平成24年度札幌医科大学卒業式・修了式 式辞

平成25年度札幌医科大学卒業式

平成二十四年度 卒業式式辞                 

 本日ここに、平成二十四年度札幌医科大学卒業式、大学院修了式ならびに助産学専攻科修了式を挙行するにあたり、大学を代表して、式辞を申し上げます。
 本日の卒業式には、北海道副知事 多田健一郎 様、北海道医師会会長 長瀬清 様、札幌医科大学医学部同窓会長 田中繁道 様、保健医療学部同窓会長 本庄睦子 様をはじめ、多くの方々に御出席いただいております。御来賓の皆様には、ご多忙のところご臨席を賜り、厚く御礼を申し上げます。

 本日、札幌医科大学が送り出す卒業生は、医学部六十期生九十八名、保健医療学部十七期生看護学科四十九名、理学療法学科十八名、作業療法学科二十名の計百八十五名であります。また、大学院医学研究科の修士課程修了者は八名、博士課程修了者は三十九名、大学院保健医療学研究科の博士課程前期修了者は十六名、後期修了者は三名、助産学専攻科修了者は十九名であります。

 本日めでたく学士の学位を得られました諸君、また、優れた研究成果を上げて大学院の課程を修了し、修士あるいは博士の学位を得られました諸君、そして第一期生として今年初めて助産学専攻科を修了された諸君に、大学を挙げて心からお祝いを申し上げます。
 卒業式、修了式は、勉学、研究の大きなひと区切りであると同時に、学生から社会人への新たな出発の時でもあります。諸君の今日があるのは、自分自身の努力の結実で有ると同時に、ご両親、ご家族をはじめ、教職員、先輩、友人など多くの人々の温かい愛情と理解・支援のお陰であることを十分に認識し、感謝して、諸君の新しい人生に向かっていただきたいと思います。

 札幌医科大学は一九五十年の創立以来、北海道における最先端の医学と医療を担い、地域医療に貢献する優秀な人材を多数送り出してまいりました。そして、現在、医学部、保健医療学部の全卒業生の大半は、北海道各地に根をおろし、最新の医学・保健医療学の知識、技術に基づいて、第一線で活躍しております。その数は、これまでに約七千七百名であります。この大学で、医学あるいは保健医療学を学んだ諸君は、卒業にあたって、改めて「進取の精神と自由闊達な気風」そして「医学・医療の攻究と地域医療への貢献」という建学の精神を深く心に刻み、新しい門出についていただきたいと思います。

 日本の大学、特に医療系大学は大きな変革の潮流の中にあります。本学も含めて先端的な研究が推進されていると同時に、医師不足、看護師不足は深刻な問題となっておりますし、理学療法士、作業療法士不足も現実の問題となっています。
 このような中で、札幌医科大学も、「教育」と「医療」、「研究」の充実を目指して変革を進めて参りました。まず、地域への医師派遣ですが、医師不足の厳しい現実の中で、毎年八百名以上の常勤・非常勤の医師が本学から派遣され、保健医療学部の卒業生とともに北海道の地域医療に大きく貢献しております。まだ道民のニーズに十分に応えているとは言えませんが、今年から始まる新中期計画では計画期間中に年百件の医師派遣増加を達成することとしており、できる限りの努力をすることが道立の医療系大学である本学の重要な使命の一つであると考えます。
 地域医療を理解し、目指す医師・医療者を育てる上で、教育面での取り組みも重要です。医学部・保健医療学部の学生による合同チームでの地域における早期体験実習では、地域医療を理解し、将来の道民医療を担う学生を育成しております。
 地元の方々との懇親会では、実習参加学生に対して、卒業後医師や看護師として、一人でも多く、地方に来てほしいという切実な声にも心を動かされたところです。入試対策でも地域医療を担う医師育成のために、北海道医療枠が、合格発表も終了し、新年度からスタートします。このような対策を通して、地域医療に貢献すべく大学として全力を挙げて取り組んでおりますが、この点につきましては、卒業生諸君にも今後の十分な御理解と御支援をお願い致します。

 最先端の研究に関しましては、幸いこの数年で札幌医科大学から極めてすぐれた研究が継続して発表されております。先週、記者会見をして報道されてます脳梗塞の再生医療や癌ワクチンなど、新しい治療法として全国から注目され、期待されている先進的研究が本学から生まれております。諸君は、医学・医療研究においても先輩をさらに越えるような成果を挙げてほしいと思います。

 大学施設の整備につきましては、北海道や道議会の御理解により、新キャンパス構想の具体的な機能や整備内容が決まり、教育棟、研究所、保健医療学部棟や附属病院など、教育、研究、診療の充実を図るための施設整備に取りかかります。今年から教育研究施設の工事が順次行われ、附属病院西棟の新築工事も平成二十七年より始まる予定です。

 このような新しく生まれかわりつつある本学で、諸君は努力を惜しむことなく、それぞれの才能を伸ばし最終試験に合格し、本日の卒業を迎えたわけであります。医師国家試験の合否は一九日火曜日の発表ですが、これまで通り良い結果であると信じております。看護師、理学療法士、作業療法士、助産師の国家試験も百%になるものと大いに期待しています。札幌医科大学も諸君の誇りとなるような大学を目指して成長し、諸君をバックアップして参ります。
 今後はそれぞれの道を選択し、札幌医科大学の卒業生として、人間性豊かな医療人としてさらなる研さんに努めていただきたいと願っております。

 本日、大学院の課程を修了する諸君は、学位を得て、研究者として、また高度医療専門職業人として自立されます。諸君は、大学院の研究の課程で、独創性を心がけ、未知の世界に敢然(かんぜん)と挑む開拓者精神を学び、身につけてきました。諸君が、大学院で学んだ成果を医学並びに保健医療学研究の更なる進歩のために、また地域における医療や保健活動の場に生かして、活躍することを祈念致します。
 助産学専攻科の諸君は、一期生としての修了となります。教員と共に札幌医科大学助産学専攻科を立ち上げ、学び、講義・実習の礎を築かれました。一期生としての誇りを胸に今後も北海道の周産期医療の中核として、医療に教育に頑張ってください。大いに期待しています。
 
 卒業生ならびに修了生の諸君。この母校、札幌医科大学で学んだことに誇りをもち、北海道はもとより、広く世界の医学、医療、保健そして福祉の向上のために、大いに活躍していただけるものと信じております。テクノロジーの進歩が著しい最近ですが、テクノロジーのみで診療するのではありません。病気を診るのではなく、病気をもっている一人の人として診ていくことのできる、患者さんの立場で考え、対応する医師・医療人であってほしいと思います。
 大きな夢を持ち、医療、研究の現場で仕事にまい進されることと存じますが、その中で北海道民への感謝と、いろいろな形で将来、北海道のために還元することも念頭においていただきたいと思います。北海道を離れる諸君に対しては、地域医療で困っている道民の多くが期待していることを忘れないで、また北海道に戻っていただければ幸いです。
 
 終わりに、卒業生並びに大学院修了生の諸君の輝かしい前途を祝し、今後のさらなる飛躍を心から祈りまして、式辞といたします。
                                     平成二十五年三月十五日  
札幌医科大学 学長  島本 和明

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