再生医療
B神経再生プロジェクト

脳梗塞に対する機能回復を目的とした治療において多分化能を有する幹細胞をドナー細胞として用いた細胞移植療法は非常に希望が持たれるところである。中枢神経機能治療学部門は、文部科学省研究補助金や旧科学技術庁ミレニアムプロジェクトの支援を受け“脳梗塞に対する神経幹細胞移植治療”に関する基礎研究を施行し、その有効性を報告してきた。また、近年では、骨髄中に存在する幹細胞をドナー細胞として使用することを検討し、既に、非常に有用な結果を得ている。

脳梗塞後、細胞治療を施行しない群(F)では、大脳基底核、海馬、皮質領域に著名な脳梗塞が認められるが、骨髄細胞を脳梗塞後3時間で経静脈的に移植すると、ほとんど脳梗塞は認められない(A)。脳梗塞後6時間の移植治療でも、脳梗塞巣はわずかに認められるだけである(B)。脳梗塞後12(C)、24(D)、72時間(E)と治療時期が遅くなるに従って脳梗塞巣は徐々に著明となるが、脳梗塞後72時間を経過しても治療効果が認められることは特記すべきことである。
【脳梗塞モデルラットに対する骨髄移植の治療効果】