札幌医科大学のレディースクリニック

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更年期・心身症外来

更年期に生じる様々な心身の不調、月経周期に伴う症状、婦人科の機能的な痛みや不快感などに心身医学的に取り組む外来です。
当科では現在、女性医師1人が担当しています。

外来診察予定
毎週金曜日 9:30~12:00
診療担当医
高橋 円

初めての患者さんは、予約優先のため待ち時間が非常に長くなることがあります。
また、新来を受診していただいた上で、後日予約日に診察になることもあります。

"心身医学の新しい診療指針"(日本心身医学会教育研修委員会編,1991年)において『心身症』の定義が決められています。
それをわかりやすく言い換えると,「身体の病気の中で,発症やその後の経過に心理社会的な要因が密接に関係しているものを心身症といいます。
ただし,神経症やうつ病などの病気は心身症とは呼びません」となります。
心理社会的な要因とは、几帳面、心配性といった性格や、仕事などを断ることができず引き受けてしまうといった行動パターン、身内の不幸や病気、経済的な問題などのストレスなどです。
こういった要因の影響が高じるとときには脳や神経の働きに影響を及ぼすことがわかってきました。
その結果、身体に様々な症状を来すことや、症状の改善を阻むことがあるのです。
また、身体的な不調が心の状態に影響を及ぼすこともあります。
このため心と身体の相互作用(心身相関)を考えながら治療する必要があります。

心身症発症機序
心身症発症機序

心身相関の例(A子さん 会社員)

希望の会社に就職し仕事に一生懸命取り組み、やりがいを感じていました。
また、周囲もきちんと仕事をしてくれるA子さんに期待と信頼を寄せ、より責任ある仕事が任されました。
期待に応えようとA子さんは努力し、同僚に変わって残業を引き受けることも。
そのような生活が普通になっていましたが、1年前から月経不順になったため婦人科を受診し、ホルモン治療を開始しました。
しかし、治療を中止すると再発してしまいよくなりません。
そこで心身症を疑い、心理社会的背景(性格や生育歴、家族構成など)や最近の生活スタイルなどを調べてみることになりました。
その結果以下のようなことが考えられたのです。

心身相関の例
心身相関の例

当外来では、婦人科領域の心身症を治療対象としており、婦人科症状(更年期障害、月経不順、月経困難症、月経前症候群、帯下、陰部痛など)が身体の治療だけでは改善しないという方に、症状の起こったときのことや、その後の経過(悪化しているのか、症状 が繰り返すのか、またそのときの状況など)を詳しく聞いていくことで、心理社会的な要因(性格、行動パターン、ストレスなど)が関わっている可能性がないか調べます。
(心身症の患者さんでは、一見すると心理的ストレスはないような、むしろ社会的には問題も起こさないように努力し、がんばっているという傾向があります。) その上で必要な心身医学的治療(心理療法、漢方療法、漢方以外の薬物療法など)を行います。

更年期障害

更年期は「閉経をはさむ前後5年」と定義されていますが、この時期には女性ホルモンの減少にと もなって自律神経失調症状や内分泌、免疫系の失調症状、心の不調などが起きてきます。
また、環境の変化や人間関係の変化が起こりやすい時期でもあるためス トレスを感じやすい時期とも言えます。
そのため画一的なホルモン補充療法では対処できないことが多いため、当外来では、ホルモン補充療法にこだわらず、漢 方療法、心理療法などを組み合わせて行っています。

月経前症候群

多くの女性が、月経周期に関連してさまざまな不調を経験していると言われています。
その中でも 月経前3~10日の間続く精神的あるいは身体の症状で、月経がくると改善するものを「月経前症候群」といいます。
症状はイライラ、のぼせ、おなかの張り、 下腹痛、腰痛、頭痛、むくみ、乳房痛などがあります。
規則正しい生活(十分な休息、バランスのよい食事、飲酒を避ける)や軽い運動、ピル、漢方薬、一部の 抗うつ薬などを使用します。
(月経前不快気分障害は抑うつ症状や感情不安定性、不安感などが強く日常生活を障害してしまうもので、精神科での治療をお勧め しています)

月経不順、月経困難症

月経不順や月経困難症は年齢や器質的疾患(画像検査や血液検査で見つかるような病気)に関連す るものも多いですが、これと言った原因が見つからないこともあります。
この場合機能的な原因であることも考えられ心身症に含められます。このため生活習慣 の改善や心理療法が有効なことがあります。

陰部痛、慢性骨盤疼痛

「痛みのために病院を受診して、診察や検査を受けても原因が見つからないのに症状は消えない。」
このような方も心身症の可能性があります。
痛みが慢性的に加わると、この経路に異常を来たし(下降性疼痛抑制系の障害)、本来ならば痛みを感じない 程度の刺激でも強い痛みとして感じるようになってしまいます。
またこの痛みによって日常生活が制限され大きなストレスになり悪循環が生じてしまうのです。

更年期とは?

卵巣からの女性ホルモン分泌が減少し、身体の状態が大きく変化する時期で、月経不順から完全に月経が止まり閉経に至る時期です。
具体的には閉経を挟んだ前後5年と定義されています。

更年期障害は治療が必要ですか?

女性の80%は何らかの症状を自覚しますが、症状がつらくて更年期障害として治療を希望されるのはそのうちの20%といわれています。

更年期障害の原因は?

原因としては、

  1. 卵巣機能の低下による女性ホルモンの減少
  2. 取り巻く環境や社会、文化的な要因
  3. 性格や心理要因

などがあげられます。
これらが複雑に絡み合って次のような症状を起こすと考えられます。女性ホルモンの欠乏のために、のぼせ、発汗、肩こり、不眠、倦怠感などの身体症状、いらいら、気分の落ち込みなどの精神症状と多彩な症状が現れます。

治療は?

のぼせや発汗に対してはホルモン補充療法が有効です。
しかし、持病などで行えない方もいますし、漢方療法、抗不安薬、抗うつ薬などを組み合わせて治療することもあります。
薬物療法やでは効果が得られず、心理的、社会的(環境)要因が症状に影響を及ぼす可能性が考えられる場合には心理療法や自律訓練法を行います。