新任教授・役職者

新任教授ご挨拶

神経精神医学講座 教授 河西 千秋

 平成27年1月1日に、神経精神医学講座教授として着任した河西(かわにし)です。同窓会の皆様への初めてのご挨拶となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

 私の経歴を表にお示ししましたが、医師免許取得後、当時、全国大学病院の中で例外的にスーパーローテート研修システムを運用していた横浜市立大学病院で2年間研修医として学び、次いで同大学精神医学教室に入局するとともに大学院に進学いたしました。その後、研究に従事しつつ、同教室の教育プログラムに従い、大学病院と関連施設で臨床を学びました。大学病院ではリエゾン精神医学を含む総合的な精神医療を、そして、精神科病院では急性期病棟担当、長期在院患者の退院促進と地域生活支援(訪問活動)などに従事し、また老人クリニックや脳波判読業務、統合失調患者のためのデイケア活動、あるいは、うつ病休職者のためのリワーク・デイケアなどを経験しました。講師昇任以降は教室運営の一端を担い、教育・診療・研究のあらゆる部分のマネジメントに積極的に関与してまいりました。特に、横浜市大は早期に独法化をし、時の政治・経済状況もあって多くの困難に見舞われましたが、その荒波をその渦中で乗り越え、またさまざまな経験をしてきたという思いが私にはございます。

 私の研究の関心事は、重篤な、あるいはどん詰まりの症候・病態にあります。また、研究活動は、常に臨床・地域支援、そして教育と一体のものでなくてはならないと考えています。例えば、精神科病院における診療上の疑問から薬理遺伝学研究を立ち上げ、向精神薬の重篤副作用に取り組みました。また、自殺まで考えて救命救急センターに搬送された患者さんをはじめとする精神科関連事例への精確なアセスメントと介入の必要性を強く意識し、こうした事例への全例介入と効果的な介入方略の開発に取り組みました。この活動は、学生・医療従事者に対する自殺予防教育や、地域の様々な領域へのメンタルヘルス支援活動へと展開しました。その後、平成24年度からは、横浜市大における学生・教職員のメンタルヘルス管理の抜本改革の必要性から保健管理センター長・担当教授としてこれに当たり、メンタルヘルス・スクリーニングと危機介入、相談対応、部門横断連携、そして就業管理・支援を含む包括的なメンタルヘルス支援システムを同学内全体として構築、運用し、さらに研究領域としても確立しました。この間、2度にわたる米国、欧州での研究生活も経験しました。

 私の前任は、神奈川県下、ないしは横浜市における唯一の公設大学医学部であったことから、常に地域貢献を念頭に仕事に取り組んでまいりました。また、数々の地域ネットワーク活動を主宰してまいりました。今後は、私が経験し、学んできたすべてを北海道の地に投入し、また同窓会の皆様のご指導をいただきながら北海道の精神保健の発展のために全力を尽くす所存であり、その拠点となる本学に少しでも貢献することができれば、と考えております。改めまして、末永くよろしくお願いいたします。

略歴

河西 千秋(かわにし ちあき)昭和39年生

所属札幌医科大学医学部神経精神医学講座

学歴
昭和58年(1983年)
東京都立青山高校卒業
平成元年(1989年)
山形大学医学部医学科卒業
平成7年(1995年)
横浜市立大学大学院修了
職歴
平成元年(1989年)
横浜市立大学附属病院臨床研修医
平成5年(1993年)
米国・カリフォルニア大学サンディエゴ校 薬理学客員研究員
平成7年(1995年)
医療法人社団清心会藤沢病院
平成11年(1999年)
横浜市立大学附属病院精神科助手
平成13年(2001年)
スウェーデン・カロリンスカ研究所臨床薬理学 客員研究員
平成14年(2002年)
横浜市立大学附属病院精神科講師
平成17年(2005年)
横浜市立大学医学部精神医学助教授(後に機構改革により准教授)
平成24年(2011年)
横浜市立大学医学部健康増進科学教授
資格

日本精神神経学会認定専門医・指導医、日本臨床精神神経薬理学会認定専門医・指導医、日本老年精神医学会認定専門医・指導医、日本医師会認定産業医

所属学会等(主要なもの)

日本精神神経学会(精神保健に関する委員会)、Association for Suicide Prevention(日本代表委員)、日本自殺予防学会(常務理事)、日本臨床精神神経薬理学会(監事)、日本うつ病学会(評議員、自殺対策委員会委員長)、日本統合失調症学会(評議員)、日本精神科救急学会(評議員、国際交流委員会)、日本総合病院精神医学会(自殺問題委員会)、日本老年精神医学会、ACTION-J研究グループ事務局長、日本医療機能評価機構・認定病院患者安全推進協議会・院内自殺予防と事後対応検討会座長