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良性疾患

子宮筋腫に対する治療

婦人科の手術の対象となる病気で最も多いのが子宮筋腫です。子宮筋腫は40才から45才の女性に最も多く見られ、この年代のだいたい4人に1人は大なり小なり子宮筋腫を持っています。

子宮筋腫の症状

  • 生理が異常に多い、その結果貧血症となる
  • 生理痛が激しくなる、薬を服用しても効かなくなる
  • お腹にしこりを触れるようになる
  • 小便が近くなる、便秘がひどくなる

などです。発生原因は全く分かっていませんが、全て良性の腫瘍で、癌化する心配はほとんどありません。

子宮筋腫の症状

子宮筋腫の診断までの流れ

子宮筋腫は外来の問診から内診・超音波検査でおおよその診断が行われ、症状や手術の方法などの目的でMRIや子宮鏡検査が行われます。

子宮筋腫の診断までの流れ図

子宮筋腫の治療方法

手術は筋腫のみを摘出する筋腫核出術と子宮を摘出する単純子宮全摘術があります。どちらの手術を行うかについては筋腫の状態、位置、数、これからまだ妊娠を希望されるかどうか、どうしても子宮を残したいと言う希望があるなどを考慮して決定されます。筋腫の核出には別の項で述べる開腹あるいは腹腔鏡を用いた手術があります。また、単純子宮全摘術にも腟式、腹式(開腹)そして腹腔鏡があります。どの術式を行うかは筋腫の大きさや癒着の有無などを考慮して決定されます。札幌医大病院婦人科では開腹しないで行う腟式子宮全摘術にかんして60年以上の経験と実績があり海外からも高い評価を受けております。

子宮筋腫の治療方法

内視鏡手術について

当院では婦人科良性疾患に対し、積極的に内視鏡手術をすすめ、年間120例ほどの手術をこなしています。内視鏡手術といっても大きく2つに分けられ、一つは腹腔鏡手術ともう一つは子宮鏡手術です。

腹腔鏡手術は近年その適応疾患も広がり、子宮筋腫や卵巣腫瘍などのほとんどの良性疾患が対象となります。子宮筋腫に対しては子宮を全摘する腹腔鏡下子宮全摘術(TLH)または腹腔鏡アシスト腟式子宮全摘術(LAVH)や、筋腫のみを摘出し子宮を温存する腹腔鏡アシスト子宮筋腫核出術(LAM)を行います。筋腫の大きさ、数、癒着の有無によっては開腹術になる場合もありますが、希望される方には積極的に行います。また、子宮内膜症や卵巣嚢腫も腹腔鏡手術の適応となります。腹腔鏡で腹腔内を観察しながら子宮内膜症病巣を除去する腹腔鏡下子宮内膜症病巣焼灼術や腹腔鏡を用いて卵巣腫瘍(のう腫)を摘出する腹腔鏡下付属器腫瘍摘出術などです。

子宮鏡手術は子宮鏡を子宮頸部から挿入して、子宮鏡の先から出た電気メスを用いて子宮の中の腫瘍を摘出する手術です。対象疾患は粘膜下筋腫といって子宮内腔に突出した筋腫や子宮内膜ポリープです。この手術の場合、粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープはお腹を切らずに筋腫のみを摘出することが出来ます。

子宮下垂・子宮脱について

子宮脱・子宮下垂の分類図

<子宮脱・子宮下垂の分類>

子宮が元の位置より下がることを子宮下垂と言い、さらに下がって子宮口が腟(ちつ)から脱出することを子宮脱と言います。これは加齢や分娩そして重いものを持ち上げるなどの強い腹圧による負荷などによって子宮を支える組織が緩むことによって起こります。すでに子宮を摘出されている場合は腟脱と呼びます。下がってくるのは子宮や腟だけでなく隣接する膀胱や直腸も同時に下がってくることが一般で、それぞれ膀胱瘤直腸瘤と呼びます。膀胱瘤では排尿障害、直腸瘤では排便障害などの症状を引き起こします。治療は軽症であればリングを挿入することで改善しますが、リングがすぐ抜けてしまう場合は形成手術が必要です。手術は一般に腟式(お腹を切らず)に下がっている腟の粘膜を切除し緩んだ組織を縫い縮めます。入院期間は2週間程度が一般的です。退院してすぐに腹圧をかけるとまた下がってくることがあるので、1ヶ月くらいは安静が必要です。当院では重症な子宮脱・下垂に対してメッシュを用いて緩んだ靱帯を補強する手術 (TVM: tensionfree vaginal mesh) を積極的に取り入れ、良好な成績が得られております。また、脱の程度が重症な場合には腟そのものを閉じてしまう、腟閉鎖術を行うこともあります。いずれの手術も腟式に行うことが可能です。