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當瀬細胞生理学講座教授の新コラム「真健康論」第12回

當瀬細胞生理学講座教授の毎日新聞連載コラム「真健康論」第12回「老化は視力から」(11月19日毎日新聞掲載)

真健康論:第12回「老化は視力から」=當瀬規嗣(札幌医科大学医学部細胞生理学講座教授)


 人の体で一番先に老化が始まるものは何かご存じでしょうか。それは視力と言われます。俗に老眼と呼ばれるもので、医学的には老視と呼びます。

 老視は40代後半には明らかになって、特に近くのものや細かい文字が見づらくなって自覚されます。遠くのものや近くのものを見るとき、目のピントを合わせる作用を調節と呼びます。調節を行うには、目の中にある水晶体と呼ばれるレンズの厚さを変化させます。ですから、水晶体は弾力に富んでいて、自在に厚くなったり、薄くなったりするのです。

 しかし、この水晶体の弾力性は年齢とともに失われ、硬くなり調節が行いにくくなります。こうして、遠くのものにも、近くのものにもピントが合わなくなり、ある一定の範囲でしか、ハッキリとものを見られなくなるのです。これが老視のしくみです。

 実は、水晶体の弾力性の低下は、すでに20代で始まっていると考えられています。ただし、若いころにピントが合わなくなるのは、極端に目に近い範囲なので、普段の生活で自覚されることはありません。その後、徐々に進行して、日常使われる範囲でピントが合わなくなるのが40代なので、この頃に老視を自覚し始めるのです。40代や50代の読者の方々で、最近、新聞が読みづらくなったと、ひそかにお悩みの方、多いのではないでしょうか。

 目の老化現象は誰にでも訪れます。無理をせず眼鏡を作られることをお勧めします。もちろん、病院や眼鏡店できちんと視力検査を受けて作ることが原則です。出来合いの老眼鏡はいけません。作ってみると、目がとても楽になることに驚かれると思います。「かっこ悪い」とか「年寄りくさい」とか言って、老眼鏡を敬遠していると、目に負担がかかって、それが肩こりや血圧の上昇につながることがあります。また、文字を読むのがおっくうになって、仕事の効率が落ちることも考えられます。読書をしなくなって見聞を広めるチャンスを失うかもしれません。文字や書物で文明を作った人間は、目が頼りの動物です。年をとった自分の目をいたわることが、働き盛り世代の健康維持の第一歩であると考えています。(とうせ・のりつぐ=札幌医科大教授)=次回は12月4日掲載


毎日新聞 2011年11月19日 東京朝刊(毎日新聞社許諾)
  • 経営企画課広報
  • 発行日:2011年11月24日