退任教授・役職者

医学部長退任挨拶

薬理学講座 教授 堀尾 嘉幸

日頃、同窓会の皆様には大変にお世話になりありがとうございます。さて、平成26年4月から平成30年3月までの間、前半は島本 和明 前学長、後半は塚本 泰司 学長のもとで医学部長・医学研究科長を務めさせて頂きました。この4年間の医学部のいくつかの動きをまとめてみました。お読みになればおわかりになると思いますが、私の行った事績というわけではありませんので念のため。

「世代の交代」

この4年間に沢山の新しい教授の方々が就任されました。平成26年度は河西 千秋 教授 (精神神経医学講座)、平成27年度は髙橋 聡 教授(感染制御・臨床検査医学講座)、川原田 修義 教授(心臓血管外科学講座)、鳥越 俊彦 教授(病理学第一講座)、竹政 伊知朗 教授(消化器・総合、乳腺・内分泌外科学講座)、仲瀬 裕志 教授(消化器内科学講座)、平成28年度は、渡邊 智 教授(法医学講座)、宇原 久 教授(皮膚科学講座)、平成29年度には升田 好樹 教授(集中治療医学(新設))、髙橋 裕樹 教授(免疫・リウマチ内科学(新設))、髙橋 素子 教授(医化学講座)、大西 浩文 教授(公衆衛生学講座)の方々が新しく教授となられました。平成30年の4月には樋之津 史郎 教授(医療統計学(新設))がご就任されていますので、医学部では13人の先生方が教授となられています。また、同窓生では医療人育成センターの英語部門と生物学部門に木村 眞司 教授と佐々木 泰史 教授が、
さらに保健医療学部に水口 徹 教授が就任されています。
なお、平成29年度をもって定年を迎えられた教授は4名いらっしゃいまして、澤田 典均 教授(病理学第二講座、)堤 裕幸 教授(小児科学講座)、氷見 徹夫 教授(耳鼻咽喉科学講座)、平塚 博義 教授(歯科口腔外科学講座)です。既に、後任の方の教授選考が始まりました。これからはH30年度1名、H31年度に2名ですが、H32年度3名、H34年度4名、H35年度2名、H36年度7名というようにご退職と新教授の選考が続き、大学は大きく変わって行きます。

「大きな変貌をとげる大学施設」

大学施設では平成26年11月に体育館、リハビリテーション施設、保育園が完成しました。さらに、講義室や実習室、演習室の他、医学部フロンティア医学研究所、医療人育成センターなどが入る教育研究施設のI期工事分が完成し平成30年の4月から使用が始まりました。ですので、今、学生たちは新しい講義室や実習室を使っております。
病院西棟の方はほぼ完成してこの7月に移転が行われる予定です。さらにスキルズラボや実験室などを備える教育研究施設のII期工事と動物実験施設などが入る建物の建設と既存の附属病院の改築工事が始まります。これらの工事に伴い、馴染み深い北第1講義室や北第2講義室、解剖実習室、さらに旧がん研究所などが近く取り壊される予定です。東棟と本部棟はII期工事終了後に解体されることとなります。医学部は教員とともに入れ物も新しくなります。新しい酒を新しい革袋に!

「「医の知(いのち)」の殿堂の構築」 

平成32年(2020年)に開学70周年を迎える札幌医科大学は、塚本学長の下でグローバルな視点からの叡智を結集し、世界的にも展開する「医の知(いのち)の殿堂」を目指しています。大学の建学の精神である「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」を実践できる「医の知の殿堂」を作っていく一環として、大学へのご支援・ご寄付をお願いしております。これまでわかりにくく、面倒・複雑であったご寄附の手続きが簡素化されました。寄附金につきましては個人では「ふるさと納税」と同様の税制上の優遇措置を受けることができ、法人については全額を損金扱いとすることができます。また、これまでなかったご芳名録も整備しました。ご同意して頂いた方のお名前を載せさせて頂きます。10万円以上のご寄附を頂いた方々へは学長から感謝状の贈呈をさせて頂きます。ぜひ一度、ホームページ(https://web.sapmed.ac.jp/jp/section/contribution/index.html)をご覧頂ければ幸いです。

