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胸膜・縦隔疾患

胸膜炎

  • 要約
    • 肺を覆う胸膜に炎症が起こり、肺のまわりの胸膜腔に液体(胸水)が貯留する病態。肺の原因疾患として感染症(肺炎、結核、真菌、寄生虫)、悪性腫瘍(肺癌、悪性中皮腫)、膠原病(慢性関節リウマチ、SLE)などが挙げられる。肺以外に膵臓疾患なども胸膜炎を生じうる。炎症を伴わないが胸水が貯留する原因としては心疾患(心不全)や肝硬変、低蛋白状態などが挙げられる。
  • 症状
    • 咳、息切れ、胸痛(片側性が多い)、呼吸困難、発熱
  • 診断
    • 聴・打診、胸部X線、胸部CT、胸水検査(細菌、結核菌、細胞診、蛋白質・糖・ADA(アデノシンデアミナーゼ)・腫瘍マーカーの測定)、経皮的胸膜生検や胸腔鏡下胸膜生検での組織診断
  • 治療
    • 胸水の穿刺排液および胸腔ドレナージによる症状の軽減、原因疾患の治療、胸膜癒着術

気胸

  • 要約
    • 肺を覆っている胸膜の損傷により胸腔内に空気が漏れて肺を圧迫する病態。20歳前後の男性に好発する自然気胸(胸膜直下のブレブの破裂)が代表的であるが、肋骨骨折などに伴う外傷性気胸や医療行為に伴う医原性気胸などがある。
  • 症状
    • 胸痛(片側性のことが多い)、息切れ、呼吸困難、咳
  • 診断
    • 聴・打診、胸部X線、胸部CT
  • 治療
    • 気胸が軽症であれば安静、中等症以上や進行例には穿刺や胸腔ドレナージによる脱気、外科治療(胸腔鏡下ブレブ焼灼術)、胸膜癒着術、気管支鏡的気管支充填術

胸膜中皮腫

  • 要約
    • 胸膜の中皮細胞または結合織から発生した腫瘍で、職業的に石綿(アスベスト)曝露歴のある人に発症することが多い
  • 症状
    • 胸痛、胸部圧迫感、呼吸困難
  • 診断
    • 問診(アスベスト曝露歴の有無)、胸部X線、胸部CT、胸水検査(細胞診、ヒアルロン酸測定)、胸膜生検(経皮的・胸腔鏡下・開胸)による組織診断
  • 治療
    • 化学療法、放射線療法、外科手術(胸膜肺切除術)

縦隔腫瘍

  • 要約
    • 縦隔内組織から発生した腫瘍の総称。比較的稀な腫瘍であるが、その中でも胸腺腫が最も多い。好発部位があり、前縦隔は胸腺関連腫瘍、縦隔内甲状腺腫が多く、中縦隔は気管支原性嚢腫やリンパ性腫瘍が多い。後縦隔は神経原性腫瘍が好発する。
  • 症状
    • 無症状のことが多いが、周辺臓器への浸潤や圧迫があればそれぞれ特徴的な症状を呈する。例えば、上大静脈に浸潤し血流の通過障害 を伴えば、顔面と上肢の浮腫を引き起こす。また腫瘍関連症候群として、胸腺腫は約30%に重症筋無力症を合併し、眼瞼下垂や筋肉の易疲労などの症状を呈する。
  • 診断
    • 胸部X線、胸部CT、経皮針生検、胸腔鏡下生検
  • 治療
    • 良性腫瘍の場合は腫瘍摘出術が原則であるが、CTでの経過観察で良い場合もある。悪性腫瘍の場合も腫瘍摘出術を行なうが、摘出が困難であれば化学療法や放射線療法を行なう。

最終更新日:2014年04月04日



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