Division of International Exchanges/Affairs No. 6 Spring 2000 今回の話題は、次のとおりです。 |
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■海外の交流大学から総勢30人が来学 〜6月23日 国際シンポジウムがいよいよ開会!
開学50周年記念『北方圏医学と保健医療に関する国際シンポジウム』がいよいよ、6月23日(木)24日(金)、本学臨床講堂で開会されます。 これまで本学が交流を深めてきた、フィンランド、カナダ、アメリカ、中国から総勢30名が初夏の札幌を訪れることになりました。 セッション1『テレヘルスコミュニケーション』では、カナダアルバータ大学、カルガリー大学をISDN回線で接続し、現地の研究者とディスカッションを行います。このセッションは、整形外科分野の症例について両地域のケースを含めて考えると同時に、ネットワークの活用を今後、医療、研究、教育などの分野でどのように展開していけるか、みなさんと考えていくきっかけとなるでしょう。 各セッションとも、世界的な研究者が貴重な講演を行います。多くのみなさんのご参加をお待ちしています。
<主な来学者>
開学50周年記念『北方圏医学と保健医療に関する国際シンポジウム』 [札幌医科大学講堂]
本学の開学50周年に加え、今年、アルバータ州と北海道が姉妹提携20周年を迎えます。 これを記念して、6月1日、2日アルバータ州マクレラン対外大臣一行が北海道を訪れました。一行は、滞在中、今後の交流の発展に向けて知事や関係機関と精力的にディスカッションを行い、アルバータ大学、カルガリー大学と交流を行ってきた本学にも訪れ、秋野学長、神保医学部長、佐藤保健医療学部長らと懇談しました。 これまでの研究者の交流に加え、学生の交流、テレヘルスの活用、国際シンポジウムの開催、札幌宣言の採択などアルバータ州と関連するあふれる話題に、マクレラン大臣も時間を忘れての熱いディスカッションとなりました。 なお、国際シンポジウムのセッション1『テレヘルスコミュニケーション』は、このアルバータ・北海道姉妹提携20周年事業としても位置づけられており、この結果は7月に札幌市内で開催される20周年記念フォーラムで、分科会として報告することとなっています。
■アルバータ大学フレイザー学長らも来道
マクレラン大臣一行とともに、アルバータ大学フレイザー学長、宮崎テレヘルス&マルチメディア研究所所長、マクドナルド国際交流部長も札幌を訪れました。1日には、アルバータ・ビジネスセミナーが開催され、宮崎所長からアルバータのテレヘルスについてプレゼンテーションが行われたほか、翌日には、一行と秋野学長らが朝食をともにし、今後の交流発展に向けてミーティングを行いました。6月23日の国際シンポジウムでは、開会にあたりフレイザー学長からISDN回線を利用して、直接メッセージをいただくことになっています。
■マサチューセッツ州立大学での臨床実習を終え、3名、元気に帰国! 4月、5月の2ヶ月間、マサチューセッツ州立大学の病院でのサブインターンシップに参加した6学年中島優子さん、小野真樹さん、佐々木彩実さんが、無事、実習を終えて帰ってきました。現地では言語や環境、本学とのカリキュラムの違いなどから、いろいろな苦労や学ぶべきことがあったかと思います。詳細は次号でご紹介しますが、小野真樹さんのホームページには、マサチューセッツでの体験が克明に掲載されていますので、是非のぞいてみてください。 URL://namara.cc.sapmed.ac.jp/%7Eonom/umass/index.html
■夏のアルバータ大学語学研修、今年も実施へ 昨年から開始されたアルバータ大学での英語研修、今年も夏休み期間に行うことになりました。昨年より1週間多い4週間のプログラムで、今年は医学英語コースと一般英語コースの2つのコースを設定しました。現在、学生の募集、選考を行っているところです。 平成12年3月でこれまでの国際交流委員会が任期を終えましたので、4月1日から新しいメンバーでの国際交流委員会がスタートしました。早速、国際シンポジウムの開催に向けてフル稼働中です。 また、新しい国際交流部長(国際交流委員長)に神経内科の松本教授、国際交流部員として生理学第二講座 青木藩教授、理学療法学科 宮本重範教授が就任しました。
