現在位置の階層

  1. ホーム
  2. 呼吸器疾患について
  3. 間質性肺疾患

間質性肺疾患

特発性間質性肺炎

  • 要約
    • 間質性肺炎とは、肺の間質と呼ばれる部分(肺胞の壁)に起きた炎症の結果、肺の正常構造が壊れ線維化を起こす疾患
    • 特発性間質性肺炎は、原因が明らかでない間質性肺炎であり、厚生労働省の定める特定疾患治療研究事業対象疾患(特定疾患)に指定
    • 慢性進行型のタイプが多くを占めるが、中には治療が有効なタイプがある
  • 症状
    • 痰を伴わない咳、労作時の息切れ、発熱
  • 診断
    • 問診(喫煙、薬物服用、職業、粉塵吸入)、身体所見、胸部X線、胸部CT、呼吸機能検査、血液検査(SP-A, SP-D, KL-6等)、気管支肺胞洗浄、病理学的検査(外科的肺生検)
    • 明らかな誘因による間質性肺炎の除外
  • 治療
    • 副腎皮質ステロイド薬の超大量投与は慢性型の急性増悪や急性型の場合に用いるが有効率は低い
    • 線維化に至ることが少ないタイプでは副腎皮質ステロイド薬による治療が有効
    • 慢性型では少量の副腎皮質ステロイド薬と免疫抑制薬の併用
    • 蜂巣肺を特徴とする特発性肺線維症では抗線維化薬であるピルフェニドンによる進行抑制
    • 呼吸困難が強い場合は在宅酸素療法
    • 適応があれば肺移植

膠原病肺

  • 要約
    • 全身性疾患である膠原病に合併する肺病変の総称
    • 肺病変には、間質性肺炎、胸膜炎、肺高血圧症、細気管支炎などのタイプがある
    • 膠原病の診断の前に肺病変が出現することがある
  • 症状
    • 上記肺病変のタイプにより異なるため各項を参照
  • 診断
    • 問診(関節痛、筋肉痛、消化器症状など各膠原病の症状)、関節、皮膚などの身体所見、骨X線などの画像検査、自己抗体などの血液検査、病理学的検査による膠原病の診断
    • 肺病変の診断は病変のタイプにより異なる
  • 治療
    • 膠原病専門医との連携による治療方針の決定
    • 副腎皮質ステロイド薬および免疫抑制薬の投与

薬剤性肺炎

  • 要約
    • 薬剤により起こる肺の疾患のうち間質性肺炎の形を呈するもの
    • 発症の機構として、1) 薬剤による肺細胞の直接障害、2) 薬剤アレルギー、の2つがある
    • 全ての薬剤で起こり得るが、原因薬剤として多いのは抗悪性腫瘍薬(抗がん剤や分子標的治療薬)、抗リウマチ薬、免疫抑制薬、生物学的製剤、抗菌薬(抗生物質)などがあり、市販薬や健康食品でも起こる
    • 薬剤の中止により改善することがある
  • 症状
    • 痰を伴わない咳、労作時の息切れ、発熱
  • 診断
    • 問診(原因となる薬剤の使用の有無)、胸部X線、胸部CT、血液検査(SP-A、SP-D、KL-6、薬剤リンパ球刺激試験など)、気管支肺胞洗浄、病理学的検査
  • 治療
    • 原因薬剤の中止、副腎皮質ステロイド薬の投与

放射線肺炎

  • 要約
    • 肺、胸壁、縦隔などへの放射線照射治療によりおこる肺間質の炎症と線維化を呈する疾患
    • 肺癌、乳癌、食道癌、縦隔腫瘍、脊椎腫瘍(骨転移を含む)などに対する胸郭への放射線治療後に起こりやすい
  • 症状
    • 発熱、痰を伴わない咳、労作時の息切れ
  • 診断
    • 問診(放射線治療の有無と照射範囲)、胸部X線、胸部CT、血液検査(SP-A、SP-D、KL-6による早期病変の検出)
  • 治療
    • 副腎皮質ステロイド薬の投与
    • 軽症であれば経過観察

肺ランゲルハンス細胞組織球症

  • 要約
    • 以前は好酸球性肉芽腫症やヒルチオサイトーシスXと呼ばれていた患者数が少ない疾患
    • ランゲルハンス細胞と呼ばれる細胞が増殖することで、肺内に多数の嚢胞(風船状の空気の袋)が形成される
    • 若年成人に多く、喫煙との関係が指摘されている
  • 症状
    • 痰を伴わない咳、労作時の息切れ、気胸に伴う胸痛、発熱、体重減少
  • 診断
    • 問診(喫煙歴)、胸部X線、胸部CT、経気管支肺生検、外科的肺生検
  • 治療
    • 禁煙
    • 進行例では在宅酸素療法、肺移植

肺胞蛋白症

  • 要約
    • 肺胞腔がPAS染色陽性で脂質と蛋白質からなる無細胞性の粒状物質によって充満される疾患。GM-CSF抗体陽性の自己免疫性肺胞蛋白症が多いが、肺感染症、免疫異常をもたらす血球の悪性腫瘍やHIV感染症、化学物質や無機化合物の吸入暴露などにより二次的に発生するニ次性肺胞蛋白症がある。
  • 症状
    • 労作時息切れ(無症状の場合もある)
  • 診断
    • 胸部X線、胸部CT、血液検査(SP-A、SP-D、KL-6、CEAなど)、気管支肺胞洗浄、病理学的検査
  • 治療
    • 自然軽快例があるので経過観察。抗菌薬、ステロイドは無効である。急速進行例や呼吸状態が待機不可能な場合には肺洗浄。

リンパ脈管筋腫症

  • 要約
    • 妊娠可能年齢の女性に好発。肺内に平滑筋細胞の過誤腫性増殖を認め、末梢気腔の破壊によりびまん性の嚢胞を生じる。経過が緩慢であるのも特徴の一つであるが、経過とともに嚢胞は増加し閉塞性換気障害が出現する。2種類の遺伝子(TSC1,TSC2)の異常により生じる。
  • 症状
    • 呼吸困難、反復性の気胸、乳び
  • 診断
    • 問診(反復性の気胸)、胸部X線、胸部CT、腹部CT、病理学的検査
  • 治療
    • プロゲステロン製剤、エストロゲン受容体拮抗薬、卵巣摘出術が行われてきたが、無効のことが多い。肺移植の適応となる。シロリムスが有効である。

最終更新日:2014年04月04日



メニュー


サイト・マップ