理事長室だより第22号をお届けします。
 法人化前の「学長室だより」から通算すると67回を数えますが、本号が私にとっての最終号となります。
 このメールマガジンは、教職員、学生のみならず、本学に多大なる貢献をいただいた名誉教授の皆様に送信しているほか、ホームページにも掲載しているため、「最近の大学の様子を知る窓口として、興味をもって読んでいる」とのうれしい返信も数多くいただいています。
 本号は、いつもの近況報告ではなく、建学の精神に添ったこれからの取組について、お話しをさせていただきたいと思います。

進取の精神と自由闊達な気風について
 本学は、今年、開学60周年、創基65周年を迎えます。
 この節目の年に、先人の皆様の功績に感謝するとともに、建学の精神のひとつである「進取の精神と自由闊達な気風」という原点を改めてかみしめてみたいと思います。
 医学・医療の急激な進歩は、医療人として習得すべき知識・技術の増大をもたらし、カリキュラムも大変過密になって参りました。しかし、学生諸君には、その厳しい環境の中でこそ、本学の「自由闊達な気風」のもと、存分に「進取の精神」を発揮していただきたいし、教わったことをそのまま鵜呑みにすることなく、常に批判精神と向上心を持って臨んでほしいと考えています。本学を巣立った諸先輩方、そして皆様方の「進取の精神」の積み重ねが本学の歴史となり、また、未来に続く道となるわけです。

医学・医療の攻究と地域医療への貢献について
 本学は、平成19年に地方独立行政法人としてのスタートを切りました。常に、本学の存在意義と道民の皆様方からの期待を意識していなければなりません。本道の医療の現状を見ますと、都市部に医師が偏在していることによる医療水準の格差が年々拡がっています。これを緩和するため、毎年800名(常勤320名)以上の医師を道内の各地域へ派遣しています。
 また、本学は、医学部、保健医療学部が一体となって、地域におけるチーム医療を体験する「地域密着型チーム医療実習」に早くから取り組み、両学部共通カリキュラムに取り入れています。この取組の主眼は、学生の持っている漠然とした地域への関心を「確固とした地域医療に対する使命感」にまで引き上げていくことにあります。ひとりでも多くの人間性豊かな「地域医療マインドを持った医療人」を世に送り出すことが、教育機関である本学の最大の「地域医療への貢献」であると考えております。

最後に
 医学・保健医療学そして医療の急激な進歩の中で、教職員の皆様には、教育のみならず、先端的な研究や診療にも大変な努力を傾注していただきました。
 おかげ様で本学は、科学研究費の取得実績でも全国の上位に名を連ねているほか、橋渡し研究推進プログラムにより、再生医療、がんワクチンなどの最先端研究を支援する拠点を形成することが可能となりました。しかし、現在の体制では、自ずと限界があるのも事実です。これからは、高度な研究施設環境、快適な病院治療環境や十分な人的組織環境の整備についても、実現すべきところに来ていると認識しています。
 今後も、本学が一体となり、様々な取組を進めていくことで、本学がますます道民の健康と福祉に欠かすことのできない存在となっていくことを確信しております。

 最後になりましたが、6年間にわたり、本メールマガジンをご愛読いただいたご厚誼に深く感謝し、今後とも札幌医科大学に変わらぬご支援とご厚情を賜りますようお願い申し上げます。
 
 ありがとうございました。