○●国際交流部長に就任して●○ 国際交流部長 松本博之(神経内科教授) 札幌医科大学は、1977年にフィンランドの5大学と交流を開始して以来、中国医科大学(1982年)、カナダのアルバータ大学とカルガリー大学の各医学部(1983年)、」アメリカのマサチューセッツ州立大学医学部(1994年)と教員間の学術研究交流をしてきました。昨年からは対象を学生へも広げてアルバータ大学の語学研修、カルガリー大学の臨床講義、さらに本年度からはマサチューセッツ州立大学医学部の臨床実習にも学生を派遣していますし、カルガリー大学医学生の臨床実習受入も予定しています。開学50周年事業の一環として取り組んでいる国際シンポジウムには、学内の皆さまの協力を得て国際交流委員会と事務局を中心に取り組んでおります。国際交流部は、札幌医科大学が国際的に飛躍することを目指して取り組んでまいりますので今後ともご皆様のご支援の程よろしくお願い致します。
*国際交流委員会委員
■国際交流活動報告会・懇親会 平成11年度北方医学交流事業の派遣研究者が、現地での活動を報告します。また、今年から、海外研修に参加した学生からの報告も予定しています。 報告会終了後、軽食などを用意して懇談会を開催します。来学中の外国人研究者も多数ご参加いただきますので、皆様もふるってご参加ください。 申込みは事務局(企画課国際交流)まで。 記
●○国際交流レポート○●
(カルガリー大学 Norman Wong氏 受入)
平成12年3月4日から4月1日までの約1ヶ月間、カナダ、アルバータ州のカルガリー大学医学部からNorman Wong教授が札幌医科大学を訪問され、われわれの教室が受け入れ講座となった。Norman Wong博士は、生化学・内科学の教授で血漿リポ蛋白の発現機構を主に研究しておられ、国際的にも高い評価を受けている方である。中国系カナダ人で1ヶ月という長期間の受け入れであったため、どうなることかと心配したが、教室の若い先生方ともうまくコミュニケーションがとれて彼らには非常によい刺激となった。教室の会議室に机とインターネット末端を用意していたため、本人が持参してきたパソコンを接続後はカルガリー大学のWong研究室と常に連絡をとり、彼の研究室での研究の進行に目を光らせていたようである。グラント申請、論文作成とカルガリーの研究室とのやりとりで1日のほとんどをパソコンに向かって仕事をしていた。彼は転写因子解析の専門家であったので、教室の若い先生に直接その技術を指導していただいたのは幸運であった。1ヶ月間、国際医学交流センターに宿泊して生活されたが、札幌医科大学訪問は2回目ということで周辺の地理も少し憶えておられて、ご自分で近くのスーパーマーケットまで「買い出し」に行かれていた。一方、教室の若い先生方の「英会話トレーニング」もかねて、夜には近くの居酒屋へ食事にも出かけた。はじめは緊張していた若い諸君もアルコールが入ると遠慮することなく、英語で話しかけ、気さくなWong先生もそれに応じてくださり、非常に楽しい夜を過ごすことができた。Wong先生の講演も聞くことができ、教室でのLabo meetingにも参加していただいてresearch progressにコメントをいただいた。特に教室の若い先生方には昼の部も夜の部も有意義な1ヶ月であったと思う。 ●○国際交流レポート○● 内科学第三講座 藤嶋 卓哉 助手 (中国医科大学 孔霊菲氏 受入) 2000年1月23日から4月30日の約3ヶ月半のあいだ中国瀋陽市にある中国医科大学・呼吸疾病研究所助教授の孔霊菲(Kong Lingfei)先生を当科でお迎えしました。孔先生のご専門は慢性閉塞性肺疾患(COPD)と喘息であり、60から70名の入院患者を持ち、そのうち20名ほどはICUで呼吸管理を行っているとのことでした。当科では外来でのCOPDや喘息患者は多いのですが、呼吸不全の緊急入院はベッドの空きがないため、他院へ依頼することが多く、来日当初は入院症例の違いに戸惑われていました。当科では肺癌・間質性肺炎・サルコイドーシスおよび当科に特徴的な結核患者などが入院されておりますが、時間が経つにつれ孔先生も慣れ、専門以外の疾患にも興味を持ち、積極的にカンファレンスに出席され、いろいろ質問されておりました。常時数例入院している非定型抗酸菌症には特に興味を持たれていたようで、主治医に質問すると同時に自らカルテを良く読み、勉強されておりました。 検査関係では、気管支炎検査に特に関心を持たれ、通常の気管支鏡検査はもちろん、X線透視やCTガイドでの経気管支肺生検を熱心にご覧になっていました。また、検査の前後では、気管支鏡所見と胸部CT所見の対応について、いろいろな質問のみならず、ご自分の病院では多きときには1日10例の気管支鏡検査を施行している経験から、示唆に富む意見も述べられておりました。 3月6日に開かれました国際医学交流セミナーでは『中国瀋陽市におけるGINA(Global Initiative for asthma)ガイドラインの実施現状』、『喘息患者における好中球遊走因子活性へのサルメテロールの影響』の2題を講演されました。GINAガイドラインは各国・各地域で喘息治療の考え方に共通コンセンサスを持つことを目的としたガイドラインですが、瀋陽市で実施したところ、患者のQOLが著しく向上、発作受診回数が著明に減少したデータを示し、その有用性を強調されておりました。