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プレスリリース・メディア

魚眼図~日本ブランドの創出~(1月18日北海道新聞夕刊掲載)

魚眼図~日本ブランドの創出~解剖学第二講座 藤宮峯子教授(1月18日北海道新聞夕刊掲載)

北海道新聞掲載記事
北海道新聞夕刊「魚眼図」に掲載された解剖学第二講座・藤宮峯子教授のコラムを毎月ご紹介しています。

2010/01/18,北海道新聞夕刊全道,6ページ

~日本ブランドの創出~

 海外へ留学する若者が激減しているという。若者が内向きになっていることが原因らしい。

 昭和30年代生まれの私は、とても外向きで、海の向こうには素晴らしい世界があると信じて青春時代を過ごした。特に医学の世界は、アメリカで学ばなければ一流の研究者にはなれないと言われた時代だ。

 しかし、内向きが必ずしも悪くないことを、日本の歴史が証明している。奈良時代は遣唐使を通じて大陸にひらかれた時代、平安時代は内向きで日本独自の文化が花開いた時代。
 安土桃山時代には太閤秀吉や織田信長が世界に目を向けていた。江戸時代は長い鎖国の時代。
 明治は西洋に追いつけ追い越せの外向きの時代。
 昭和は外向きの帝国主義に失敗した後、必死で経済大国にのし上がった時代。

 結局、外向きの時代に新しい文化を吸収し、内向きの時代に自前の文化との融合を図り熟成させる。わが国の文化はこうして創られたのだ。

 今、若者が内向きなのは、親の世代が外向きに派手に生きた結果、内容が伴わないことに対する批判なのだろうか。それとも、外国に学ぶ必要もないくらい日本の文化が爛熟(らんじゅく)したということか。インターネットで瞬時に世界とつながるから、あえて外に出なくてもよいということか。

 内向きに生きるなら、徹底的に内向きに、世界に誇れる日本発のものを創り出すことにこだわるべきだろう。経済至上主義で突っ走った日本人はもう古い。頼みにするのは、日本独自の精神文化と高い科学技術力だ。欧米に対するコンプレックスがない今の若者こそ、本物の日本ブランドが創出できると思う。

(藤宮峯子・札幌医科大教授=解剖学)

北海道新聞社許諾D1007-1101-00006651
  • 経営企画課広報
  • 発行日:2011年01月19日