呼吸調節・換気障害
肺胞低換気症候群
- 要約
- 肺胞換気量が減少し、炭酸ガスの排出が少なくなる結果、動脈血中の炭酸ガス分圧が高くなった状態。正常な肺であるにもかかわらず、延髄に存在する呼吸中枢からの呼吸ドライブが少ないことが原因と考えられている。
- 症状
- 呼吸困難(睡眠中にも出現する場合がある)、進行すると心不全による手足のむくみが生じる場合がある
- 診断
- 問診(呼吸困難、眠気)、胸部X線、胸部CT (いずれも正常であることが多い)、動脈血中の炭酸ガス分圧測定
- 治療
- 薬剤による呼吸刺激、酸素吸入、在宅人工呼吸、横隔膜ペーシング
睡眠時無呼吸症候群
- 要約
- 睡眠中に断続的に無呼吸を繰り返し、その結果、日中傾眠などの症状を呈する疾患の総称。睡眠1時間当たりの無呼吸低呼吸指数(AHI:睡眠1時間の無呼吸+低呼吸の発現頻度)が5以上のもの。
- 症状
- 肥満、いびき、日中の傾眠、他人による呼吸停止の確認
- 診断
- 問診(日中の眠気の程度(Epworthの眠気評価を用いる)、いびき、耳鼻科的疾患の合併、生活習慣)、ポリソムノグラフィー(睡眠中の脳波、筋電図、眼球の動き等を測定する)
- 治療
- 生活習慣の改善(減量、禁酒、禁煙、睡眠薬服薬の減量など)、経鼻的持続陽圧呼吸法(nCPAP)、口腔内装具、外科的手術、薬物療法
過換気症候群
- 要約
- 身体には異常がないのに緊張や不安などのために呼吸のペースが乱れ、短時間に呼吸をしすぎてしまう状態。過度に呼吸することによって、体内の炭酸ガスが過度に体外へ排出され、呼吸性アルカローシスを起こし、その結果、胸が圧迫されるような感じになったり、けいれんやしびれが起こったり、意識がもうろうとなったりする。
- 症状
- 呼吸困難、窒息感、胸部不快、神経症状(四肢マヒ、顔面しびれなど)、痙攣や不安感
- 診断
- 意識的に過剰呼吸をさせることで症状を再現できる。血液中の乳酸、ピルビン酸濃度は増加し、カルシウムイオン濃度は低下する。血液ガス分析で炭酸ガス分圧の著明低下とpHの上昇を来す。
- 治療
- ゆっくり呼吸をし、息を10~20秒止めることを反復する。効かない場合は紙袋による再呼吸法を行う。改善されない場合は薬物療 法を行う。心理的な問題を解決することが最も重要で、薬物治療は補助として用いる。頭痛や倦怠感、息切れ、ため息などが長く続く場合は必要に応じて薬物を使用する。
最終更新日:2014年04月04日
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