2題目は喘息治療に用いられているβ2刺激薬サルメテロールが血中ILー8を低下させ、これにより喘息における気道炎症を抑制する可能性を示しました。講演された2題とも、興味ある内容で我々の今後の臨床および研究に示唆に富むデータが多く、有意義なセミナーとなりました。 来日当初は少数の教室員としか言葉を交わすことがなかった孔先生も少しずつその人数が増え、親睦を深めていくことができました。お別れ会のときには、孔先生手作りの格別美味な餃子を振るまわれ、全ての教室員が堪能しました。 今回の国際交流を機会に、今後も学術交流を続けていくことを約束し、4月30日、孔霊菲先生は無事に帰路に就かれました。 ●○国際交流レポート○● 保健医療学部臨床理学療法学講座 片寄 正樹 助手 カナダ アルバータ大学 派遣期間 2000年1月13日〜1月23日 2000年1月13日から1月23日までアルバータ大学リハビリテーション医学部(Al Cook学部長)に北方医学交流事業短期在外研究員として受け入れていただきました。既にアルバータ大学医学部と本学医学部で実施されていた北方医学交流事業の対象枠を、秋野学長、神保国際交流部長(現医学部長)の御尽力により、本学保健医療学部、アルバータ大学リハビリテーション医学部、看護学部に拡大していただき保健医療学部からの在外研究訪問が今年度初めて実現したものです。 アルバータ州エドモントン市にあるアルバータ大学は学部プログラム200、大学院プログラム170を擁する学生数約3万人の総合大学で、昨年で開学90年という歴史があります。リハビリテーション医学部は理学療法学科、作業療法学科、言語療法学科から成り、修士、博士プログラムを有する大学院も構成しています。教授陣も国際的に評価されている人が多く、教育、研究ともにアクティブな学部であります。前アルバータ大学リハビリテーション医学部長のDr. Martha C. Pipehar(理学療法士)は、その実績から現在ブリティッシュコロンビ大学の学長に就任したほどで、リハビリテーション医学部における教育研究はカナダをリードする存在となっています。挨拶に訪問したリハビリテーション医学部長のDr. Al Cookからは、今後の活発な交流活動について熱く論じられ、互いの教授陣の研究テーマに関する情報、共同研究の具体的な推進、そして高度情報通信システムを利用した教育、研究リソースの共有などが話題にあがりました。保健医療学部から訪問した最初の在外研究員ということもありましたが、弱輩の私を相手に予定時間を1時間もこえて歓待していただきました。 本学に保健医療学部が創設され、今年からは博士課程が設置された現状をふまえれば、この方面の教育研究に伝統と歴史をもつアルバータ大学との交流は今後期待できるのではないかとう印象をもたされました。
この度の私の在外研究ではスポーツ理学療法の臨床システムに関する研究でありました。アルバータ大学には1996年に文部省在外研究員として訪問して以来の交流が続いていますが、その留学経験と研究実績を活かし、アルバータ大学の高度情報化ライブラリーシステムを利用した膝前十字靱帯再建術後のスポーツ理学療法の臨床効果に関するにシステマティックレビューと、高度情報通信技術を応用した遠隔スポーツ理学療法の運用研究を実施しました。遠隔スポーツ理学療法の運用実証研究では本学部大柳俊夫助教授、アルバータ大学テレヘルス・マルチメディア研究所(所長Prof.Masako Miyazaki)、北海道大学大学院工学研究科(山本強教授)、およびNTTとの共同研究として継続してきたものをカナダと札幌を接続したテストベッドで運用実証実験を試みるというものでした。複数の施設による国際共同研究ということで、調整作業に時間がかかる場面もありましたが、有益な成果をあげることができ、非常に大きな経験であったと感じております。今回のプロジェクトで印象に残ることは、アルバータ大学テレヘルステクノロジーマルチメディア研究所の存在です。アルバータ大学ではテレヘルスに関するテクノロジー、運用ソフトウエア等の研究をこの研究所が中心となり取り組んでおり、カナダ政府、アルバータ州政府もその活動を後押して精力的に推進しています。テレヘルス研究や運用に不可欠な情報工学系スタッフ、医療系スタッフ、事務管理系スタッフが適切に連携がとられ、行政や企業とが積極的に関わって様々なプロジェクトがどんどん推進されている様は、非常にダイナミックで、日本の大学とシステムが異なるとはいえ見習うことが多いことを改めて考えさせられた経験でした。 以上簡単に御報告させていただきました。この機会を与えていただいた、アルバータ大学リハビリテーション医学部長Dr. Al Cookそして本学関係者に深謝いたします。 |
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