札医大の研究室から(28) 土橋和文病院長に聞く(十勝毎日新聞・札幌医科大学 包括連携協定事業)

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 寒い季節には、室内外の急激な温度の変化により、人の体はさまざまな影響を受ける。循環器を専門とする札幌医科大学附属病院の土橋和文病院長に、冬に気を付けるべき疾患と予防法を聞いた。(聞き手・安藤有紀)

土橋和文(つちはし・かずふみ)

 1956年オホーツク管内斜里町出身。81年札幌医科大学医学部卒業。ロンドン大学セントトーマス病院レーン研究所などを経て2012年札幌医科大学医学部病院経営・管理学教授。15年同大学附属病院副院長、18年4月から現職。

札医大の研究室から(28) 土橋和文病院長に聞く 2019/1/26

安藤:冬場に多い疾患は。
土橋:高血圧からくる循環器系の疾患が出やすい。代表的なのは脳卒中。心筋梗塞、不整脈、糖尿病、喘息(ぜんそく)など免疫系を罹患(りかん)する病気も注意すべきだ。

安藤:ヒートショックによる突然死もある。
土橋:一般的に寒い時期での入浴など急激な温度変化による急性の脳卒中、心筋梗塞、心臓突然死などに対して「ヒートショック現象」という言葉が使われている。入浴中の突然死は1年間に1万5000~2万人で、内因性の突然死では睡眠中に次いで多い。そのうちヒートショックが原因の人がどれだけいるかは明らかになっていない。
 入浴中の事故は圧倒的に高齢者が多い。急激に血圧が下がり気を失ってしまう、広い湯船で滑って溺れるなどのケースがある。

安藤:入浴の事故を防ぐには。
土橋:温度差が大きいと血圧に影響しやすいため、入浴前から浴室や脱衣所を暖めておくこと、熱い湯に一気に入らない、長風呂をしないことを意識してもらいたい。失神や溺れるのを防ぐため、浅い風呂にかがんだ姿勢で入るようにする。ぬれタオルなどで後頭部を冷やすのもよい。
 循環器疾患のある人は呼んだら家族がすぐ来られるよう浴室の戸を少し開けておく、家族が定期的に声を掛けることも勧めている。

安藤:十勝の住民に一言。
土橋:十勝は寒さが厳しい地域。気温が下がる早朝や日没前後の行動に注意してもらいたい。吸気や首回りが冷えると血圧に影響を及ぼしやすいので、屋外で活動する際はマスクや厚めのマフラーを身に着けるとよい。
 外出の前の行動にもひと工夫を。体操など軽い運動をして体を温める、窓や戸を少し開けて外気に触れるなどが効果的。冬は車の中の温度もかなり下がる。出発前に車中を暖めておくとよい。
 降雪時、朝の出勤前に雪かきをする人が多いが、目覚めて2時間程度は体が緊張していて一日で最も血圧が高い。そこに動作の負荷が重なり、心臓に大きな負担となる。雪かきは数回に分けて行い、家族と協力してほしい。

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情報発信元
  • 経営企画課企画広報係