診療内容

消化管(食道、胃、小腸、大腸)疾患

 消化管グループは食道・胃・小腸・大腸疾患の診療と研究に携わっています。消化管疾患は炎症、腫瘍、機能性疾患と多岐に渡り、当科で症例数が多いのは炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎とクローン病)、胃癌、大腸癌ですが、大学病院ですのでまれな消化器疾患を診療する機会も多く、例えばGIST(消化管間葉系腫瘍)、アカラジア、消化管悪性リンパ腫、消化管ポリポーシス、非特異性多発性小腸潰瘍等、まれで難治性の疾患の診療にも取り組んでいます。また特記すべき点として、家族性大腸ポリポーシス(FAP)やリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌、HNPCC)の遺伝カウンセリングと遺伝子診断を、臨床遺伝センターと連携して行っています。

診療・研究テーマ

  • 食道・胃・大腸癌の内視鏡治療(ESD/EMR)
  • 進行食道癌の術前化学療法、根治的化学放射線療法
  • 進行胃・大腸癌の化学療法、バイオマーカーの探求
  • 難治性潰瘍性大腸炎・クローン病に対するステロイドフリー療法(アザチオプリン、TNFa阻害薬、タクロリムス、白血球除去療法)
  • 潰瘍性大腸炎の活動性指標の探索(便潜血、血清マーカー)
  • 小腸疾患の診断と治療
  • リンチ症候群の遺伝子診断
  • 消化管ポリポーシス(家族性大腸腺腫症、若年性ポリポーシス、過形成ポリポーシス、Cronkhite-Canada症候群)

 

肝疾患

 肝機能障害を来たす患者さんすべてが診療の対象です。ウイルス性肝炎、自己免疫性肝疾患、脂肪肝などの慢性肝炎、肝硬変を呈している患者さんや、肝がんの患者さんが診療の中心です。現在、B型肝炎、C型肝炎は非常に有効な薬剤が登場しています。とくにC型肝炎は、ほとんどの患者さんでウイルスを排除することが可能になっています。当科でも、積極的に抗ウイルス療法を行い、多くの患者さんでウイルスの排除に成功しています。肝硬変になった場合、合併症として食道や胃に静脈瘤と呼ばれる血管のこぶを作り、時には、こぶが破れて出血することがあります。当科の患者さんには定期的な内視鏡の検査をお勧めしており、そこで治療が必要な静脈瘤があれば、内視鏡的治療(硬化療法や結紮術)、あるいは胃の静脈瘤の場合には、血管造影を用いた治療(バルーン下逆行性経静脈的塞栓術)を積極的に行い、きれいに治すことを心がけています。肝がんの患者さんに対しては、ラジオ波焼灼療法などの局所治療、肝動脈塞栓療法などの血管造影を用いた治療、さらに分子標的薬といった新規の抗がん剤を用いた治療など、外科や放射線科とも連携し、患者さんひとりひとりに最適な治療選択をするよう日々心がけて診療を行っています。

胆嚢・膵臓疾患

 すべての胆道(胆管・胆のう)疾患・膵疾患を対象に最新の検査・治療を行っています。良性疾患としては胆石症、胆嚢炎、急性膵炎など、時に重症化すると全身管理のもと治療を要するものがありますが、他科とも連携を図りながら内視鏡的胆道ドレナージ、経皮経肝胆嚢ドレナージなど適切なタイミングで処置を行い、最善の治療をチームで行っています。

 慢性膵炎、自己免疫性膵炎、難病指定されている原発性硬化性胆管炎など、長年にわたり患者さんの生活に寄り添った治療が必要な疾患も担当します。最新の知識ときめ細かな外来診療を通して患者さんと二人三脚で治療にあたっています。

 また、膵がん・胆管がん・胆のうがんは難治がんの代表とも言われています。これら悪性腫瘍や膵嚢胞性疾患、膵内分泌腫瘍などの診断のため、外来では各種画像検査に加え、超音波内視鏡検査での精密検査を行っています。特に悪性腫瘍に対しては早期治療をめざした正確な診断体系の確立をめざし、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診(EUS-FNA)を用いて確定診断を行い、治療に関しては外科や放射線科と密な連携をとりながら最適な治療法を選択し、ときに手術適応のない症例に対しては、抗癌剤を用いた化学療法はもちろん、各種インターベンション治療(内視鏡的胆道ステント留置術、超音波内視鏡下胆道ドレナージ術、内視鏡的十二指腸ステント留置術など)を駆使し、患者さんのQOLを重視した治療も行っています。

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