臨床研修・臨床実習

Clinical Practice

05専攻医研修のあと 〜 留学実績・留学体験記

専攻医研修のあと 〜 留学実績・留学体験記

専攻医研修のあと、専門医として臨床・研究・教育に従事し、北海道の医療を支える存在になります。
その中で、一つの道として、大学院を卒業したのちに海外留学を目指すことも可能です。

平成21年4月から現時点(平成30年12月)までに14人の海外留学生を輩出しています。
留学先はハーバード大学、ベイラー大学などいずれも一流の大学・病院です。

留学を経験された先生のおはなしです。

村瀬 和幸 先生

2011年8月より2014年3月までBostonにあるDana-Farber Cancer Institute (Harvard Medical School) のMedical Oncology部門に研究留学させて頂きました。こちらのDFCI は加藤教授の元で留学に出られました4内の先輩であられます高田弘一先生、河野豊先生に続きまして、私で3年連続の所属先となりました。先輩二人が築き上げてくださった流れを引き継ぐことが出来ました事は、私にとって大変光栄なことであり、非常に有り難いことでした。またお二方にはボストンでの生活のセットアップから、実験手技、メインテーマに至るまで公私にわたり大変お世話になり、そのおかげを持ちまして、非常にスムーズに留学生活に馴染むことが出来ました。お二人には本当に感謝いたしております。

DFCIにおきまして私は河野豊先生の後を継ぎましてDr. Jerome Ritzのラボに所属致しました。Dr. Ritzは造血器腫瘍部門のchiefであり、移植免疫の権威であります。私は札医大所属時に骨髄移植に携わっておりましたので、その移植のメッカであるDFCIで、移植後患者検体を使用して実験出来ることは大変な幸せでした。私の研究テーマは造血幹細胞移植後におけるT細胞の再構成、特にgraft versus host disease (GVHD)を発症した場合のアポトーシスの機序に関わる因子の同定であります。BH3 profilingというFunctional assayを行い、BimやBcl2といったアポトーシス関連タンパクの影響を認めることが出来ました。

私がアメリカでの研究生活で良かったと思う点は二つあります。一点目は病院からのcallがないこと。日本で実験している時は、マウスの腹を開いた直後やTime dependentな実験の最中に呼び出されていたので、大変なストレスを感じておりました。しかしアメリカでは当然それがございませんので、朝から晩まで本当に好きなだけ実験出来たのが非常に楽しかったです。もう一点は最新の機械や手技に携われることです。私は幸運な事にDFCIが全世界で初めて導入したCyTOF2という機械(rare metalを使用したMass cytometry)を使用することが出来ました。この機械は従来のFACSの次世代機であり、rare metalを使用しているので、通常の蛍光色素における自家蛍光やover lapを一切気にする必要がなく、さらに1度に36種類の抗体を使用することができる物でありました。こちらは現在非常に注目されている実験手技であり、急速に広まってきております。残念ながら日本でその経験を活かすことはまだ出来ませんが、非常にexcitingな経験でした。また2014年2月より4内の後輩であります平川昌弘先生が同ラボにてCyTOF2を使用した実験を引き継いでくれており、その結果が非常に楽しみであります。

このような非常に貴重な留学生活をご許可頂きました加藤教授、教室員が少ないにも関わらず、留学をサポートして下さいました教室員の皆様、そして多方面に渡りご助力頂きました同門の先生方に厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
村瀬 菊地
Dana-Farber Cancer Instituteにて(村瀬・菊地)
吉田 真誠 先生
吉田

札幌医科大学腫瘍内科学講座 助教

吉田 真誠

 

はじめに

早いもので、日本に帰国して約3ヶ月経ちました。留学期間は臨床業務から完全に離れておりましたので、現在、思い出しながら精進しているところであります。私は大学院卒業後、1年間の地域派遣業務を経て、2014年4月〜2016年3月までの2年間、ボストンのマサチューセッツ総合病院(MGH)消化器内科のラボに研究留学をさせて頂きました。ボストンは御存知の通りアメリカの中で最も歴史の古い街の一つで、昔ながらの建物が私達を魅了します。

