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北海道新聞掲載「骨髄損傷 再生へ期待」

平成26年1月21日(火)の北海道新聞に、本学で開始した脊髄損傷の臨床試験(治験)についての記事が掲載されました

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脊髄損傷 再生へ期待*札医大、国内初の治験 山下教授に聞く*脊髄*傷めやすく治療法なし

2014/01/21 北海道新聞朝刊全道(生活・くらし) 16ページ 1324文字

 傷ついた脊髄の神経を再生させる治療法の実用化に向け、国内初の臨床試験(治験)を、札幌医大が開始した。脊髄損傷は有効な治療法がなく、実現すれば多くの患者が救われる。今回の治験を主導する整形外科の山下敏彦教授に詳しく話を聞いた。(安藤徹)
 脊髄は、背骨の中のトンネルのような脊柱管の中を通る神経の束で、脳と、体の隅々に伸びる末梢(まっしょう)神経をつなぐ中枢神経だ。山下教授は「第2の脳と呼ばれる重要な組織だが、もろく傷つきやすい」と説明する。
 腰の部分の脊髄を傷めると下半身不随となる。首の部分はさらに深刻で、死に至ることもあれば、手足を含めて全身が不自由になることがある。また、いずれの場合でも排尿や排便障害などを起こすことがある。傷ついた脊髄は元に戻らず、有効な治療法はない。
 山下教授によると、脊髄損傷の原因で最も多いのが交通事故で、4割を占める。このほか、高所からの転落が3割程度に上る。道内の事例では炭鉱での落盤や落下といった事故がかつては多かった。近年は平地での転倒も目立ち、「冬場の凍結路面を歩行中に転倒したケースがあるのでは」と山下教授。ほかに、後縦靱帯(じんたい)骨化症、脊髄腫瘍などの病気が原因となることもあり、スポーツではプールに飛び込んで底に激突したりスノーボードでジャンプして着地に失敗したりした事故の報告がある。
 また、加齢や病気などで脊柱管が変形していると、脊髄が傷つきやすくなり、注意が必要だという。
 日本では年間約5千人(道内は約250人)が新たな患者となっており、累積の患者数は10万人に上る。
*治験*幹細胞培養 点滴し修復
 今回の治験は、脊髄を損傷した患者の腰の骨から骨髄液を数十ミリリットル採取する。そこから「間葉系幹細胞」という特殊な幹細胞を取り出し、2週間かけて1万倍に培養する。これを約1億個(約40ミリリットル)の細胞製剤にし、患者の腕から静脈に点滴で投与する。開腹手術と違い、患者への負担が小さくて済む。
 この間葉系幹細胞は、人間の体の傷ついた箇所に血管を通じて集まる性質があり、幹細胞は栄養を出し、傷ついた脊髄の神経の修復を助ける。その後、新たな神経を形成する。
 これまでに行ったラットの実験では、歩けなくなった個体が再び歩けるようになるなど、全体的に効果が認められているという。
 今回の治験は、受傷後2週間以内の急性期の患者が対象だが、今後期待されるのは、慢性期の患者への治療だ。山下教授は「急性期を対象にした製剤は10年とかけずに実現したい。慢性期に入ったラットも効果が実証されている。将来的には慢性期の患者にも使えるようにしたい」と話している。
 全国脊髄損傷者連合会北海道支部の広島雄偉支部長(68)=美唄市=は「車いす生活をしている人が歩けるようになれば生活は大きく変わる。治療の実現に期待したい」と話す。
                  ◇
 今回の治験の対象者は、脊髄のうち首の部分を2週間以内に損傷した20~64歳の患者。国内で約30人の治験者を募集し、最長で2016年10月まで行う。問い合わせは札医大病院治験センターへファクス011・616・3112で。
【写真説明】山下敏彦教授

【北海道新聞社許諾 D1401-1407-00009504】


  • 経営企画課企画広報係
  • 発行日:2014年01月24日