札幌医科大学は、昭和25年に創設されて以来、開学65周年、さらには、前身の北海道立女子医学専門学校の創立から創基70周年を迎えることとなりました。顧みますと、札幌医科大学は、昭和20年に創立された道立女子医学専門学校を母体に、戦後の学校教育法の大改革により設置された新制医科大学の第1号として創設されました。
開学当初は、医学部のみの単科大学として発足しましたが、平成5年4月に札幌医科大学衛生短期大学部を母体に、看護・理学療法・作業療法の3学科からなる保健医療学部を開設しました。 これにより現在は、医科系総合大学として、両学部学生、大学院生合わせて約1500名、教職員約1500名を擁する大学に発展してまいりました。
また、本学は「進取の精神と自由闊達な気風」、「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」という建学の精神の下、自主・自律的な大学運営を行い、札幌医科大学が道民の健康増進に貢献することで、道民の誇りとなる大学であり続けることをめざし、平成19年に北海道公立大学法人札幌医科大学として、新たな出発をいたしました。
この間、医学部卒業生は約5300名、保健医療学部卒業生は衛生短期大学時代の卒業生を加えますと約2700名となり、約8000余名の有為な人材を輩出してまいりました。
卒業生は医療現場あるいは、医学・医療研究の第一線で活躍するとともに、多くの方が北海道内各地で、地域の医療、保健、福祉の各分野の向上のために大きく貢献をしております。また、教育、研究者としても国内外のそれぞれの領域でご活躍され、各界から高い評価を得てまいりました。
これまでの歴史を築いてこられた教職員、同窓生そして関係の皆様のご努力とご貢献、そして、これまで支えていただきました道民の皆様に心より感謝を申し上げます。
さて、平成27年度は本学の新しい中期計画の3年目に当たりますが、新中期計画の中でも重要課題の一つが新キャンパス構想であります。
大学の教育、研究、診療という役割を遂行している教員・構成員の強い願いが込められた教育棟、東棟、研究所、本部棟の全面改築が進められており、昨年11月には体育館・リハビリテーション実習施設、保育所が完成し、移転も無事に完了しました。現在は教育研究施設の第一期工事に着手したところで、今年度には保健医療学部の増築工事も始まり、平成30年度の完成後には教育研究施設の第二期工事と本部棟・動物実験棟の工事を予定しています。全ての施設が完成すると充実した教育・研究環境を備えた新たな都市型のキャンパスに生まれ変わることとなります。
また、附属病院についても、今年度より北病棟の西側に増築棟の工事を開始します。完成後には、北病棟・南病棟・中央診療棟の改修工事を計画しており、附属病院全体の医療、療養環境が一新されることとなります。
開学65周年、創基70周年を契機といたしまして、新キャンパス構想のもと、本学は、北海道民の大学としてこれまで以上に教育、研究、臨床の充実を図り、更なる地域医療への貢献に努めてまいります。
札幌医科大学の開学65周年を迎えて
「進取の精神と自由闊達な気風」と「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」を建学の精神とする札幌医科大学は北海道により1950年(昭和25年)に開学されました。開学から65周年を迎えるにあたって、最近の医学部の話題をお届け致します。
最初は入試の特別推薦枠についてです。特別推薦で入学した学生は卒業後の9年間のうち、5年間を知事が指定する道内の公的医療機関に勤務することになっています。平成26年3月にこの制度の初の卒業生を送り出しました。彼らは今はまだ初期臨床研修中ですが、今後、若い力を発揮して北海道の地域医療に貢献してもらえるものと期待しています。
特別推薦枠の学生が卒業後に、専門医や医学博士を取得することに障害があってはなりません。特別推薦枠を含めて、すべての学生の卒後のキャリア形成に関する情報提供や、相談体制の充実のため、「医学部学生キャリア形成支援委員会」を設けました。大学をあげて医学部生、卒業生の支援に力を入れています。
