-2006〜2007年度-
                

(4)  4月22日  国際交流セミナー実施
    本学において交流を行っている各大学に毎年派遣している交流研究者から、その成果や現地の状況を報告いただき交流成果の共有を通じて、本学の教育・研究の発展に役立てることを目的として、毎年実施しています。
  本年度も、13年度に派遣した7名の研究者による発表が行われました。













平成19年 3月25日〜30日

■斉藤国際交流部長中国医科大学訪問
 平成19年3月25日から3月30日の日程で、斉藤国際交流部長が中国医科大学を訪問しました。本学からの訪問は実に3年ぶりのことで、中国医科大学との交流を継続させるための話合い、今井学長の代理として中国医科大との協定書交換、覚書き署名、研究発表などを行ってきました。
 






 中国医科大学のある遼寧省の省都瀋陽市は人口約780万人の大都会で、中国東北地域(黒竜江省、吉林省、遼寧省)の中心都市として発展を続けています。来年の北京オリンピックではサッカー会場としてスタジアムの建設が行われている一方で、昭陵や故宮などの世界遺産を持つなど、新しさの中に伝統が受け継がれている町です。 
 中国医科大学は毎年千人以上の卒業生を排出する中国有数の医科大学で、教授は350人以上おり、広いキャンパスに旧満州医科大学時代の古い建物と近代的な建物が並立し、市内に近代的な設備の4つの病院や衛生看護短大を持つ医療系総合大学です。
 日本語教育も行われており、日本語コースでは、1学年60名の学生に日本語を使った授業を行っています。
 本学と中国医科大学との交流は1982年から始まり、今年で25年になります。これまでに56名の受入れ、派遣を行ってきました。分野も多岐に渡っており、更なる進展が期待されましたが、ここ数年、交流が停滞気味となっていました。
 しかしながら、新千歳と瀋陽間には週に2便の直行便が飛んでおり、所要時間も2時間半程度で行くことができる地域であることから、本学のアジア地域における国際交流の拠点という位置づけにおいて、中国医科大学との交流は非常に重要であり、交流協定の更新を機に交流再開に向けて動き始めたところです。
 今回の訪問で、来年の北京オリンピックに向けたインフラ整備や大規模開発が行われている凄まじいばかりの近代化や経済力を目の当たりにし、中国の底知れないパワーを感じてきたところではありますが、中国医科大学との今後の交流において、交流の原点とも言える、
継続性と人の輪、相互理解の大切さを改めて感じました。
 我々の受け入れ窓口となった国際交流処の才越処長、李講師をはじめ、精神医学講座の李教授など多くの方々にお世話になりました。そして、中国医科大学の趙学長も言っておられましたが、今後も交流が半永久的に継続し、様々な分野で交流の輪
を広げるとともに、両大学間で発展的な研究が行われることを期待しております。
  =お知らせ=
    アルバータ大学語学研修参加学生募集中!!
  締め切りは5月21日(月)まで。
  5月9日(水)17:00から基礎棟1階会議室で語学
  研修の説明会を行いますので、興味のある方は是非
  参加して下さい。
    問合せ先:経営企画課主査(国際・学術交流)
         (大学棟1階)
  e-mail: koryu@sapmed.ac.jp

平成19年 3月25日〜30日

■公益信託北海道・ロシア極東交流基金
(通称:コースチャ基金)サハリン州医師研修
  

公益信託北海道・ロシア極東交流基金(通称:コースチャ基金)の平成18年度サハリン州医師研修が、平成19年2月15日から3月2日まで、本学付属病院救急集中治療部と形成外科で行われました。
 この事業は、平成2年にユジノサハリンスク市(ロシア・サハリン州)で火傷を負ったコンスタンチン(コースチャ)君が本学付属病院に緊急搬送され、治療が行われましたが、そのとき日本国内から寄せられた義援金を公益信託し、交流基金として北海道とサハリン州の医療交流事業に役立てられています。 両地域の交流は平成4年から行われ、これまでにサハリン州から41名の医師の受け入れを行っており、平成18年度はサハリン州立病院とユジノサハリンスク市立小児病院から2名の若手医師(オレグ・ベリャーエフ医師、セルゲイ・ニクリーン医師)が来学し、熱傷最新治療法や顔・腹壁の形成外科などについて2週間の研修を実施しました。

