基盤研究の先端医療・個別化医療への展開
遠隔地における高度の医療水準の維持は、特に面積の広い北海道においては急務の課題である。ここでは、高度医療であるDNAアレイシステムを用いた遺伝子診断を個別化医療へと展開しようとする本学の医学研究科消化器機能制御医学部門の試みについて述べる。遺伝子診断システムには、安価で操作性がよくかつ再現性の高いDNAアレイシステムが適しており、本学では、本拠点リーダーらが、特定医学研究費を用いて、この条件を満たすシステムの研究開発を行ってきており、ほぼ実用化可能なレベルに達している。そこで、遠隔地域病院において、DNA発現アレイデータの収集後、付随情報とともにネットワークを通じ本学に転送する。本学においては、開発中の解析システムを用いて、転送された発現アレイデータおよび付随情報の解析を行い、情報センターを活用して、共同研究により、個々の患者にあった治療法の選択、予後予測等にきめ細かく対応する。このようなネットを利用した個別化医療への展開は、患者のプライバシーに配慮して倫理性を担保しつつ実施することにより、21世紀型の遺伝子情報に基づく先進医療サービスを地域住民に提供し得るという極めて高い意義を有している。