一方で、「進取の精神」と詠われているように、大学は研究にも力を入れ医学・医療の発展に尽くしています。最近の話題では日本最初の骨髄幹細胞移植による脳梗塞や脊髄損傷の治験があります。脳の血管が詰まったり、脊髄の損傷が起きると、重症例では現代医学でも治療が困難です。患者さんの幹細胞を取り出して培養し増殖させてから、再度、戻すという再生医療による治療法が本学で開発されました。現在、この治療法は臨床治験という有効性と安全性を調べる段階にあります。この臨床試験は附属病院で行われており、目覚ましい治療効果をあげています。
これまでの実績を元に、これからも北海道の、日本の、そして世界の医療の明るい未来をみなさんとともに本学が切り開いていくことを確信しております。
札幌医科大学の開学65周年を迎えて
本学が65周年を迎える今年、保健医療学部は開設から23年目となります。
かつて、病気からの回復が中心であった医療に対する社会のニーズは、少子高齢化、疾病構造の変化を背景に健康の維持・増進、病気の予防へと転換しつつあります。
今、人々の関心は、健康で生き生きと暮らすこと、たとえ患ったとしても自分らしい生活を送ること、に向かっています。こうした状況において、人々の健康を生活面から支える保健医療学部の役割は一層高まっており、教育・研究・実践の充実が求められています。
とりわけ、保健・医療に係わる種々の問題を抱える北海道においては、様々な年代、多様な健康レベルにある人々への保健指導や健康管理、高齢者に対する介護予防、育児支援、在宅医療の推進等、健康な生活を守り支えるための働きかけが重要です。
今後、保健医療学部は、将来の地域医療を担う質の高い医療人の育成に一層力を注ぐとともに、看護・リハビリテーションに関わる資源活用と諸研究の成果還元を推進し、道民の皆さまへの働きかけを積極的に行って参ります。
生まれ変わる札幌医科大学附属病院
先進的医療と地域医療のさらなる推進のために
現在、札幌医科大学附属病院では新棟(西棟)の建設が、平成27年着工、平成30年完成の予定で進められています。病室の4床化、個室の増設や、リハビリテーション施設や化学療法室の充実など、患者さんのためのアメニティーが大幅に向上します。また、既存棟の改修により、手術部、ICU等の整備・拡充を行い、さらなる高度な先進的医療の推進を図ります。このようなハード面の改善だけでなく、医療安全、患者サービス、臨床研究推進などに関わる部門の整備や医療情報システムの改良など、ソフト面においても改善を図り、より良質で安心な医療の提供をめざしていきます。一方、北海道という広大なフィールドを背景として、地域医療への貢献も当院の大きな使命です。地域への医師派遣や医療連携の推進、メディカルスタッフを含めた診療支援などにも一層力を入れていきます。
65年におよぶ歴史と伝統に基づき、今後も病院職員一同、一丸となって、道民の健康維持・増進、ならびに本道の医療・医学の発展のため力を注いでまいります。
人間力あふれる医療人の育成に向けて
本学が開学65周年を迎えるにあたり、一言ご挨拶させていただきます。
医療人育成センターは開設されて8年目を迎えます。入学者選抜企画研究部門、教養教育研究部門、教育開発研究部門の3部門からなり、本学における教養教育と専門教育の有機的連携を柱に据えながら、医療人育成のための実践、企画、研究、を行っております。
近年、社会の様々な方面での人材確保の場でよく話題に上るのは、人間関係力というテーマかもしれません。これはまさに医療人としての基盤をなす能力でもあり、医療人育成教育においてもとりわけ大事な要素となってきております。本学でも医学、医療の専門教育と並行して、この能力をいかに培ってゆくかが問われているところです。医療人としての共感力に富む温かい心情の涵養に心を配っていかねばなりません。そのような豊かな感性を育む教育の実践に教員一同力を注いでいくつもりです。