札幌医科大学医学部 腫瘍内科学講座、血液内科学
   Department of Medical Oncology, Department of Hematology

 

研究紹介


  臨床腫瘍学:
  臨床腫瘍とくにがん薬物療法の基礎的・臨床的検討を行っている。臨床面では消化器悪性腫瘍に対する新規標準療法の開発を目指して、新規抗がん剤を用いたPhaseI/II 研究を行い良好な成績を得ている(Br J Cancer 2007、 Cancer Chemother Phamacol 2010)。さらに同療法の抗がん剤耐性マーカーも明らかにしている(Cancer Chemother Phamacol 2013)。また、膵癌に対する血行改変併用動注化学療法の成績は膵癌の治療成績を著明に改善したことは記憶に新しい(JJCO 2008)。膵管内乳頭粘液性腫瘍に対して、抗炎症剤が有効であることを明らかにした(J Gastroenterol 2009)。さらに、造血器腫瘍に対しては積極的にミニ移植を含めた移植療法を取り入れ、患者の治療成績の向上に努めている。研究面では将来の臨床応用を目論んだ実際的な癌の遺伝子治療の開発や、癌のシグナル伝達機構に関する基礎的検討をもとに分子標的薬の開発、癌の浸潤転移機構の基礎研究をもとに抗転移療法の開発を行っている(J Cell Biol 2007)。 診断面では、消化管内視鏡の新たな応用として、拡大内視鏡による前癌病変の検出、ダブルバルーン式小腸内視鏡による小腸病変の診断などを積極的に行っている。治療では、Helicobacterの除菌、潰瘍性大腸炎、クローン病、悪性腫瘍の薬物療法および、ESD/EMR、アルゴンプラズマレーザー等の内視鏡治療はもちろん、肝胆膵疾患、門脈圧亢進症に対してSub-segmental TAE、PSE、TIPS、PTO、BRTO、Reservoir動注化学療法等の効果的かつQOLを考慮した多彩なInterventional therapyを日常的に行っている。また、IFN抵抗性肝炎症例に対しては瀉血/鉄制限食療法にて良好な結果を得ている(Cancer Res 2001、J Gastroenterol 2007)。さらに、鉄キレート剤が劇症肝炎治療に有効である可能性を見出した(Hepatol Res 2011)。また、胆膵領域において EUS を診断および治療に積極的に導入しており、がん診療に役立ている(J Gastroenterol Hepatol, 2012, Gastrointest Endosc 2015)。また放射線治療科と協力し食道癌に対する化学放射線治療におけるPhaseI/II を行い良好な成績を得ている(Int J Radiat Oncol Bio Phys 2015)。





  消化器腫瘍学:
  基礎研究では、膵がんに対するフコース結合ナノ粒子を用いた新規細胞標的治療を開発した (PLoS ONE, 2012)。さらに、フコシル化 TGFβ受容体が上皮間葉転移を促進することを明らかにした (Br J Cancer, 2013)。大腸癌発生過程におけるAberrant crypt fociの重要性と大腸癌の予防における消炎剤の有効性を明らかにし(N Engl J Med 1998、Gastroenterolgy 2001, 2004)、世界的な脚光を浴び、米国で大規模な臨床治験が始まることになった。その他、大腸癌のoncogene発現に関する研究、鉄過剰症による肝障害(肝癌発生機序)・アルコール性肝障害の分子生物学的解析、自己免疫性肝炎の発症機序、潰瘍性大腸炎の病因(HLA-DP分子にassociateしたUC抗原ペプチドの解明)及び診断法(血中トロポミオシン抗体測定)に関する研究、肝癌の血管新生機序の検討(Clin Cancer Res 2003)、肝線維化におけるTGF-αや(Gut 2006)、コラーゲン特異的分子シャペロンHSP47の意義と治療への応用(J Gene Med 2003)、MSCによる肝再生(Blood 2005)について解析している。また、肝・膵線維化に対する新たな治療として、Vitamin A含有リポソームで包含したHSP47 siRNAを用いて星細胞にアポトーシスを誘導する方法を開発し、注目を浴びている(Nat Biotechnol 2008, Gut 2013)。そしてNASHからの肝発癌における酸化的DNA傷害の意義の一端を明らかにし(J Gastroenterol. 2013)、さらに修復遺伝子の個体差が肝発癌へ及ぼす影響や、肝発癌に関わる損傷遺伝子群の同定など研究を進めている。またNASH患者における鉄吸収の機序を明らかとした(Hepatology 2015)。




  血液病学:
  白血病における癌遺伝子、癌抑制遺伝子の解析など、分子生物学的診断アプローチを積極的に行うと共に、治療では、白血病、悪性リンパ腫や再生不良性貧血に対する幹細胞移植(同種、ミニ移植、自家移植)はもちろん、最新の治療を取り入れている。研究では、最近バーキットリンパ腫に対する新規治療法を開発した(Blood Cancer J, 2013)。一方、骨髄異形成症候群における鉄過剰によって惹起される酸化ストレスが白血化に関連していることを見出し (Int J Hematol 2012)、さらに増加した酸化ストレスの改善にdeferasiroxが有効であることも明らかにした (Free Radic Biol Med 2012)。ヒトStroma細胞株(Blood 2003)およびヒト間葉系幹細胞株(Exp Hematol 2003)の樹立に成功し、それを用いた臍帯血(Stem Cells 2007)および末梢血幹細胞の増幅(Blood 2004、Exp Hematol 2006)、赤芽球の大量産生系の確立と鉄取り込み制御機構の解析(Exp Hematol 2007)、ヒトStroma細胞との接着による急性骨髄性白血病(Nat Med 2003)および骨髄腫(Mol Cancer Ther 2003)の薬剤耐性誘導機序とその克服、Wntシグナルを用いたCXCR4誘導による新規臍帯血移植法の開発(Exp Hematol 2008)、Hedgehogシグナルを分子標的にした白血病幹細胞の撲滅法の開発(Cancer Science 2009)などを行っている。さらに、StromaのHHIPが白血病や骨髄異形成症候群の病態に関連していることを明らかにしている(Blood Cancer J 2012)。鉄代謝の研究においては、鉄吸収動態を解析する新たな方法を開発した(Int J Hematol 2011)。また、経口鉄剤治療が無効な鉄欠乏性貧血の原因を明らかにした(Int J Hematol 2011)。一方、慢性DICに対する治療も積極的に行っている(Blood Coagul Fibrinosis 2012)。さらに、分子標的薬の副作用発現機序の解析にも取り組んでいる(Int Cancer Conf J 2012)。そして骨髄移植患者におけるGVHDの機序と治療に関する研究も継続して進めている。(Blood 2011、Intern Med 2012、IJH 2014、Haematologica 2014)。 



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