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札医大の研究室から(14) 小林宣道教授に聞く(十勝毎日新聞・札幌医科大学 包括連携協定事業)

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  ウイルスや細菌などが体内に侵入し、増殖したり毒素を作り出したりすることで起こる感染症。中でも、食中毒を引き起こす黄色ブドウ球菌などはニュースなどで名前を聞くことが多いが、実際にはどんなものでどういったことが問題なのか。専門に研究を続ける、衛生学講座の小林宣道教授に聞いた。(聞き手・浅利圭一郎)

小林宣道(こばやし・のぶみち)
1961年苫小牧市生まれ。86年札幌医科大学医学部医学科卒業、同衛生学講座助手、93年同講座講師、98年同助教授を経て2001年から現職。

札医大の研究室から(14) 小林宣道教授に聞く 2017/11/10


浅利: 黄色ブドウ球菌とはどのような細菌か。
小林: その名の通り、ボールのような球状の細菌で、直径は1000分の1ミリより少し短く、とても小さなもの。また顕微鏡で見るとブドウの房のようにみえることから、そのように名付けられた。
 とても身近な細菌で、健康な人の3分の1ほどの人が常在菌として体内に持っていて、皮膚や鼻腔、口やのどの粘膜に存在する。ただ、生きた菌が存在するだけの状態で感染症を起こしているわけではない。

浅利: 黄色ブドウ球菌はどのような病気や感染症を引き起こすのか。
小林: よく見られるのは皮膚の感染症で、おできや膿瘍(のうよう)の原因になったり、切り傷のところで化膿を起こしたりする。
 免疫力の低下した人では血液中で菌が増殖する敗血症や骨髄炎、肺炎などが起こる。そして、食品中で菌が増殖したあとでそれを食べると嘔吐(おうと)や下痢を伴う食中毒が起きることがある。

浅利: 最近目にするMRSAとは何か。
小林: 「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」の略称で、メチシリンという薬剤が効かない黄色ブドウ球菌のこと。 病院の中で感染を起こす菌として昔から有名だが、多剤に耐性になっているので治療がうまく進まない。

浅利:
 MRSAは、通常の黄色ブドウ球菌に比べて何が問題なのか。
小林: 日本国内の入院患者から分離(採取)される黄色ブドウ球菌のうち約半分がMRSAで、これは世界的にみても多い方だ。感染症が治らず重症化してしまったり治療期間が延びてしまったりする。臨床現場のドクターたちも、MRSAや黄色ブドウ球菌対策を一生懸命に行っている。
 正常な免疫力がある人はさほど問題にならないが、病院のような免疫力の落ちている人が多い場所では感染が広がる恐れがあるので、医療従事者も鼻腔内のMRSAの有無を検査することがある。

浅利: 十勝の住民に向けて。
小林: 黄色ブドウ球菌は皮膚に定着する菌で、皮膚と皮膚の接触感染を起こす。皮膚を清潔に保つことで感染や食中毒の予防につながる。
 これから寒い時期を迎えて同じく接触感染により広がるノロウイルスによる胃腸炎も増えてくるので、日常的に手洗いをしっかり行って感染予防に努めてほしいと思う。
  • 経営企画課 企画広報係
  • 発行日:2017年11月11日