本病院長と歓談するオレグ・ベリャーエフ医師(左)と
セルゲイ・ニクリーン医師(左から2人目)

7月19日
  
■国際交流活動報告・懇談会の開催
 












Sapporo Medical University

International Exchange News

 (October 2006 March 2007)

by Department of
nternational Affairs and Medical Exchanges
Topics
国際交流活動報告・懇談会の開催
公益信託北海道・ロシア極東交流基金(通称:コースチャ基金)サハリン州
医師研修
国際交流部長中国医科大学訪問
平成18年度 カルガリー大学臨床研修体験記
テキスト ボックス: 報告会(11/28)

国際交流部が毎年実施している、平成18年度国際交流活動報告会・懇談会を平成18年11月28日(火)と12月4日(月)の両日にわたり開報告会(11/28)催しました。
 国際交流活動報告会は北方医学交流事業で海外の交流協定校に派遣された教員、学生海外研修参加者、文部科学省のプログラムで海外に派遣された研究者が、それぞれの研究や交流状況などを10分程度にまとめ発表するもので、平成18年度は、学生海外研修派遣事業参加学生2名を含め9名が発表を行いました。

会場の臨床第1講義室では、途中、データが重すぎてパソコンが動かなくなるなどのトラブルもありましたが、参加者はメモを取りながら最後まで発表者の話を熱心に聞いていました。
懇談会は12月4日(月)に国際医学交流センター2F多目的ホールで留学生、研究生、訪問研究員を招いて、教職員や学生との親交を深めることを目的として開催しました。会場が一杯になるぐらいの方々が参加し、中国やバングラデッシュなど海外から来られた方々と情報交換を行いました。

報告会(11/28)
報告会((11/28)
懇談会(12/4)
懇談会(12/4)
研究発表
協定書の交換(中国医科大学・趙学長)
瀋陽・故宮
中国医科大学正門
中国医科大学第二病院(病床数1,969)
中国医科大学長室
(1929年旧満州医大時代の建物)
才越国際交流処長と覚書き署名
国際交流処の建物(上階は学生用宿舎)
平成18年9月半ば〜10月
■平成18年度 カルガリー大学臨床研修体験記
昨年9月18日から10月27日の6週間、カナダ・カルガリー大学臨床研修に参加した医学部6年生の野口彩さんから体験記を寄せていただきましたのでご紹介します。
   「点と点が、線でつながる」
           
          医学部6年 野口 彩

2006年9月半ば〜10月の6週間、機を得てカナダ アルバータ州にあるカルガリー大学医学部において”Course I in Calgary
〜Fever/SoreThroat,Blood,Gastrointestina1〜”
を履修してきました。12週間のコースのうち、前半6週間を九州大学、後半のそれを私たち札幌医科大学の学生が学ぶという形でした。カルガリー大学1年生のコースですが、医学部は一度大学を出ないと入れないため、日本で言うところの4年生くらいに相当すると思われます。

6週間のスケジュール
脾腫、赤血球増加、血小板異常
好中球増加・減少、骨髄移植
リンパ球増加・減少/食欲不振、食道疾患
嘔気・嘔吐、IBD、下痢
急性・慢性腹症、栄養学
Review & テスト

6週間のスケジュールは上のようになっており、2週間半ずつ血液系・消化器系のトピックについて学び、最後の週は復習期間が与えられてから試験が行われました。

週間スケジュール
  嘔気
嘔吐
消化生理
水・電解質
感染症
IBD IBD
薬理
患者談 IBD
画像
 
医接面接   下痢 外科
治療
PBL
IBD&貧血
ポリクリ 公衆衛生 消化
免疫
粘膜
免疫
PBL
急性下痢
C.dif
ficile
微生
消化
神経
臨床
病理
メディカルスキル  

