case3:スポーツと理学療法

 スポーツは、高校や大学におけるバスケットボールなどのクラブ活動から、オリンピック競技など高い身体能力が求められるもの、そして高齢者の方たちの健康増進のための運動まで、社会生活の中に広く浸透しています。しかしながら、運動種目や競技の特性、その人自身の体力などから、ケガをしてしまう場合が少なくありません。

 スポーツ活動中に身体に急激な力が加わって起こるケガを「スポーツ外傷」、スポーツ動作の繰り返しで身体の特定部位が酷使されることによって起こるケガを「スポーツ障がい」と呼びます。スポーツ活動を継続的に行うためには、外傷・障がいを発生させないための「予防」と、外傷・障がいからスポーツ活動への復帰を目指す「リハビリテーション」を行う必要があります。理学療法は、そのような予防やリハビリテーションを専門的な知識・技術を用いて行う役割を担っています。

 予防に向けた理学療法の取り組みの一つとして、スポーツ現場におけるメディカルチェックがあります。スポーツ現場におけるメディカルチェック(写真1)では、身体の固さやバランスの悪さなど、ケガをし易い身体機能を有している選手を見つけます。そして、ケガをし易い身体機能を改善するためのコンディショニング指導を行うことで、外傷・障がいを未然に防ぐことにつながります。

 スポーツ分野でのリハビリテーションには、医療機関におけるメディカル・リハビリテーションと、スポーツ現場でのアスレティック・リハビリテーションがあります。理学療法は、外傷・障がいによって引き起こされた身体機能の異常を評価し、温熱や電気刺激を用いた物理療法や筋力トレーニングなどの運動療法(写真2)を行うことで、早期にスポーツ活動への復帰ができるようにリハビリテーションを行います。さらに、外傷・障がいの再発予防を目的に、外傷・障がいに至る原因となった身体機能やスポーツ動作、例えば投球動作によって生じる野球肘の関節の状態、あるいは走持久力が低い場合の呼吸循環機能などを評価し、その原因を取り除くためのリハビリテーションも行います。

 札幌医科大学では、スピードスケートやスキージャンプなど北海道で盛んな冬期スポーツにおけるトップアスリートの医学的サポートを行いながら、スポーツ医学活動の拡大・発展を目的としたスポーツ医学センターが開設されています。センターでは、整形外科や内科、産婦人科など多くの職域が参加し、スポーツ選手一人一人に対する多角的かつきめ細かい医学サポートを提供しています。その中でも理学療法士の参加は、スポーツ選手の運動能力の向上や障がい予防に効果をもたらすものと期待されています。

(写真1)メディカルチェックの例:肩関節の可動域(柔軟性・硬さ)の評価 (写真2)リハビリテーションの例:肩関節の筋力トレーニング