「学生教育:試験進級制度」

同窓会の先生方からご援助を頂いてきました学生への模擬試験受験料の補助事業を終了致しました。多大なご援助を頂きまして本当にありがとうございました。ご援助によりまして、学生は5年生の終わりに模擬試験を受け、さらに模擬試験受験を重ねることになり、多くの学生の国家試験への取り組みを早めて合格に繋げることができたことは大きな収穫でした。一方で、初期値があまりに低いために、模擬試験のたびごとに成績は上がっていくのに目標にたどりつけない学生がいることも判明して、そのような学生が翌年の国家試験にまわることも見えてきました。今後は、4年生で行うCBT試験(全国の医学生が受けなくてはならない医学基本知識を問われる試験)の合格基準を全国の基準(約60%)から約65%に引き上げること、留年した学生には単位が認めらなかった科目(落ちた科目)以外もすべての科目の再履修を行うことなど、学生の自己責任を重視する内容で教育していくこととなります。学業が一定のレベルに到達していない学生にはもう一度立ち止まって勉学に励んで頂くような仕組みです。

「学生教育:地域医療実習」

3年生は平成28年度から、少人数のグループにわかれて、引率教員とともに地域医療機関(例えば、渡島、日高や空知地区など)に2泊3日で滞在して、地域の医療について学ぶ実習を行っています。ご協力を頂いております医療機関と担当の先生方に深く感謝申し上げます。この実習では学生に地域の医療を知ってもらう他、大きな病院だけが仕事先ではないことを認識してもらうよう、できるだけ規模の大きくない医療機関にお願いして行っております。引率の教員は医療人育成センターの先生方が中心となって、基礎医学講座とフロンティア医学研究所の先生方にご協力頂いています。

「学生教育:大学で研修を」

毎年9割近い卒業生が大学に残っていた時代が過ぎ去り、現在、前期研修では3割台、後期研修でも6割台の卒業生しか本学に残っていません。講座によっては研究はおろか、地域への医師を出すことさえ苦労するような状態になっているところもあります。「臨床研修・医師キャリア支援センター」の人員を含めた充実化が行われて、本学の学生や他学の学生への働きかけを増やし、「札幌医科大学で研修を!」の周知徹底を図っています。同窓生の先生方も、もし研修医に接する機会を持たれましたら、「学位は取ったの?」、「留学も面白い」とか「専門医が取りやすい」とかお声がけしていただけると有難いです。さらに、先生方のご専門の科以外を希望するような医師にも「大学がいいよ」と勧めていただけると望外の喜びであります。

「教員体制の強化」

平成29年度から4年生の1月に臨床実習がスタートするようになりました。これにより学生の臨床実習の時間が全国の医学教育認証の基準である72週間を達成できることになりましたが、一方で教員の不足が深刻な状態となっています。医学部全体では309名の教員ポストがありますが、常に欠員が生じています。欠員となったポスト(欠員枠)をプール化して、教員ポストが不足している臨床教室に一時的に配置運用して教育体制を強化することを平成29年度から始めました。現在14名の方々が教員として勤務しています。欠員を提供している講座・学科目はいつでもその欠員を埋めて新たな教員を採用できることに変わりはありません。なお、欠員枠の教員方の多くはそれまで診療医(病院助教)として大学に勤務されていた方ですので、給与は病院会計から支出されてきましたが、教員となることにより、給与は北海道から頂いている大学予算からの支出となります。このため、北海道には申し訳ありませんが、厳しい病院の収支には一定の意味を持つことになります。

「おわりに」

同窓会の先生方のこれからの御健勝を祈念致しますとともに、大きく変わりつつある大学や病院へのご支援を今後も賜ることができましたら幸いです。