教室沿革
昭和26年に河邨文一郎教授により開設された札幌医科大学整形外科学教室は、平成23年に開講60周年を迎えた。
第2代石井清一教授のもと発展を遂げた本教室は、現在、第3代山下敏彦教授により主宰されている。
山下教授は、脊椎・脊髄外科学と運動器の痛みのメカニズムを主な研究テーマとしており、これまで国内外の学術賞を数多く受賞している。
1.診療活動と臨床研究
大学病院における診療と臨床研究は、脊椎、上肢、下肢の3つのグループにおおまかに分かれて活動している。

脊椎疾患診療
脊椎脊髄疾患の診療は山下敏彦・吉本三徳・谷本勝正・寺島嘉紀・家里典幸・森田智慶が担当しています。
側弯症などの脊柱変形や脊椎・脊髄腫瘍、感染性脊椎炎に対して最新の高度な技術をもって治療を行っています。札幌市内はじめ道内各地からご紹介いただいて手術治療を行っています。また大学病院である優位性を備え、内科的な合併症を多く抱えた患者さんの手術治療も行っています。
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、頚髄症などの変性疾患に対しては、いち早く顕微鏡や内視鏡を用いた低侵襲手術を取り入れて治療しており、これまで良好な治療成績を得ています。私たちは病態に応じた治療方法が選択されることが重要と考え、定期的にカンファレンスを行って治療方針を決定しています。
平成25年11月からは頸髄損傷に対して骨髄間葉系幹細胞移植による再生医療の治験も行っています。


上肢疾患
上肢疾患は射場浩介、小笹泰宏、高橋信行、道家孝幸が担当しています。
手外科は射場浩介、小笹泰宏、高橋信行が担当。

尺骨突き上げ症候群、TFCC損傷、Kienbock病、Dupuytren拘縮、母指CM関節症、腱移行・移植術、手関節鏡・肘関節鏡視下手術といった一般的手外科治療に加え、特に、射場准教授は先天性疾患を専門とし、多指(趾)症、合指(趾)症をはじめ、先天性橈尺骨癒合症、橈側列形成不全、巨指(趾)症、絞扼輪症候群など数多くの疾患を手がけている。また、金谷特任准教授、高橋助教はマイクロサージャリーを専門とし、骨軟部肉腫の広範切除後、外傷、感染などによる組織欠損に対し、各種皮弁、血管柄付き骨移植等の複合組織移植、腕神経叢麻痺に対する神経移行術などを行っている。
肩関節外科は、道家孝幸が担当。当科は北海道における肩関節鏡治療の草分け的存在であり、鏡視下肩板修復術をはじめ、鏡視下Bankert、関節唇修復術等を行っている。平成25年から、腱板断裂の一次修復不能例に対し、骨髄幹細胞移植を併用した鏡視下腸脛靱帯パッチ移植術の治験を開始している。


下肢疾患
下肢疾患に関しては、股関節外科を名越智、舘田健児、小助川維摩が、
膝関節・足の外科を渡邉耕太、寺本篤史、神谷智昭、興村慎一郎が担当しています。

股関節外科は主に変形性股関節症に対する人工股関節全置換術をいち早く筋腱温存手術である前外側アプローチを用いた方法で行っております。また、骨切り術は主に寛骨臼回転骨切り術を行い、術中股関節鏡やナビゲーションの導入をしております。最近のトピックであるFAIに対しては関節鏡を用いてその修復や再建を全国に先駆けて行っております。 当教室の下肢チームは手術治療、保存療法の成績向上のため、未固定凍結標本を使用 したバイオメカニクス研究を応用してきました。人工膝関節置換術、高位脛骨骨切り術、関節鏡視下靭帯再建術及び半月板修復術、骨軟骨移植術は豊富な基礎研究データーを元に改良を続けています。足部足関節領域では難治例に対する外反母趾骨切り術、足関節鏡手術の症例を多く行っております。また、最新の画像診断技術を駆使して診断以外にも術式の工夫、評価に活用されています。内科的合併症を抱えた患者さんや再手術など難治例の手術目的の患者さんが北海道全域からご紹介頂いております。

その他
関節リウマチを小笹泰宏が、骨粗鬆症を射場浩介、道家孝幸が、骨軟部腫瘍を江森誠人が担当しています。

当科では滑膜肉腫、骨肉腫に対するペプチドワクチン療法の臨床応用を行っており、全国から症例が集まっている。
平成12年からは、全国的にもユニークな慢性疼痛外来を開設し、村上講師が中心となって難治性疼痛疾患の治療に取り組んでいる。
平成15年からスポーツ外来を開設し、渡邉耕太保健医療学部教授、片寄正樹保健医療学部教授、寺本篤史講師、神谷智昭助教らが共同して診療を行っている。
平成25年4月に設立されたスポーツセンターにおいても、JOCと連携するなどして
トップアスリートを対象とし現場に密着した多角的できめ細かい医学サポートを行っている。  
2.基礎研究
現在推進中の研究としては、
(1)骨髄間葉系幹細胞を用いた脊髄損傷再生医療に関する研究
(2)悪性骨軟部腫瘍の癌免疫・癌幹細胞に関する研究
(3)脊髄・神経根のイオンチャネルの電気生理学
(4)脊椎由来の疼痛発生メカニズム
(5)四肢関節・脊椎のバイオメカニクス
(6)骨形成のメカニズム
などがある。  

これらのテーマに関して、病理学、神経再生医療学部門、分子機能解析部門、生理学、解剖学等の各教室と連携して研究が推進されており、全国、世界に向け着実に成果を発信している。また、大阪大学整形外科学講座、工学院大学(八王子市)など道外の研究機関との協力連携研究も推進中している。海外では、メイヨークリニック、ウェイン州立大学、ケンタッキー大学等に留学している。

現在、教室員数は約100名、同門会員数は350名におよび、道内はもとより全国各地で活躍している。近年は、全国学会や国際学会における発表演題数でも全国のトップクラスを保っている。今後さらに地域医療や先端医学の発展に寄与すべく、教室員、同門一丸となって邁進している。

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