1週間のスケジュールは大体このような形で、系統講義・PBLは午前か午後のみです。

 クラスのメンバーはランダムに5人前後の班に分けられており、班毎に担当教官と交渉し、空き時間に医療面接・ポリクリ・メディカルスキル実習を組むというシステムでした。
 講義の構成は症候と病態からのアプローチであり、関連する部分の解剖・生理・免疫・薬理などを適宜織り交ぜているという形式でした。
 一方、日本では言うなれば「傷病名ありき」のアプローチであり、2年生で基礎、3〜4年生で臨床と言う形で学ぶのが一般的です。しかしながら、これでは折角2年生で習ったこともいざ臨床を学ぶときには忘れてしまっており、何が異常なのかわからない、どうして効くのかわからないまま教科書の文字情報を暗記していることも少なくありません。そのため、「○○をきたす疾患は?」という問には非常に困窮する学生が多いのです。
 カルガリーでは、講義・PBLを通して「症候→問診→鑑別診断→理学所見→検査→治療」という一貫した流れを徹底的に身につけていきます。まだ医学部に入学してからわずか数週間の彼等が、ポリクリでは患者さんに次々と質問し鑑別診断をあげていました。
 また、講義のあとすぐにポリクリで実際の患者さんに出会う機会があるため、学んだことが印象に残りやすく、さらにはその症状で実際何に困っているか、検査・治療の侵襲性などといったことにも思い及ぶようになるというのも効果的で優れた点であると思いました。
 断片的だった知識が体系立ってつながり始め、「理解」が深まることを実感しました。

 
 ポリクリも平行して行われるためか、医療面接・診察手技実習も早くから行われます。医療面接実習では、模擬患者さんとの面接の様子が隣室から仲間・先生に観察され、VHS録画までされます。面接直後、模擬患者さんも加えてフィードバックが行われ、会話の流れや態度、得るべき情報などを見つめなおすことができます。また、各自ビデオを見直すことで、自分では気づかなかった癖・口調などを発見し、向上に役立てる有効な材料となります。
 実習に出たらいきなり実践となることが多く、客観的フィードバックの機械が乏しい日本とは対照的です。


 6週目に設けられた「復習日」には、血液系・消化器系に関わる標本や写真、顕微鏡像などが用意されており、それぞれに練習問題・解答解説がついていました。ここでも、「暗記」ではなく「本質的理解」を目的とした配慮が多く見られ、試験の準備のみならず、帰国してからの実習でも度々役立つものとなりました。




 学業面は上のとおりですが、課外活動も盛んで、クラスのおよそ1/3はアイスホッケーを楽しんでいました。その他、ホームパーティーも数多く企画され、北米料理のボリュームに圧巻されつつも、楽しいひと時を過ごすことができました。
 カラオケやボウリングに行ったり、飲みに出かけたり、時に悪ふざけしたりという点では日本の医学生となんら変わりなく、一緒に盛り上がりたくさんの思い出ができました。

 この留学を経て、語学的な向上はもちろん、カナダの医学生がどのように学び、どのような考え方を身につけて医師となっていくのか、どのようなシステムの中に医療が成り立っているのか、日本との相違点、双方の長所・短所などに触れることができました。今回得ることのできた視点を将来に生かして、医師として人間的にも力量的にも成長発展を遂げて行きたいと思います。
 本当にありがとうございました
P.S
 今年度も、昨年度と同様、9月中旬から10月下旬までの日程でカルガリー大学臨床研修に医学部5年生を派遣します。
 先日、カルガリー大学医学部国際交流部長のジャダヴィ教授が来学し、学長表敬や学生の面接を行いました。
 野口さんの体験記が、将来、カルガリー大学臨床研修を志望する学生の一助になっていただければと思います。
                               経営企画課主査(国際学術交流)