 

研究室について

MGHは全米病院ランキングで1位に選ばれるほど、有名な病院でありラボも数多くあります。その中の一つである消化器内科のメインのラボは、ビルの7Fと8Fの2階分を占めます。MGHの消化器内科医は基本がん診断はしますが、抗がん剤などの治療をしませんので、ラボのメインテーマはIBDです。しかし、その中で私のBossであるDaniel C.Chungは、内視鏡検査による大腸癌診断やLynch症候群などの家族性腫瘍を専門としています。研究面では大腸癌における低酸素誘導因子(HIF)を専門としており、これまで数多くの論文を発表されてきました。私の研究のテーマはHIF-1αの新規標的遺伝子として以前発表したANKRD37という遺伝子の機能解析でした。Cell lineやノックアウトマウスを扱ったりと基礎的な手技を必要とし、非常に勉強になりました。アメリカでは時間があるので様々なことを調べ、時にはYoutubeも使いながら実験手技を勉強していきました。分からないことがあれば、他国出身の同僚や他のラボのアメリカ人に質問しながら進めていきましたが、日本にいる時に比べ時間が大幅にかかります。しかしその反面、問題が解決した時や、その後の実験で良い結果が出た時は非常に嬉しかったです。また週に1回、Bossとミーティングがあるのですが、figure作成や、ましてや英語で説明する練習など大変だったですが、非常に充実しておりました。

 

交流について

毎週, 消化器科内の他のラボの研究内容を聞くことができるセミナーが開かれています.ちょうど大学行われているprogressみたいなものです.

その他, ハーバード関連施設や全米から高名なPIがMGHに来て, セミナーが開かれます.もちろん英語なので完全には理解できないところはありますが, 非常に勉強になります. 

医学以外にもマサチューセッツ工科大学(MIT)のPhDを中心に ボストン日本人研究者交流会(BJRF)が毎月, 開かれております.印象に残っているのは3Dプリンタやリニアモーターカーの話題で, 自衛隊の方々もボストンに留学しているため, 普段, なかなか交流のない自衛隊の活動などの話しも聞けました.

年に2回ほどMGH研究者の会が開かれており, 家族など含め100人弱の方々が参加していますので,日本全国の方々と仲良くなれます.

 

生活について

私は家族と一緒に渡米しました. 子供たちは現地の学校に通い,毎日nativeの英語を聞いているためか, 全く文法もわからないのに,みるみる私の英語力を追い越して行き, アメリカ人の家に遊びに行くほどになりました.食事の面は日本で買うよりはやや高くつきますが,ほぼ何でも手に入り, なんとか暮らせていけます.私の住んでおりましたアパートには日本人が多く,日本にいる時より結束力が高まり,助けあって生活していますので,家族ともどもあまり大きなストレスなどなく, 2年間過ごせました.

 

この2年間の経験を,最大限今後の研究活動に活かし, 頑張りたいと思います.最後に,このような大変貴重な研究留学の機会を与えて下さった加藤教授はじめ, 教室の皆様に感謝申し上げます.

田中 信悟 先生

私は2014年4月から2016年3月までアメリカ,ヒューストンにあるベイラー医科大学消化器内科に研究留学させて頂きました.この研究室は4内の先輩である永島裕之先生が所属していた研究室であり,永島先生には受け入れの交渉や手続きから始まり,生活のセットアップ,実験手技,研究テーマに至るまで公私にわたり大変お世話になり本当に感謝しております.

 ヒューストンはアメリカ南部にありメキシコと国境を接するテキサス州の南東部に位置する全米第4の都市です.石油化学工業やNASAに代表される航空宇宙産業で有名な都市ですが,Medical centerとしては世界最大の面積を誇るTexas Medical Center(TMC)が古くから設置され,その中心的役割を担うベイラー医科大学にて研究を行ってきました.

