第43号  平成19年1月24日

 学長室だより第43号をお届けします。

◎今後の向かうべき方向:特に医療面について

 もう一つは医療の面です。言うまでもなく本学はこれまでも道内に
定着する医療人を多く育てています。それと併せて、診療支援として
医師派遣を地域の要請に基づき進めておりますが、卒後臨床研修
制度の導入に伴い、他大学と同様、初期臨床研修医については減
少傾向にあります。

 今回初めてとなる後期臨床研修医については各講座のご努力も
あり、 ある程度確保される見通しとなりましたが、地域医療を守るた
めには臨床研修医の確保が必要であり、そのためには後期臨床研
修においても、プログラムの内容を充実させると共に、労働環境や
待遇の改善ということにも取り組む必要があると考えています。

 大学病院の役割は、高度先進医療の提供や、新しい薬剤の開発
のための治験などとともに、「教育機関」としての機能があります。卒
前での実習、初期及び後期の臨床研修、さらに生涯学習という範囲
まで医療人の一生のフォローを行っていく使命があります。

 こうした中、総合情報センターによる医学情報の配信をはじめ、地
域医療総合医学講座を中心に取り組んでいる、地域で勤務する方々
が参加可能なテレビ会議システムも定着してきました。そういう意味
で附属病院における「地域医療の拠点」をさらに充実していく必要が
あると考えられます。

 一方、病院経営は病院長を中心に経営改善に向けて様々な取組を
してきております。めまぐるしく変化する医療制度や6床室が中心とな
っている老朽化している病院施設など制度面やハード面で多く課題が
ありますが、これらに対しても対応が迫られております。

 その先駆けとして病院内環境の改善として、ATM増設や喫茶室の
新設、レストランの改良やコンビニの導入なども検討されおりますし、
駐車場についても来院される方からのご意見も多数伺っており、スペ
ースの確保、サービスの向上を図っていく必要があると思っております。

 そのほか、待合室では近代美術館からの絵画をお借りして展示した
り、病気や薬のパンフレットを自由に持ち帰られるスペースを設けたり
と一歩一歩着実な試みを行ってきております。
 
◎地域に開かれた大学づくりを目指して

 今、本学では地域貢献の具体的取組として機関連携を進めています。
本学単独ではなかなか浸透していくことが難しい課題も、他の機関と
連携することにより可能になることがあります。また、新しい発展も期待
できます。

 これまで、小樽商科大学との文理融合型連携、これは本学の研究シ
ーズと地域への技術移転を目指すものであり、また、北海道新聞社と
の連携についてはメディアという媒体を通して道民の方々に広く本学を
知ってもらおうという試みです。

 さらに本学の教育、研究面での一層の基盤強化とさらなる社会貢献
を目指すため、道内の関係機関と共同セミナーを開催するなど逐一進
めているところです。 さらに地域貢献の重要なものとして位置づけられ
るのは公開講座ですが、これまで学部や各教室で取り組まれていたも
のも数多くあり、この中には道内の各地で開催されているものもあります。

 こうした取組もより一層、発信の工夫を考えることにより、具体的な地
域貢献が可能となると共に今後は、地域の医療人を対象とした生涯教
育、再教育といった分野も視野に取り組んで行く必要があるものと思い
ます。
 
 最後になりましたが、私は大学改革に向けての本学のスローガンとして、

 「最高レベルの医科大学を目指す」 ことを提案したいと思います。

 この具体的な柱として、

 「人間性豊かな医療人の育成に努めること」
 「道民の皆様に対する医療サービスの向上に邁進すること」

 そしてこの2つを支える、

 「国際的・先端的な研究を進めること」 であると考えており、教員、職
員そして学生の皆さんのご意見をいただければと思います。
 
 法人化まであとわずかです。大学改革に向けて是非、皆さんのお力を
いただき、これまで培われた知の財産を継承すると共に、地域に開かれ
た魅力ある大学を実現して参りたいと考えております。