は、浮腫や黄疸、下痢症に直結します。
  我々の目標は、タイト結合の機能制御機構を明らかにし、タイト結合が関わる病態の理解を進め、より効率の良い薬物輸送システム(drug delivery system)の開発をふくめて、より理論的な治療法を開発することです。

  教室のテーマを達成するために、次の2点を重点にしています。

1)『第二病理を叢林に』

   一人の眼では、物事の裏側はみえない。
   多くの人間が対等にかつフランクに議論ができる場でありたい。

2)『研究を楽しもう』

   研究は知的ゲームであり、楽しみながら仕事をしよう。
   之を知る者は之を好む者にしかず。之を好む者は之を楽しむ者にしかず。