 私の研究室はベイラー医科大学の関連病院であるMichael E. DeBakey Veterans Affairs Medical Center(退役軍人病院)内にあり,いつも病院玄関から研究室まで退役軍人患者で溢れかえる中を歩いていくという生活でした.研究室の主宰者はDr. Grahamという先生で,ピロリ菌の診断検査である尿素呼気試験の開発等数多くの業績があり,これまでに100人以上の研究者を受け入れてきたようです.非常に親日家で年に2-3回は日本に来ているようで,日本の歴史や文化など私よりはるかに詳しいです.そのDr. Grahamのもと,私はピロリ菌感染により胃粘膜内で発現変動するオートファジー関連遺伝子や新規サイトカイン遺伝子をテーマとして研究を行ってきました.TMC内にはDigestive Disease Center(TMC-DDC)という基礎研究,臨床研究,疫学研究の円滑な連携を図ることを目的とした組織があり,毎週行われるセミナーや他の研究室の先生とのdiscussionなど,自分のテーマはもちろんのこと,臨床や疫学的なことも含め数多くの勉強をすることができました.このような恵まれた環境で24時間365日研究に没頭できたことを,帰国して改めて良かったと思っております.

 北海道にしか住んだことのない私や私の家族にとって,4月から10月まで毎日30℃以上という北海道とは全く違う気候の土地に住み,言葉も文化も違うアメリカ人やメキシコ人の中で生活したこと,また日本各地から様々な目的で来ている日本人の方たちと短期間ではありますが交流できたことは大変貴重な経験でした.大雨等の自然災害やアパート内での銃による殺人事件等の恐ろしいこともありましたが,無事帰国できた今となりましては思い出話しとなりつつあります.

 このような貴重な留学経験を与えて頂きました加藤教授をはじめ教室員の皆様,そして多方面に渡り御協力を頂きました同門の先生方には厚く御礼申し上げます.本当にありがとうございました.

Dr TANAKA

平川 昌宏 先生

2014年2月から2016年3月までボストンにあるDana-Farber Cancer Institute (Harvard Medical School)のMedical Oncology Department Dr. Ritz labへ留学させて頂きました。加藤教授の元、当科からDr. Ritz labへの留学者は、河野豊先生、村瀬和幸先生に続き、私で3代目であり、何と2016年3月からは4代目として後輩の神原先生が私と入れ替わりで、現在も留学中でございます。私の研究のテーマは、前任の村瀬先生の仕事を更に発展させ、IL-2の末梢血リンパ球に対する影響や、実際にLow dose IL-2 therapyを受けた慢性GVHD患者さんの末梢血リンパ球のサブセットの経時的な変化や、発現蛋白の変化などを、Mass cytometry(CyTOF)を用いて解析しておりました。CyTOFを用いることで、同時に40を超えるマーカーの発現をSingle cell レベルで解析することが可能となり、メジャーなCD4Treg, CD4Tcon, CD8 T cell, B cell, NK cellなどのリンパ球を更に細かいサブセットに分け、且つそれらの細かいサブセットにおける、シグナル蛋白の発現や、表面マーカー、アポトーシス関連蛋白の発現がIL-2投与によってどのように変化するのかを、一度に詳細に解析することができ、非常に有用な情報をたくさん得ることができました。残念ながら、北海道にはまだCyTOFはございませんが、アメリカで得た知識を少しでも活かせるよう、これからも頑張っていく所存です。ボストンでの生活は、家族と過ごす時間もたくさんあり、本当に充実した2年間でした。また、同時期に、4内の同門である菊地尚平先生がDFCIの同じフロアにある、Anderson Labへ、吉田真誠先生も同じボストンのMGHに留学しておりましたので、実験のみならず私生活の相談など、家族ぐるみでお付き合いさせていただきましたので、本当に良い思い出となっております。このような非常に貴重な留学生活の機会を与えて下さいました、加藤教授をはじめ、教室員の皆さま、そして様々な激励などを頂きました同門の先生方に厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。


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