第25号  平成17年10月 7日

 学長室だより第25号をお届けします。

 10月に入り、円山の紅葉もすすみ、秋深しといった季節になりました。秋は
知力、気力が充実する季節といわれており、学生の皆さんにとっては実習を
はじめ、後期授業が本格化する中で、まさしく勉学の秋ではないでしょうか。
 
◎医療人GPが採択になりました。

 今年度から始まった文部科学省の新規事業「地域医療等社会的ニーズに
対応した医療人教育支援プログラム」(医療人GP)に、本学から応募していた
「地域の命を守る医療人養成プログラムの実践」が採択になりました。

 この取組は、大学附属病院の教育機能を活用し、医師が地域に定着する
システムを確立しようとするものです。

 特に大学病院から地域医療支援に従事する医師のスキル向上と不安解消
を目指しており、具体的には心肺蘇生や患者搬送などの救命救急医療の実
践教育を実施し勤務先地域の特性と医師の専門性に着目した集中教育を事
前トレーニングとして行うとともに、着任後はITを活用したテレビ会議システム
や医療情報の提供を行うサポート体制を整備しようとするものです。
 
 この内容については、へき地に赴任する医師の支援という視点が明確なこと、
将来的には赴任する医師のみならず、へき地を支える医師の支援という観点
も考慮されているなどの点が評価されたものです。
 
 応募にあたっては、実際に地域に着任した経験のある医師も参加したワー
キンググループを中心に検討してきたところですが、今後の推進にあたっても
島本病院長のもと、現場の意見をお聞きしながら、取り組んでいただければと
思います。
 
◎法人化の取組について

 8月31日の学内懇談会をはじめ、新しい法人の定款について学内でも議
論を進めているところです。定款の大学案の作成を契機として、様々な形で
教職員の皆さんのご意見を伺いたいと考えております。

 現在、ホームページの中でも学内のご意見に対しての考え方について、
法人化検討委員会で議論し、回答しているところです。

 特に、道側の事務レベルの案も示されているところですが、法人の運営体
制と円滑な移行などについて、議論していかなければならないと考えており
ます。

 法人化を制度の趣旨のみに着目して進めようとすると、必ずしも大学の実
情を反映したものにはならないことは、国立大学をはじめ、他の公立大学の
事例をみても明確だと思います。

 私としては学内の実情に配慮した円滑な法人化への移行が重要と考えて
おりますので、人事や財務といった各種制度の作成においても不都合だった
点の解消や機動力を生かすための工夫などについて皆さんのご意見を伺え
ればと思います。

 先頃、文部科学省の国立大学法人評価委員会が「業務実績評価」の結果
を公表しました。これは6年間の中期計画において、業務運営の改善・効率
化や財務内容の改善、自己点検・評価及び情報提供などの項目について
進行状況を判定したものです。

 国立大学法人の場合、93法人の評価を1つの評価委員会が行うため、相
対的な比較も可能となり、その結果、下位の大学には、社会の評価も一層
厳しくなるものと考えられます。

 ただ、私としては法人運営にあっては経営はきわめて重要な要素とは考え
られるものの、教学が業務の効率化や財務内容の改善といった指標のみで
とらえられることは、疑問と言わざるを得ません。
 
 建学の精神にあるように、本学は地域医療に貢献する医療人を育てるとい
う責務があります。そのために、多くの若い人材が生き生きと働ける大学を
創ることが重要であり、そのような魅力的な大学にすることこそが、問われて
います。

 今後、中期計画の作成も本格化しますが、一度、学生の皆さんの意見を
お聞きしたいと思っております。
 
 
  ※                               ※


 10月1日に、小樽商大札幌サテライトにおいて、本学と小樽商科大学との
間で、「文理融合による連携協力協定」を締結しました。

 これまで、小樽商科大学とは共同で、産学官連携コーディネーターを配置
するなど協力関係も生まれており、このたび協定を締結したものです。

 小樽商科大学には、バイオ系ベンチャーの立ち上げ支援の実績があるなど、
研究成果の活用に強みを有しており、互いに総合大学にはないフットワーク
の軽さがあると思いますので、今後の発展に期待しているところです。