第26号  平成17年11月17日

 学長室だより第26号をお届けします。

 今年は、暖かい秋といわれておりましたが、最近になって朝晩の冷え
込みが厳しくなりました。皆様体調には十分ご注意下さい。

 保健医療学部の第2回赤れんがフォーラムの開催や、医学研究科の
先端医学研究コースも始まるなど、何かと教職員の皆さんもお忙しいこ
とと思います。

 また、先日、本学の学生の皆さんを中心に未来の医療のあり方を考え
るnorth powers2005が実施され、マスコミにも取り上げられていました。

 大学祭の中でも取り組まれていましたが、学生の皆さんが医学、医療
を学ぶ立場で、多くの仲間と様々な視点で意見交換、情報交換を行って
いくことは今後の医療のあり方(例えば、チーム医療)を考えていく上で
大事なことと考えられます。
 
◎保健医療学部の第2回赤れんがフォーラムが開催されました。

 10月20日、道庁赤れんが会議室で、約80名の道や市町村職員、社
会福祉協議会の方々に参加いただき、フォーラムを開催しました。

 特に今回は、2回目ということもあり、より具体的に大学が地域にどんな
ことができるかといったテーマに絞りました。

 更別村の安村村長に地域の立場から基調講演をしていただき、保健医
療学部の4人の教員が地域への提案と題して、学部として何ができるか
を具体的に説明しました。

 最後に道庁保健福祉部の熱田福祉局長に地域の差し迫った行政課題
となっている子育てや介護といった問題に、非常に役に立つ可能性がある
とコメントしていただきました。

 こうした企画そのものはどう継続していくかということもあわせて、いかに
実現していくかも重要です。アンケートなどでも、保健医療学部は道内の
市町村が進める福祉行政のシンクタンクとしての期待が高まっていると感
じます。

 次年度に向けて、是非、「地域連携」の足がかりをつくっていただきたいと
思います。
 
◎産学連携に係る学内講演会を実施しました。

 11月9日、文部科学省研究環境・産学連携課 伊藤技術移転推進室長
をお招きし、「産学連携と利益相反」と題し、産学連携活動の重要性とそれ
に伴う利益相反の取扱いについて、具体例を交えてご講演いただきました。

 本学でも先月の評議会で「利益相反ポリシー」を策定したところですが、こ
の具体的なマネジメントについては教員の皆さんのご意見や理解を得ながら、
検討していきたいと考えています。

 特に産学連携活動は、社会貢献と同時に連携先の私企業への貢献、さら
には連携した教員個人の金銭的利益につながるという側面が発生します。
このため、必然的に大学は利益相反にどう対応すればよいかという検討が
必要となっています。

 教員の皆さんが安心して産学連携活動を行える環境をつくるためにも、大
学として対外的に説明できることが大切です。今後とも知的財産管理室を通
じて、こうした問題に対しての情報提供も行っていきたいと思います。

 また、今年度採択された現代GP「医学研究者・地域医療従事者支援型知
財教育」を具体的に推進するプロジェクトチーム(SITE)の第1回目の会議を
開催しました。

 このプロジェクトチームは知的財産管理室や医学部の臨床、基礎の教員の
みならず、保健医療学部や事務局職員、小樽商科大学助教授の松尾先生な
どにも参加してもらい、より具体的に、また、幅広い展開が可能なスタッフで取
り組めるようにしました。

 医学研究者をはじめ、地域医療に従事している方も、実際には知的財産とい
っても身近に感じていないかもしれません。しかしながら、研究はシーズがあっ
てもニーズと結びつかなければ、実際には知的財産として機能していかない側
面をもっています。

 私としては、5つのステージに分かれているプログラムの中で、教育の側面で
は、研究者としての最低限の知識を得てもらうことが重要ですが、技術移転と
いうことを視野において、地域医療に従事する方にも理解してもらえるような内
容も考えていくことができればと思っています。今年度は大学院の先端医学研
究コースの中で、取り組んでいきたいと考えております。
 
◎法人化の取組について

 10月26日、公立大学協会東部地区協議会が、本学が当番校となり、開催し
ました。

 今回の協議のテーマの一つは、法人化問題でした。21校の公立大学が集ま
り、私も既に法人化した首都大学東京の西澤学長や国際教養大学の中嶋学長
と懇談する機会がありました。

 また、現在、法人化作業を進めている大学や法人化について考慮中の大学の
ご意見も伺ったところです。私も結論としてはより良い教育、研究ならびに、より
良い社会貢献をどうしたら進められるかということにつきると考えています。

 そのためには法人制度というのは弾力的な予算運用や機動的な人事配置が
可能ということですし、中期的な目標を設定し、予算もその中で効率的に活用が
可能と考えられます。
 既存の仕組みを、ただ大胆に変えればよいというのでは混乱をまねくことにも
なってしまいますし、法人制度の枠組みにどう軟着陸させるかが重要と思います。

 現在、設置者となる道と定款について協議中です。大学素案については、学
内ホームページや懇談会でも説明しているところですが、現在、役員体制につ
いて調整しているところです。

 特に大学素案では設置することとしていなかった副理事長について、道案で
は置くこととなっています。他の医科系公立大学では、副理事長を設置するケー
スが多く、今後の設置者との関係からやむを得ないと私自身、考えているとこ
ろですが、経営という名目のもと、教育・学問(教学)、診療が軽んじられるよう
なことになってしまうことには反対です。

 学内でも教学への関わりや大学を理解していない人の就任など、懸念する意
見が数多くありました。これまでも道にそうした考えについて説明してきたところ
ですが、このようなこととあわせ、教学以外の役員の人数についても配慮される
よう要望してまいりたいと考えております。

 今後、6年間の大学の進むべき方向を決める中期目標、中期計画を議論する
機会をつくりたいと考えております。現在、計画評価部会でたたき台を作成して
いるところですが、是非、教員の皆さん、職員の皆さんのご提案を伺えればと思っ
ています。

 この目標、計画は外部機関として設置される評価委員会で審議されることにな
ります。道民の幅広いご意見もなども視野に考えていかなければならないと思い
ますので、部会の体制の強化も含めて、検討していきたいと考えています。
 
       ※                                ※
 
 学生会の協力を得て、大学改革推進室が法人化についてのアンケート調査を
実施したとこです。

 学食の設置や施設の老朽化の問題、教員や事務局職員の対応などご意見が
あった内容について私も検討しなければならないと思っています。

 法人化を待たずして可能なこともありますので、早めに取り組めることは対処し
ていきたいと考えています。また、要望のありました学生の皆さんへの説明会に
ついてもできるだけ早い機会に行いたいと思っています。