札幌医科大学のレディースクリニック

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悪性疾患

子宮頸がんに対する治療

子宮頸がん進行期ごとの治療
子宮頸がん進行期ごとの治療

a.円錐切除術

円錐切除術はその名の通り子宮頸部を円錐状に切除します。がん病巣を切除しがんの広がりや深さを病理学的に調べるための手術です。手術は経腟式(開腹しない)に30分ほどで終了します。当院では通常、手術の前日に入院し、手術後数日で退院となっております。

b.単純子宮全摘術

単純子宮全摘術は子宮を摘出する基本的な手術です。月経のある方は基本的には卵巣は温存されます。子宮を摘出するには様々なアプローチがあり、当院では腟式子宮全摘術、腹式子宮全摘出、そして腹腔鏡を用いた腹腔鏡補助下腟式子宮全摘術(LAVH)の手術を行っております。「なるべくお腹に傷をつけない」というポリシーで行っております。

c.広汎子宮全摘術

広汎子宮全摘術はIb1期からIIb期の方に行われる手術で、その名の通り子宮を周辺の組織とともに広く摘出する手術で、骨盤リンパ節も同時に摘出します。手術は比較的安全に行われますが、手術後の合併症として排尿障害や下肢のリンパ浮腫があり、患者様のQOLを損なう原因となっておりました。当科ではこれらの手術後合併症を最小限にするために、手術前の病状の把握に努めて、骨盤神経温存術式リンパ管温存術式に積極的に取り組んでいます。

d.腟式広汎子宮頸部摘出術

従来、子宮頸がんの手術療法として0期(上皮内がん)あるいはIa1期に対しては子宮を温存する子宮頸部円錐切除術が行われてきましたが、Ia2期以上の患者さんに対しては子宮を摘出する広汎子宮全摘が標準とされています。しかし、近年の我が国での晩婚化、初産年齢の高齢化、そして子宮頸がんの発症年齢の若年化などの結果、Ia2期以上の進行症例でも子宮の温存を希望される症例が増加しています。このような患者さんに対し1987年に子宮の頸部のみを従来の広汎子宮全摘術と同様に摘出し子宮体部を残す「広汎子宮頸部摘出術」が考案され、欧米を中心に行われてきました。この20年間に500例以上の症例が報告され、手術を可能とする基準を限定することに広汎子宮全摘術と再発率など予後には変わりがないことが明らかになりつつあります。私たちの教室で自主臨床研究として「初期浸潤子宮頸がんにおける腟式広汎子宮頸部摘出術の長期予後と合併症に関する検討」という題目で本術式に取り組み現在まで50例の患者さんを治療し、10名が分娩に至っております。

腟式広汎子宮頸部摘出術
上の図にあるように、病巣のある子宮頸部のみを摘出して子宮体部と腟をつなげます

本術式に取り組み現在まで50例の患者さんを治療し、10名が分娩に至っております。

当科の子宮頸がんにおける妊孕性温存療法への取り組みについて

年齢と妊娠歴

年齢と妊娠歴

手術時の年齢は大半が20、30代で、未婚の方が大半です

進行期と組織型

  • 進行期
  • 組織型

進行期はIA2期とIB1期が基本です。組織型大半が扁平上皮がんです

妊娠率

  • 進行期
    既婚または術後結婚
  • 組織型
    妊娠率

当科で行っている腟式広汎頸部摘出術の特徴は妊娠率の高さです、妊娠希望者17名のうち12名(65%)が妊娠に至っております

子宮体がんに対する治療法

子宮体がんの診断までの流れ
子宮体がんの診断までの流れ

a.手術療法

子宮体がんの初期治療は基本的に手術で病巣を摘出します。手術法としては準広汎子宮全摘、両側付属器(卵巣)摘出、骨盤内・傍大動脈リンパ郭清を行います。腹膜播種、遠隔転移のある場合は化学療法や放射線療法を選択することがありますが、それ以外は基本的には手術による摘出です。手術の摘出物を病理学的に検査することによって最終的な進行期が決定され、放射線療法や化学療法などの追加治療などが検討されます。

子宮体がんに対する腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術

子宮体がんの治療は手術療法が主体であり、子宮および両側付属器(卵巣・卵管)摘出術、リンパ節郭清(かくせい)術が含まれます。この手術は従来開腹手術で行われてきたものであり、腹腔鏡手術はガイドラインでも標準治療とはなっておりませんでした。しかし、近年開腹手術と腹腔鏡手術において治療効果に変わりがないというデータが積み上げられ、平成26年春から早期の子宮体がんに対する腹腔鏡手術が保険適応となりました。

腹腔鏡下手術といっても、摘出する臓器やリンパ節は開腹手術と同じです。5~10mmの小さな穴から腹腔鏡(カメラ)を挿入し、モニターを見ながら専用の手術器具を用いて手術をします。お腹の中に十分な空間を確保するため、炭酸ガスを注入してお腹を膨らませて行います。腹腔鏡下手術は熟練度が要求される手術ですが、骨盤深部など直視下では見えにくいところが観察しやすいという利点があります。映像を拡大できますし、最近は高画質化で細部までよく観察することができるため、開腹手術以上の精度の高い繊細な手術操作も可能です。さらに、札幌医大婦人科で培ってきた腟式手術と組み合わせより確実に手術を完遂することが可能です。

b.放射線療法

子宮体がんに対する放射線療法は進行症例、手術不能例、手術後の補助療法として用いられます。

c.化学療法

基本的に放射線療法と同様です。抗がん剤としてはパクリタキセルとカルボプラチンの併用療法(TC療法)が主体で、再発例や治療抵抗の腫瘍に対してはイリノテカンとシスプラチンの併用療法を用いています。

d.ホルモン療法(妊孕性温存療法)

若年者の子宮体がんでは、子宮を摘出しないで黄体ホルモンで腫瘍を治療する、黄体ホルモン大量療法が有効な場合があります。適応としては

  1. 子宮温存を希望される方
  2. MRIなどの画像検査でIa期がんであると診断された方
  3. がんの組織型が高分化型腺がんであること

などの条件を満たす方が治療対象となります。当院では年間10人程度の方がホルモン療法を受けられております。

卵巣がんに対する治療法

卵巣がん治療の流れ
卵巣がん治療の流れ

卵巣がんは発見されたときにはすでに進行している場合が多いのですが、一般に抗がん剤が有効で、その治療は手術と抗がん剤の両者の組み合わせになります。手術は可能な限り病巣を摘出することが重要で、一般には子宮、卵巣、後腹膜リンパ節、大網の切除が行われます。手術の後に残された腫瘍に対し抗がん剤による治療が行われます。抗がん剤はパクリタキセルとカルボプラチンの併用療法(TC療法)が最も多く行われますが、組織型によってトポテシンとシスプラチンの併用療法(CPT-P療法)など他の抗がん剤の組み合わせになる場合もあります。

卵巣がんは50-60歳代の比較的高齢の方に見られる腫瘍ですが、時に10-30歳代の比較的若い方に発症する場合もあります。この多くが胎児性がんといって非常に抗がん剤が有効なタイプの腫瘍で、これらの腫瘍には子宮と卵巣を温存しながら抗がん剤で治療を行う妊孕性温存療法が行われます。また、胎児性がんでなくても早期(I期)で発見された腫瘍の場合には妊孕性温存が可能な場合があります。