第42号  平成19年1月23日

 学長室だより第42号をお届けします。

◎今後の向かうべき方向

 現在、本学では法人化に向けて学内の法人化検討委員会のもと
に、5つの部会を設置し、新しい法人の組織、人事制度、会計制度
などの設計の他、法人の6年間の道筋ともなります中期計画や附属
病院の体制や経営の見通しの検討を行っております。

 私としては教育、研究、医療の3つの側面から本学が果たしてきた
役割を通して、今後の方向性について触れておきたいと思います。

 最初に、教育面ですが、医師、医療人の国家試験では常に合格率
が上位であり、
昨年度の医師国家試験は合格率99%と全国2位となりました。また、
約6500名を数える卒業生の85%が道内に定着しているということも
本道の地域医療に大きく貢献しているものと考えられます。

 このことは、教育面で3年連続で採択されている現代GPや附属病院
を中心として取り組まれている医療人GPなどの展開により、一層の効
果をもたらすものと考えられます。

 たとえば、16年度に現代GPに採択された地域密着型チーム医療実
習では、両学部の学生が互いに地域の中で協力することがより良い医
療のためにいかに重要かを学んでいます。

 これら学生時代の経験が地域医療に進んで貢献する人材を育成する
方法の一つと考えています。

 こうした取組を基本に高校訪問や出前講義、高大一貫型e-learningな
どの入学前からのアプローチ、医学総論や保健医療総論での取組、地
域医療実習などに加え、卒後の初期研修や医療人GPによる後期研修で
一貫した地域医療教育を進めることが必要と考えています。

 さらにこうした取組をより体系的に行う上でも私としては、「教育センター」
の設置が重要と考えており、現在、両学部の教員からなるワーキンググル
ープで具体的に検討していただいているところです。ここでは、将来的には
両学部の特色を生かした新しい大学院教育や社会人を対象とした系統的
な公開講座などの導入も検討課題に入れる必要があります。
 
 次に研究面ですが、前述した教育も、地域医療についてもこれらを支える
国際水準の研究が不可欠です。本学は研究の目安ともなる科研費の獲得
額が一人当たりでカウントすると全国720大学で13位と高水準にあり、ま
た、特許の出願件数も年間約15件と発明そのものが定着しつつあります。

 体制面においても、今年度から看護学博士課程の後期が新設され、全
研究科が博士課程を充実した形になりました。これらと併せて、大学や地
域での研究支援を可能とする総合情報センターと学内の研究シーズを地
域へ還元する産学・地域連携センターを整備してきました。

 特に産学・地域連携センターでは本学の特色ともなる現代GPで採択され
た知財教育を進めているほか、産学官連携コーディネーターを中心に、他
大学や企業等との共同研究を着実に進めています。

 また、保健医療学部を中心に、学内研究シーズと地域の保健福祉行政
との連携を図る赤れんがフォーラムも3回目を実施し、両学部とも地域に
対応した研究は定着しつつあると思います。

 これと併せて、本学の研究が世界と伍してより大きく発展していくために
は、附属研究所の再編も含め、トランスレーショナルリサーチ研究の拠点
などを踏まえた「未来医学の研究所」(仮称)などの整備も今後、必要と考
えられます。