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(5/12北海道新聞夕刊掲載)魚眼図~医学研究の歓び~解剖学第2講座・藤宮教授コラム

魚眼図~医学研究の歓び~解剖学第2講座・藤宮教授コラム(5/12北海道新聞夕刊掲載)

 解剖学第2講座・藤宮峰子教授の北海道新聞夕刊の「魚眼図」に掲載しているコラムを毎月紹介しています。
[書 誌]
  若い医師達の多くは専門医志向になり、研究室でみっちり医学研究に従事する人が減っているようだ。地域医療に貢献する医師を一人でも多く確保することが大切なのと同時に、医学研究を推し進める人材を確保することも重要課題だ。多くの大学で、基礎医学の研究者や大学院生が激減したと嘆かれるが、幸い私の大学では活発に医学研究が行われ、病気の解明のために多くの人が日夜働いている。
 私自身、若い研究者と一緒に未踏の地に踏み込むのは本当にやりがいがあり、天職と感じている。病に苦しむ患者さんを一人でも多く救いたいという使命感に突き動かされているのだが、使命感だけでは地味で忍耐力の要る研究生活を長く続けるのはむつかしいと思う。
 研究生活そのものの中に、燃え上がるような歓(よろこ)びがひそんでいるからこそ、研究者は飽きもせずに日夜研究室のベンチで過ごすのだろう。何年にもわたる地をはうような苦労と失敗の連続の末に、ついに真実の姿が見えたときの歓びは、何物にも代えがたいものがある。神が創(つく)った精緻(せいち)な人体の秘密の一部を垣間見た瞬間に、これまで不可解だった病気の謎が一気に解けてくる。しかし、研究成果を実際の治療につなげるためには、また次なるチャレンジが待っている。
 若い医師達には、病に対する挑戦者であってほしい。困難な道だからこそ、あえて分け入ろうという気概を持ってほしい。暗中模索の長い道のりでも、自分を信じて歩き続ければ必ず出口はあり、その先には真理の女神が微笑(ほほえ)んでいる。病に苦しむ人がいる限り、やはり医師は捨て身で立ち向かわなければならないと思う。
(藤宮峯子・札幌医科大教授=解剖学)

北海道新聞社許諾 D0907-1001-00005804
  • 経営企画課広報
  • 発行日:2010年05月12日