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札医大の研究室から(11) 成松英智教授に聞く(十勝毎日新聞・札幌医科大学 包括連携協定事業)

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 広域かつ人口密度が低い北海道で、緊急性を要する患者搬送に不可欠なヘリコプターなど空路での搬送。道内で唯一の高度救命救急センターを持つ札幌医科大学附属病院では、屋上へリポートを活用し患者の受入や移送を積極的に行うほか、道内の拠点病院などにも救命救急医を派遣している。7月30日から道が主体となり運用を開始した「メディカルジェット」でも中核的役割を果たす、高度救命救急センター・センター長で救急医学講座の成松英智教授に、フライトドクター・ナースの役割や体制などを聞いた。(聞き手・浅利圭一郎)
成松英智(なりまつ・えいち)
 1961年札幌市生まれ。92年札幌医科大学大学院修了、道立小児総合保健センター麻酔科医員。93年米国アイオワ大学医学部麻酔学講座訪問研究員。99年札幌医科大学医学部救急集中治療部助手、2007年同准教授、12年札幌医科大学附属病院高度救命救急センター副センター長を経て、同年11月より現職。
 

札医大の研究室から(11) 成松英智教授に聞く 2017/8/18


浅利:フライトドクター・ナースの果たす役割はどのようなものか。
成松:ドクターヘリや航空機など空路で緊急性を要する患者を搬送しながら、一刻も早く初期治療を開始する。そして、札医大のような基幹病院で本格的な確定医療を行えるようにする。
 空路で搬送するだけでなく、例えば救急車で最寄りの病院に一度運んだ方が良いと判断される場合は、そこで初期治療を行い患者の状態が落ち着いてから空路で搬送することもある。また、途中地点まで急行して患者が運ばれた救急車とドッキングして初期治療を開始する場合もある。状況に応じて的確な判断を行う。

浅利:道内での体制は。
成松:救急専門医療に加え、災害医療とプレホスピタル(病院前医療)の専門知識と技能を得た人が携わる。現在は札幌のほか旭川、釧路、函館の拠点病院からフライトドクターとナースが、ヘリで患者の居る現場に向かう体制が整っている。ドクターヘリだけでなく、道や札幌市消防局、海上保安庁などと連携し、そこが所有する航空機を使って患者を搬送することもある。


浅利:具体例にはどのようなものがあるのか。
成松:紋別市で心肺停止の患者がいて、このときは海上保安庁の飛行機で現地に向かい人工心肺を装着したまま丘珠空港まで搬送。そこから道の防災ヘリに乗り換えて札医大のヘリポートに搬送、確定治療を行った。ドクターヘリが向かえない場合は、このように各機関で協力して救急医療を行うことが可能だ。

浅利:7月30日から導入された「メディカルジェット」の果たす役割は何か。
成松:ドクターヘリに比べて高速で飛行できる距離も長く、医療過疎地から都市部への搬送時間が大幅に短縮できる。特に北海道は非常に広大で、へき地から一刻も早く最寄りの拠点病院に搬送するインフラ整備は急務だった。救急医療でも均一化に向けて大きな進歩になると思う。初年度の運用を検証しながら、今後大いなる可能性を見いだせるのではないか。

浅利:
十勝の住民に向けて。
成松:緊急性を要する患者の容体は、5分10分で変わってしまうことが多くある。人の住む地域が偏在する北海道では、なるべく多くの人の命を救う体制づくりが急がれるが、搬送時間短縮によって公平に近い格差を縮める医療のモデルになりうる地域が、十勝や根釧地方だと思っている。
 現在だけでなく100年後の医療も形作るのが大学病院の役割だ。行政などと連携し、救急・災害医療の体制が進むように務めていくので、応援していただければと思う。
  • 経営企画課 企画広報係
  • 発行日:2017年08月28日