教 育


 開設当初は1学年を対象として、化学IとIIを各週1講の通年と化学実験を週2回の半年間行うカリキュラムであった。その後、化学Iのみが週2回の通年となった。更に、教科名を無機物理化学、生物有機化学、有機化学の具体的な名称として各週1回の通年教科とし、分析化学実験を従来通りの週2回の半年間とした。三成教授はおもに有機化学を担当され、理系大学に必要な物質論、反応論などの有機化学の概念を学生に厳しく講義された。無機物理化学と生物有機化学はおもにその他のスタッフが担当した。化学実験では、各種滴定実験や容量分析など、理学部や工学部学生並の実験を課した。この方向性は現在も変わっていない。平成7年の大幅なカリキュラム変更に伴い、教科名と内容を大幅に変更した。すなわち、各半年間の週1講として、生体物理化学、生体有機化学、基礎有機化学を1学年の必修科目、自然科学特論の化学1と2を2学年の選択必修科目、一般教育セミナーを2学年の必修科目、化学特論を3学年の選択科目として新設した。必修科目の化学実験は従来通りとした。生体物理化学では、ライフサイエンスの一環として生命現象に即した物理化学を能野助教授が講義している。生体有機化学は生体物質を中心に、糖質、脂質、アミノ酸、核酸、アルカロイドの構造と局在を主に土橋講師が講義し、2学年から始まる生化学講義のための基礎講義の位置づけにして いる。基礎有機化学では理系大学に必要な最小限度の物性論、立体化学、反応論の講義が中心であるが、病態や環境汚染などと関連した事柄はその都度講義に取り入れている。自然科学特論の化学1と2は生物と物理の各特論と平行して開講され、前者ではリソゾーム酵素群を対象として、局在化機構や関連病態、遺伝子について賀佐教授が解説している。後者ではペプチドホルモンやその受容体などを題材にしたタンパク質化学が能野助教授のおもな講義内容である。一般教育セミナーでは、2学年学生が一般教育全教員の同時開講するテーマごとに分かれ、自由な授業形態でセミナーに参加している。化学教室では、コンピューターを用いた分子模型の作製と立体構造の解析、生化学論文の文献購読、糖脂質の分析実験、脂質の各種機器分析実験をテーマにしている。化学特論は基礎医学講義の一環として、複合糖質全般にわたる専門的な事象を賀佐教授が解説し、基礎医学や臨床医学に立ち入って糖鎖が関わる最新の知識を俯瞰している。化学実験では、化学教室全スタッフが各種滴定実験、クロマトグラフィー、比色分析、糖分析を分担してあたっている。更に、1学年では半年間の週1回講義として一般教育教員全員が1〜3コマを受け持つ、総合科目AとBが新たに開設された。前者は理科系教室教員が一つのテーマ(平成7〜9年は「形を視る」、平成10〜現在は「水の科学」)を題材として、各専門的な立場から異なる視点で講義をするものである。現在、化学教室が総合科目Aのオーガナイザーになっている。非常勤講師として、化学特論の講義の一部を滋賀医科大学医学部生化学大久保岩男教授に、おもに糖鎖に関わるタンパク質とその病態の講義を依頼している。

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