癌の新規免疫治療法の開発
本学は、わが国でもヒト癌免疫の研究が大変盛んなところとして知られている。医学研究科腫瘍免疫学研究部門では、今日まで7種類のがん抗原を独自に同定することに成功し、そのうちの2種類(サバイビン2Bワクチン、SYT-SSX Bワクチン)はすでに札幌医大附属病院臨床試験審査委員会の審査、承認を得て、臨床試験研究を2002年末より開始している。今後、他の癌抗原の臨床試験も予定する。本プロジェクト研究では本学における癌抗原、癌ワクチンに関する基礎研究を多くの大学院臨床研究室で臨床試験を展開させ、癌の免疫治療と予防ワクチンの実用化をはかる。実用化には自然免疫系の応用が必須と考えられるが、生体防御レクチンによる自然免疫の制御機構を利用し、これと癌抗原をドッキングさせた自然免疫-特異免疫融合癌ワクチン開発をめざす。更にワクチン特異的T細胞の免疫記憶の機構研究や、関連する免疫応答モニタリング新規検査法の樹立、癌免疫関連分子のcDNAチップ技術開発と実用化をめざす。